泳ぎ2
泳ぎの感覚は取り戻せたので、これからはもう少し沖に出て巨イカを探す。
紫がかった色のぶよぶよした何かはナマコだった。触るとぶよぶよというよりふにふにした感じ。おいしいと聞いたことがあるので、あとで夜食として食べてみようと思う。
何で今じゃないのかというと、調理の仕方を知らないからだ。一度ログアウトしなければ調べられないので、晩御飯の時に一緒に調べる予定。
ゆらゆら、ゆらゆら。ゆっくり泳いで砂浜から30mほど泳ぐと、海底の様子が変わる。これまでは砂に岩に少量のナマコと魚といった感じだったけど、ここからは一気に海底が下がった。
上から見る限り5mくらいは段差がある。巨人がここを歩いたら、躓いて大惨事が見られることだろう。
そしてそれより印象的なのが、海底に生い茂る視界を覆い尽くす海藻だ。種類はわからないが、3種類の色がある。小さなオレンジ色の海藻、ほんのり赤みがかった海藻、そして最後に一番印象的な暗い緑色をした海藻だ。
これはおそらく昆布だろう。動画やSNSで見たことがある。巨イカと戦う前に、数本いただいておこう。干しておけば良い出汁昆布になってくれるはずだ。ナマコを食べるときに一緒にお吸い物にする。豆腐も鰹節も何もないけど。
潜り昆布の根元へ。引っ張ってみるが流石にびくともしない。仕方ないのでインベントリから杖を出し根元を攻撃してみる。が、これでもびくともしない。水の中で武器を振っても威力が全然ないのだ。抵抗力のせいで。
それなら魔法でどうだ?氷の矢で根元を攻撃すれば・・・
「ボガッ⁉」
口内に大量の海水が入ってきて咽る。しょっぱい。それに鼻にも突き抜けてきて気持ちわるい。一度上に上がらないと。
「ゴホッゴホッ・・・あ゛あ゛~、げほっ!」
のどの違和感がすごい。どれだけ咳をしても何かがのどに居座っている感じがする。普通の水が飲みたい。こんなことならポーションでも探しておくべきだった。水ではないが少なくとも、このまま違和感を覚えているよりましだろう。
いやそれにしても、考えてみれば水中で魔法が使えないのは当然だった。だって人は水中で発声できないのだから。しばらく泳いでいなかったから忘れていた。
魔法で何とかなるのだろうか。口の周りに空気の層を作るとか?
まぁそれは昆布を取ってからでいいか。再び昆布の根元に近づき杖を取り出す。ただ振るだけじゃ採取できないので、一生使わないだろうなと思っていたスキル〈剣術〉に含まれるアーツの『スラッシュ』を使用。杖が光り自動で体が動く。少しの抵抗の後昆布は水中に放り出されたので、遠くに行く前に確保。
実はこういうのもあったんだよ。他には〈盾術〉で『パリィ』とかも覚えてる。
もう2、3本とって一度上がろうか。




