走り屋!
ヤンと髭男は仕入れに向かう車に乗っていた。
「いやすまんな、なかなかの量だから一人はきつくて。」
「いえいえ大丈夫ですよ。しかし遠くこんな山にまで行くんですね。」
ヤンの言うとおり店からは割りと離れた山道を走っていた。
「いや、知り合いが良い豆を安く売るって言うからわざわざこんな所まで来たんだ。」
「なるほど。」
峠道が下りになる道でバックミラーに一台の車が写る。
その車はすぐに差をつけ髭男の車を煽り始めた。
「店長、後ろの車めちゃ煽って来ますよ。どうします?」
「うーん、今日は譲る気分じゃないよな……それにこの道は結構走ってるし。ヤン!掴まれ!!」
そう言うと髭男はアクセルを一気に踏んだ。
「店長!この先S字カーブです!そのままアクセル抜いて流して!!」
「よっしゃ!!」
大きなスキール音と共に大きなボディが流れていく。
しかし相手の車も負けはしなかった。
「嘘だろ!?追いつかれてるぜ!」
「チクショー!車の性能は最高なのにカーブで詰められた!ドライバーとして最大の屈辱だぜ!」
髭男が屈辱を露わにしてハンドルを握る。
「店長!こうなったらあれをやるしかない!」
「……溝落としか。」
溝落としとはその名の通りタイヤを路肩に落として高速でカーブを曲がる術である。
「行くぞおおおおおオオオオ!!!!」
キキ!っと音を立てて車線をずらす車……が
「ぁぁぁあああ!?!?!」
車は見事に溝を外しカーブに突っ込んでった。
「ヤン捕まれええええ!!」
「いってえ……」
ヤンと髭男は幸いにも命を取り留めることが出来た。
「すげえや流石アイサイト……」
「このスピードだとあんまり関係ないと思いますが……」
車が突っ込んだのを見た後ろの車両から人が降りてくる。
「おい大丈夫か!」
髭男はその人物をみてため息をつく。
「アイツか……今まさにアイツの場所へ向かおうとしてたんだよ。」
「いやぁ、すまんすまん。まさかあのスピードで突っ込むとは思わなくて。」
髭男は車を降りてへこんだ車をみて気を落とした。
「あぁ、俺のインプが。」
「あ、電話。あれ店長?どうしたんですか?……え!?事故った?何してんですか!もう!!!」




