ビグルヅバード
─ッピッピー!─
私の飛行速度はなかなか早いので、上空を飛んでいる鳥の下へも簡単にたどり着けた。飛んでいる最中からうすうす察してはいたが、やはりこいつはデカい。
大きさだけならレッサーワイバーン並みだ。もしかしたらこちらの方が大きいかもしれないレベル。
見た目が公園とかでたまに見るツバメとそっくりなのですごい違和感。だけどお目目はくりくりでかわいい。羽もふわふわ。これだけなら飼いたい要素満載なんだけどね。
この鳥、飼いたい要素全部吹き飛ばすくらいうるさいの。地上で羽音が聞こえてたことからわかるようにまず羽音がうるさい。そして鳴き声もうるさい。飛行機のジェットエンジンと変わらない音量してる。
確かジェットエンジンの音は120デシベル程度だったはずなので、こいつは生物でありながらそのレベルの音を出しているのだ。生物としての格が違いすぎる。
でもこの音、流石にスキルのおかげだと思うんだよね。理由はほかの鳥の音が聞こえないから。もしもこの鳥が素でこの音を出し続けられるんだとしたら、この島は今頃この鳥の鳴き声でオーケストラが開催されている。この鳥の音がかなり遠くまで聞こえるのは地上にいるときにわかってるしね。
ということで鑑定。
ビグルヅバード レベル:5
スキル〈飛行〉〈拡大〉〈爪とぎ〉〈暗視〉〈貯蓄〉〈捨て身〉〈怒気〉
〈HP最大値増強〉レベル:5〈俊敏強化〉レベル:5〈脱水耐性〉レベル:10
おおう、弱い。想像を絶する弱さだった。けどまぁ、レベル1の人もいるサーバーと考えたらこんなものかもしれない。
それとさっきの推理が当たっていたようで何より。多分音が大きくなってるのは〈拡大〉だ。他にも初見のスキルとして〈貯蓄〉もある。気になるし、イベント中に両方取っておこう。〈脱水耐性〉以外はもう習得してるかレベルMAXだからすぐとれるでしょう。
あと気になるのは名前。ビグルヅなんて初めて聞くのだけど、現実にこんな言葉あったっけ?英語やドイツ語ではないと思う。聴いたことがないから。
もしかしたらこの世界オリジナルの言葉かもしれない。響きが何となく詠唱に使う言語に似てるし。特にヅね。魔法を創るときによく使う。
っと、さっさと倒して狩場を探しに行こう。多分ワンパンだろうし、せっかくなら新しく創った氷の魔法を試そうか。もし仮に倒せなかったとしても、多分私に攻撃は通らないだろうし。
「『水よ、風によって冷却され固体となり矢を模せ。そして我が意の元、敵を撃滅せよ』」




