大きい
空を飛び島の中心へ。特に何か用事があるわけじゃない。ただこのまま巨イカ狩りを続けたところで、イベントポイント以外に何か得るものがあるとも思えない。
なので私はまだ見ぬ敵や宝箱を求めて、中心へ向かって飛んでいるというわけだ。他プレイヤーのレベル的に、探索も進んでいないだろうしね。とはいえ少なくともリーゼの配信に移っていた、四本足のニワトリや目に厳しいワニはいるだろう。
この島は中心に向かうにつれて森が深くなっていく。一番外側、外周は木なんてあってもヤシの木もどきくらいの砂浜。
そこから中心に進むと少し木が生えてくる。とはいえ生えている量は少ないし、大きさも中心に比べたら全然大きくない。上から見ているとわかるが、中心あたりに生えている木は本当に大きいのだ。50mくらいあるんじゃなかろうか。それが密集して生えている。
またさらに進むと木が一面に生えるようになる。いつかのゾンビダンジョンを見つけた森のようだ。あそこよりも空気はきれいだけどね。なんせゾンビがいないから。
ただこちらの方が木は大きい。5mくらいは違うんじゃないだろうか。モンスターも木もモンスターが発する音も大きいとは、この島は大きくないと存在を許されないのだろうか。
だとすれば私は真っ先に消されるだろうね、なんせちっさいから。
好きで小さくなったわけじゃないんだけどね。小学生の時は背の順で並んでも後ろの方だったのに、中学校に入る少し前から成長が止まっていつの間にか一番前で〈 〉を作っていた。前ならえのやつね。あれ最初の人だけはやり方違うから。みんな知らないでしょ。
こんなこと知って役に立つの?立つわけないだろ嫌味か。好きでやってたわけじゃないねん。
これで別の場所が育てばまだましだったんだけどそんなこともなく。中学生のころからスリーサイズも体重もほとんど変わらないし、胃の容量も増えなくていっぱい食べれないから太ることもない。
おかげで高校時代はマスコット扱いだった。同級生の女子には通りすがりに頭を撫でられるし、ことあるごとにハグしてくる。
3年になるころには後輩の一人が私の扱いをそういう風に理解したらしく、同じく通りすがりに頭をなでるようになった。悪気がないから怒るわけにもいかず、卒業まで悶々としたまま生活していた。
それでも卒業式は大泣きして「先輩のこと一生忘れません!」って言ってくれたから、慕ってくれていたのは間違いないだろうけどね。
ちなみに一度スマホをなくして連絡先がすべて消えたので、今どこで何をしているのか全く不明である。頭は普通だったけど要領がいい子だったので、今もどこかで楽しく過ごしていることだろう。
久しぶりに思い出したら会いたくなってしまった。頭なでるのうまいんだよなぁ、あの子。溶けそうになるくらい気持ちいい。
いつかどこかで再会できないものか・・・




