狩場
空を飛びながら北へ移動中。西は何もなかった。相変わらずビグルヅバードと巨イカ、砂浜近くの木にクワガタが張り付いていたくらいで、他にめぼしいものはなし。
砂浜は相変わらず綺麗だったけどね。
今向かっている北側は小さな山だ。大体標高500mくらい?遠目だし実際に山を目にする機会なんてほとんどないしで、いい加減だけどね。
ただ西と南とは明確に違うっぽいので、結構期待している。何かいいものが落ちていないだろうか。宝箱とか。
そうしてやってきた山頂は、空気が澄んでいて身も心も洗われるようだ。別に実際に汚れてるわけじゃないよ。心持としてね。
山頂の下は切り崩した崖のようになっていて、下を見ると自分は飛べるとわかっていても肝が冷える。私の腰くらいまで伸びている草も相まって、長くここにいると足を踏み外して落ちてしまいそうだ。飛べる私ですらこれなのだから、他のプレイヤーはおそらくすぐに降りてしまうだろう。
飛んで下に降りると、草でよく見えなかったが小さな砂浜があった。それと少量の木。ヤシの木かそれに類似した何かだろうか。上部には木の実がぶら下がっている。
鑑定してみると、『木の実の木』とでた。そのまんまな名前だが、木の実が生る木らしい。空腹ゲージにやさしいね。私には関係ないけど。
ここまで確認した私は決めた。ここを狩場にすると。上からは発見されず、テントを張るスペースがあり、海も近くて狩りがしやすい。ビグルヅバードも近くに見えないし、おそらくここ以上の狩場はないだろう。念のため、あとで東側も見に行くけど。
ちなみになんでテントを張る場所が必要かというと、これがセーフティーエリアになるからだ。このイベント限定のアイテムで、周囲に一定のスペースがあって下が地面なら張ることができる。
ここは地面は地面でも土じゃなく砂浜だけど、多分大丈夫でしょ。張れればいいのだ。張れれば。
テントの張り方は知らないけど地面に刺すことは知ってるので、刺す場所を作るためサクサクと杖を使って砂を掘る。なぜ私は地面を掘る魔法を創っていないのか。戦闘用の魔法を創るだけじゃだめだね。次のイベントまでには創っておこう。
どうしても興味が戦闘にむいちゃうんだよね。元々魔法で戦闘したくてこのゲームを始めたし。
穴を作ったらインベントリに一つだけあるテントを具現化。2人ほど入れそうなオレンジ色のテントだ。お、一緒に何か紙も出てきた。え~っと、テントの張り方・・・?
え、別に穴は掘らなくていいの。なになに、まずはテントを張りたい場所に出す。
そうしたら次に、テントのスリーブに一緒に入っていたポールを組み立てて差し込む。ポールがテントの対角線に通ったら立ち上げて、テントの角にあるリングにはめる。
そして最後に、テントの4隅に地面と共にペグを打ち込む。打ち込むのは・・・杖でいいか。
よし、完成。




