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どうしてこうなってしまったのだろう。
京也が考えてもわかるはずもなく、時間だけが過ぎていく。真上に上りつめた太陽が、砂漠の温度をさらに上昇させていた。
ココロが睨みつけるたび、姫野の顔が浮かび京也を苦しめる。せめて形見のリングを手渡そうと、京也はココロに近寄る。
「お姉さんのリング」
「ボクには見えない」
ココロは一瞥して京也を凝視した。
京也も気づいてはいた。色が変ってしまったが、赤のリング。対象者にしか見ることができない。それでも京也は、ココロに持っていてほしかった。
京也はココロの手をとり、リングを乗せた。そして手を重ねる。
『姫野さん、本当にごめん。僕は傷つけてしまった。あなたの優しさを……』
京也はココロを真直ぐに見つめた。
ココロが霞んでゆく。
涙があふれて止まらない。
姫野はどんなときでも京也の味方だった。
必死で京也を助けてくれた。
姫野がいなければ、何度死んでいただろう。優しさに甘え、愛情を利用していた。
卑怯な心を京也は我慢できない。
『許しくれとは言いません。ただ、助けてもらった命にかけて誓います』
京也はココロを抱きしめた。
小さな体にできた傷をこれ以上、広げないため。
たとえ、ココロに憎まれ嫌われても離さない。
『ココロを守ります』
『ありがとう……京也』
時空を超える声がふたりに聞こえた。
「お姉ちゃん」
ココロが思わず叫ぶ。
ココロの握りしめた拳が真紅に染まっていた。
ゆっくりと手を開く。
赤いリングが、再び命の火を灯していた。
「見えるよ、お姉ちゃん」
ココロは、姉の思いを受けった。




