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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第二部 成長が必要なのかどうなのかという件について(仮)
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2人目のあいつな件(仮)


 アリスの言葉が本当ならば、川瀬、いや本名サーナは過去人だということになる。そして、かおるが一生懸命に戦っていた人物が、彼女の姉だと・・・


「わからないことがある」


「何かしら?」


「ここまでの話では、アリス、君は、川瀬さんを守るためにこの世界に来たことになる」


「ええ、そうよ」


「なのに、どうして、今彼女をさらい、彼女を苦しめるようなことをしているんだ?」


 理由があるとすれば、それは、自分達の運命を変えた悪魔の血を引く、妹だ。悪魔への憎悪がその妹に向かってもおかしくはない。いくら身内といえども無条件で愛を感じるなんてことはないのだから・・・

 かおるは、まっすぐアリスを見る。返答によっては再度戦いになる可能性がある。


「私もサーナが力を取り戻す前までは、傍観者でいることにしたわ。でも、ある日、サーナは魔女の力を取り戻し、記憶も断片的に取り戻し始めた。自分が魔女であり、そして悪魔との子供であることを、でも、家族のことは思い出さなかった」


「・・・・・」


「そして、サーナは精神的に不安定になったわ。だから、私はサーナの目の前にあわられた。魔女の地位向上を狙う悪い魔女としてね。そして、彼女をこの土地に逃げるように仕向けた。ここなら、異能力者に対して温厚だからね」


 アリスが脚を組む。


「それからは、また傍観者になったわ。サーナにはお友達ができたみたいだったから、でも、本当に私みたいに魔女を求めるものが現れたのよ」


 アリスの表情が少し、変化したようにかおるは思った。


「それはいったい?」


「私の母を無理やり襲い。サーナをこんな風にした悪魔、アウモデウス・・・、その悪魔が、この土地にやってきた。これは、私が母から託された能力である千里眼で知ったことよ」


 アウモデウス・・・・!!

 かおるはその名前を自分の中の情報をリンクさせる。


「それって、大罪悪魔じゃないのか? 色欲を司る悪魔!」


「そう。その通りよ。あの悪魔は、実は母を襲った後、天使達に滅ぼされた。けれど、またこの世に復活したのよ。大罪悪魔は、何回でもよみがえる」


 それは、かおるではなく。おそらく、ベルゴに言い放った言葉だった。


《その通りだ・・・》


「でも、そもそも、大罪の悪魔は、表に出ることなく一生を終えることが多いはずだ。それか、自分を持つ人間に支配されるか」


《この土地の影響だな。俺やレヴィアタンと同様だ》


「そう。アウモデウスもこの土地に来てから自我が目覚めた。だけど、あなた達みたいに、あいつは宿主とわかり会おうとはしなかった。つまり体を乗っ取ったのよ」


 まあ、悪魔とはそういうものだろう。ベルゴが変わっているだけだろうなとかおるは思った。


「そして、自分の力をより強めるために、自分の血を、悪魔の血を持っているサーナを必ず襲い手に入れる。私はそう思った。そして、それが近いことも感じた。宿主の体を乗っ取るにも時間がかかるからね。だから、私はサーナに強くなってもらおうと思った。だからあえて悪役を買って出たってわけよ。でも、この子は自分の力を制御できる段階ではない。いや、魔力が決定的に足りない。それは半分が人間だから、だから、計画を変更した。サーナではなく。周りに強くなってもらおうとね。そして、あなたに白羽の矢が立ったのよ。あの悪魔と同じ大罪悪魔の力を持つあなたにね」


「それを、信じろと?」


「信じなくても、時期に答えがはっきりするわ。必ずアウモデウスはここに姿を現す」


「一つ聞いても?」


「どうぞ」


 アリスが手でも了承の合図をかおるに送る。


「アリス、あなたはウリエルの力と併用すれば十分、大罪悪魔とも戦えるはずだ。正直、初めから本気で戦えば、俺にだって勝てた。なのに、どうして、俺を鍛えるようなことを?」


「アウモデウスは、言魂の力を操る悪魔、それは魅惑に通じるものがあるわ。その力は同等の力である大罪悪魔でないと、防ぐことはできない。私がいくらウリエルの炎を持っていてもそれは同様、これは本物ではなくまがい物の力、物理的な力には対抗ができても、言魂のような力には対抗ができないのよ。だから、あなたを鍛えるようなまねをした。いうなれば、私の力もサーナの力も、あの悪魔の残り香みたいなものだから、あいつと対峙すれば勝ち目がないのよ。特に私はね。それに・・・」


「そんな大事なことをどうして、黙っていたんですわの?」


 2人はその言葉の主に視線を移す。


「サーナ・・・」


「わたくし、すべて思い出しましたわ。といっても幼いわたくしはそこまでの事情を把握していませんでしたけど、それなら、最初からわたくしと共に歩んでくれたらよかったのに、お姉ちゃん・・・」


 その言葉は、アリスにとってもは何年もの月日が経ってから、聞くことができた言葉。

 アリスの目にはうっすらと涙が溜まる。


「それはできないのよ・・・」


「どうしてですわの!!」


「サーナ、私の力はあなたとは違って、譲渡されたもの。普通の人間である私が耐えられるものではないの。だから、私には残された時間が少ない。あなたには、そんな人間と一緒にいてほしくはなかった」


「そんな! わたくしはおねえちゃんが一緒にいてくれればそれでよかったに、例え短い時間だったとしてもそれで!・・・」


「サーナ・・・」


 ぶすっ!

 その瞬間、その音が聞こえ、サーナの顔に血しぶきが飛び散る。


「感動の再会は終えたか?」


「ア・ウモ・・デウ・・ス・・・」


 アリスは、その場に倒れこむ。


 

「大罪悪魔の登場だね」


「ああ、実は作者も、出すかどうか悩んだらしいけどな。今回も出すことにしたらしい」


「それがいい方向にいけばいいんだけどね」



 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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