037
青の柱の審判を受けるため京也は、生徒会室を訪れていた。青の柱は、未来を映し出す。内部から頂上まで続く階段を上って行く。過去、何人もの生徒が挑戦した。頂上にたどりついた者はひとり。未来が何を意味するのか。知り得た者は、滝本翔だけだった。
「なぜ、審判をうけたいのかね」
信吾は不満そうに尋ねる。滝本京也は、無理やり介入して赤の審判を受けた。今度は青の審判。信吾は気に入らなかった。会長に言われ京也を監視しているが、兄との接触はない。そもそも生きているのかさえ、信吾は疑問に思う。
「進む道が正しいかどうか知りたいからです」
京也は嘘をついた。グランドを火の海にした事件の真相は言っていない。姫野と示し合わせて無関係を貫いた。生徒会は、楓が報告した外部の侵入者の対応に追われていた。
「認められない」
「どうしてですか」
京也は、青の柱に行き奴らと決着をつける必要があった。引き下がることは出来ない。
「いいでしょう。ただし条件があります」
京也は周りを見る。部屋には、京也と信吾の他に生徒はいなかった。
「会長」
信吾が、壁に掛けられている六角形の鏡に歩みよる。京也が視線を鏡に向けた。生徒会長、清水詩織の顔が鏡に浮かび上がっていた。
「滝本翔の居所を教えなさい」
京也は口ごもる。兄の居場所は知らない。3年前の事件から消息は不明だった。
「青の審判を受けさせてくれるのなら、審判後に教えます」
また、京也は嘘をつく。
「いいでしょう。副会長。手続きをお願いします」
「信じられません。嘘をついているかもしれない」
信吾が食い下がる。生徒会執行部が何年も行方を追っていた。にもかかわらず、居場所に繋がる手がかりを何ひとつ見つけることができていない。兄弟だから知っている保障はどこにもなかった。
「嘘をついた場合は、学園を去ってもらいます」
「わかりました」
生徒会には、学園側から強力な権限が与えられていた。生徒ひとりを退学にする理由ぐらい簡単につくれた。学園が拒否することもないだろう。京也の魔法学園入学は、兄を捕えるエサに過ぎないのだから。
『【生徒会規約第22条】本学園の生徒は、生徒会に協力し学園の秩序を守る義務を負う。生徒会の要求に対して正当な理由なく協力を拒むことは出来ない。なお、右規約に違反する者、退学もやむなし』
生徒会規約が読み上げられる。
『誓約書……技術科。1年F組 No.15 滝本京也は、生徒会規約第22条に基づき生徒会に協力することを誓います。
依存なき場合、同意を……』
「同意します」
『認証中……本人と確認しました』
京也は自動誓約プログラムを終えた。
「いつ、審判をうけることができますか」
「すぐにでも」
会長が答えるのを、もう信吾は邪魔しなかった。
京也は生徒会室を後にした。
生徒会室を出ると、待っていた楓が京也に近づく。
「青の柱までサポートする」
「すみません」
青の柱に入口はない。転送魔法が必要だった。京也は、能力を使用して青の柱に潜入を試みたができず。楓に相談し正式な手順を踏み審判を受けることにした。姫野にはもう頼めない。圭介も同様だ。
生徒たちとすれ違う。いつもと変わらない日常。青の柱に着くまでふたりは何もしゃべらなかった。




