難しい戦いな件について(仮)
(あっぶねえ、サンキュー、ベルゴ、っていうかお前のことも感じ取ってるみたいだぞ)
《かまわん。だが、体付近のバリアはあのウリエルの炎のせいで消滅してしまうから、意味がないみたいだな。まあ、俺を感じ取るくらいはある程度の力があれば可能だ》
黒雷炎では、その体積が大きいので薄いバリアとして体に張ることはできない。
(そうなのか、それにしても、強いな)
《レヴィアタンの力の応用をさらに考えるんだな。今回は俺の力はあまり借りないんだろう?》
(応用か、ああ、今回はできるだけ俺が自分でやる。俺自身の戦闘経験もこれから必要かもしれないからな。でも、やばくなったら頼むぞ)
「また行くわよ!」
アリスが、またかおるに向かってくる。
(レヴィアタンの力の応用、この力は雷、つまり電気を応用・・・・、ということは・・・)
かおるは、今度、彼女に遠距離攻撃を仕掛けるのではなく。自分から彼女に突進していく。
「接近戦であなたが、私に勝てるとでも?」
「さあな」
アリスが両手に剣を生成、さらにウリエルの炎を付加する。
そして、それをかおるに振りかぶる。まずは右からの攻撃、それをかおるは黒雷炎で凌ぐ、だが、それと同時に右脇腹にアリスの左の剣が襲う。これはかおるの今までの反応速度では対処できない速さだ。
だが、今回の攻撃を、かおるは右腕に黒雷炎をまとって防ぐ。
「あら? テレポート(転移)」
アリスが、かおるの視界から消える。
彼女はかおるの後ろに現れる。その速度はものすごい。
アリスは剣による突きをかおるの背中に放ってくる。かおるは、その攻撃をなんとか、体を半回転させながら避ける。
そして、回転しながら黒雷炎をアリスに放つ。アリスがそれを避けながら距離を取る。
「反応速度が上がったわね。何をしたのかしら?」
「簡単な話だ。この雷の力で、体の電力を上げた。つまり電気信号を早く動くようにしたから反応速度があがったんだ」
「でも、そんないきなり無理やりすると、体の筋肉に負担がかかるでしょう? それで保つのかしら?」
「はん、そんなことあんたに気にされる筋合いはないな」
「あら、そう。でも反応速度を上げたくらいで私に勝てるのかしら? まだその力の生成速度は私の動きにはついてこれてないけれどね」
そう、かおるは、彼女の攻撃を避けることができるようにはなったが、黒雷炎の生成が追いつかないため、かおるが押されている展開となっている。
このままの反応速度を保てるかもわからない・・・
(さてと・・・、どうしたものかな)
かおるは、まだ、黒雷炎を常時発動はできない。これは黒炎でも黒雷でも同じだ。制御はできるし大きな力も使うことができるが、ただの人間だったかおるはすぐに、ガス欠になる(通常の異能力に比べれば十分に燃費も燃料があるし給油も、ものすごく早い)これが唯一の弱点といってもいいだろう。これは、こまめに発動することによって、かおるはばれないようにしていた。
さらに、黒雷炎はどちらかというと炎の力を中心としているし二重の重みでその速度が黒雷よりも遅い。なので、アリスの動きには対処できていなかった。
清との戦いのときは、黒雷の速度にベルゴが着いていっていたので対処できていたわけだ。
「また、行くわよ!」
(ふー、まあ、やってみるか)
アリスがかおるに突進してくる。
かおるは、自分の周りに黒雷炎、体に黒雷を纏う。
「その力で反応速度を上げるつもりね」
アリスが、爆弾を生成し、それをかおるに向けて放つ。その爆弾をかおるは防ぐ。爆発が起きて、かおるの視界が爆炎で見えなくなる。
かおるから右の視界の煙が動く。そこにすかさずかおるは黒雷炎を放つ。それが何かに当たる。
「うわああああ」
そこにいた人物が悶える声がする。
だが、その瞬間、かおるの後ろにアリスが現れる。声を出して燃えた人物はいつのまにか蛇に代わっていた。
かおるの体に剣が当たる。ウリエルの炎と黒雷が衝突して、一瞬の硬直がある。その瞬間にかおるは黒雷炎をアリスに放つ。
アリスはその攻撃を寸でのところで避ける。その瞬間、かおるは黒炎で拘束する。だが、アリスはウリエルの炎でそれを消滅させる。が、その数秒の瞬間を見逃さず。その間に黒雷炎で、かおるはアリスを拘束した。
「やるわね。その力の発動時間、鈍さを補うために、一瞬の硬直を、元来の漆黒の力で起こすことで、私を拘束したわけね」
「流石に、これだけの雷を体に纏って、反応速度を無理やり上げまくっても筋肉がちぎれるだけだからな。賭けだったが、上手く成功したよ」
アリスは、かおるの前まで移動される。
「さあ、川瀬さんの居場所を教えてもらおうか」
「まあ、いいわ。合格としましょう。孝子の居場所を教えてあげましょう。再転移」
その場から、アリスとかおるが消える。
「え? あの魔女のあの力はかおるには効かないんじゃ・・・」
「転移ではなく、再転移といいました。おそらく、特別なものなのでしょう」
「う、うう」
そのとき、近くに倒れていた中根が目を覚ます。
「あ! 大丈夫ですか?」
「ここは・・・?」
「ここは東の森です。これまでのことは覚えていますか?」
「え? ああ、少しあやふやだ」
無理もない。正子は思った。
「う!」
中根は頭をいたそうに抑える。
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ」
「見事な主人公補正じゃないか」
「だろ? でもまあ、思いついた俺がすごいんだけどな」
「いや、ベルゴのおかげだよね」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。




