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聖女は魔王のいない異世界で婚活をする  作者: 久沢陽雲
リザードマン

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先手の先手

 仮交際一回目終わりのすぐに結婚相談所へ行く者はなかなかいないだろうと思いつつ、ローズは思い返していた。

 どう考えても今までの考えが変わることはない! というのが明確になっただけだった。

(ああ! エイダンさんってば! お見合いの時にちょろっと盛り上がったからって、魔石のブレスレットして来てー! 人によってはその石の力が気になったりしてしまうのにー! それともそんなのしてお守り代わりにして恋愛運だか結婚運だか上げようとしてるの? あれ、見た限りでは金運も入ってた! 私だってそれくらい分かるんだから! 意味くらい知ってるんだから!)

 一人ふんすーふんすーと怒りながらはジョイアグリュックに向かう。

 そもそもこんなに怒るのも理由がある!

 一応こちらもそれが気になったから話を聞いてみた所はあるが、彼は嬉々としてそれを見せて来た。いや、その為にして来たんじゃないか? と思うようないかにもで服に隠すというのもなくジャラジャラと丸見えだった。

 つけて来なくても良いのに――というのがローズの第一印象だった。

 彼はお見合いの時もそうだったが急に話している物を実際に見せたいと思ってしまうのか、その絵を描いたりし出して少し困る所があったのだ。それが今回は実物になった。

 この先を思うと少し怖い。何かある度に私はそれがどんな物か見せられるのだろうか? 別に知らなくても話が通じる相手が良い。

 ウィルだってちゃんとそういうのができる人だ。想像してこんな物だなと分かってくれる。それが後々のご飯に繋がったりする。

 それを彼はしてくれなかった。

 その上、エイダンはそのブレスレットを買った時のことを話してくれたが、それはローズにとってそういう商法の物なんじゃないか? 怪しい……、これ、私も結婚とかしたら、家族も買ってるんだから君も買って! とかにならない? というものすごい心配を予感させるものだった。

(普通に考えれば、そんなの引っかからないのに! もしかしたらと思って、自分のお守りにしてる浄化力高めの小さな魔石を服のポケットの中に入れて持って来ていて正解だったけど!)

 どう考えてもこれはこれを売る人が悪い!

 エイダンはそれに気付いてないのか「これ、どんどん大きく豪華な高額な物を買って行くと効果があるらしい」と言って来たので、その値段を聞けば、普通の人なら目玉が飛び出そうなほどの額で、ローズの知識でもその魔石をざっと見ても、それほどじゃなく、どう見ても自分でそのくらいの大きさの糸が通せる魔石を一つ一つ買い集めて、糸を通して作った方が安く済みそう……と思いながら話を聞き続ければ、家族もそれよりは安いが絶対に高い物を買ったらしく、この家族とも上手くやれるかローズは心配になってしまった。それをこの後会うキャリーさんやウィルには言えず、不安は増すばかりでこんな人とは結婚できない! と強く思い、早く終わらないかなー、あと何分なんだ? と思えば、急にこの後用事あるから……と切り出され、まだあと三十分は話すんじゃないの? 普通なら――と、お見合い直後の事前のやり取りでその用事の事は言われていたので気にはしなかったが、わざわざ何でその用事のある日にした?! と怒りは増すばかりだった。もし。間違って好意が出て来たりしてまだ一緒に居たいなーと思っても、それだと一緒に居れないでしょ! というのは考えないのか? それだけ私の事はどうでも良いのか?

 やっぱり一度も私の事は全然向こうは聞いてくれないし、結婚したら絶対に手出しちゃいけないの買わされそうで嫌だな……、怖い! それに別れ際のあの言葉――違うんですよね、そこじゃない気がするのですが――と何とも微妙な別れ方をして猛烈に思ったのだ。

 絶対にエイダンさんとは無理! と。

 だからキャリーに会えばすぐにその場でお断りしたいとその理由も話して伝え、エイダンからもたった今伝書鳩でどうだったか来たが、要はそこではなく、違う所で――と再度エイダンを思って言ってなかったことも言い、ガクッとキャリーもエイダンの行動になった所で伝書鳩を使い、エイダンにお断りの話をキャリーからしてもらい、すんなりとエイダンはそれを受け入れ、無事にローズはお断りをすることができて、すっきりとした。

 この事をウィルに話すべきか考えたが、ウィルは少し用事があると言って、バリーを連れて出掛けてしまった。

 短剣も持っていたんだ……と思えば、次のお見合いを申し込むだけだ。

 今度こそ、良い人に出会えますように! と思って、ローズは新たなお見合い相手を探すことにした。

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