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聖女は魔王のいない異世界で婚活をする  作者: 久沢陽雲
婚活の始まり

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1/3

聖女の婚活宣言

 魔王は今、十六歳になる聖女ローズの祈りによって出現した透明度の高い巨大な水晶クラスターの中に封じられ、永遠と蘇えることのない深い眠りに落ちた。

「や、やったー! これで魔王は倒したも同然!」

 最期の仕上げやりますか? と勇者一行はその奇跡を一瞬にして粉砕、跡形もなく消滅させた。

 その目付きは鋭く怖く、これが今まで魔王軍相手にいろいろと戦って来た証なのだと内心ビクビクしながらも聖女ローズはその目に最後の雄姿を焼き付けた。

 つまり、これでやっとこの異世界は強敵魔王軍から解放され、誰もが自由にのびのびと平和に暮らし、生きていけることになったのである。

 それは聖女としての役割をなくすという意味であり、勇者一行もやっと命の危険から離れられて、あれをしたい! これをしたいとわくわく喜んでいた。


 ――それから数か月後、仕事を見つけられない元聖女ローズは路頭に迷っていた。

(今、私は行動しなければなりません! 皆、元々仕事がある人達でした。でも私は神から授けられし、奇跡の力を使うことができません。これは死活問題です! このままでは教会に居られなくなり、世話をしてもらっていたオーウェン様にも迷惑がかかります! 出ていかなければ! でも、その後私はどうやって暮らして行ったら――)

 教会で神に仕える二十歳の物静かな男、オーウェンは小さな時から聖女ローズの世話をしており、その困惑さをしっかりと捉えていた。

「どうしましたか?」

「いえ、オーウェン様、何も問題はないのです! あの『奇跡の力』と皆から呼ばれていたものがないのなら、私はただの人であって、神のものではありません。だから、私はこれから堂々と結婚を意識して、婚活をしようと思うのです!」

 え? とオーウェンは立ち止まってしまった。

 自分の予想ではこのままこの教会に居てもらって、何かしら手伝ってくれれば良いと言おうとしていたのに。

「そうですか」

 と言うしかなかった。

 自分よりも身分を超えて敬うべき相手、そんな彼女が決めた道なら応援するしかない。

 ただ残念だ。

 彼女とはもう一緒に暮らせないのが――そんな心の内を読めない元聖女ローズは早速近場の結婚相談所に赴き、何とか集めたお金を全て使い何かとお高い結婚相談所で頑張ろうとしたが、会えたのはたった一人の年上男性で、自分の思っていたのとは違い、その落差から婚活なんて……と逃げの姿勢で目を背け、その日暮らしになり、次に辿り着いたのはお金はいりません! という町の結婚相談所で、ここは良いと思えど、やはり一人の人としか会えず、なかなかに話も進まず、一応付き合うことにはなったが、お見合いの時のような静かな感じではなくテンションの高い手紙に戸惑い、そこも辞めることにし、これ以上頑張っても意味がないのかもなーと思っていた所、最後の雄姿を焼き付けた勇者一行が開いたという結婚相談所にローズは行き着いた。

 だが、そこは最初の結婚相談所と同じで入るのにお金を取る。

 けれど、最初のそこよりはマシな額だった為、人助けをしたりしてお金を集め、有り金全てをその結婚相談所に支払い、もし成婚したらそれよりも多くのお金を支払わなければならないことを知り、ビクつくが、それでもできないよりは良いとその日からまた少しずつお金を集めつつ、本業ではない為、仕事はしてない無職として元聖女ローズはその勇者一行が開いた結婚相談所『ジョイアグリュック』に登録をした。

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