約束など守らない件について(仮)
近くの建物の上に2人の体が倒れこんでいる。
「雑魚が」
「あなたにお2人のことを罵倒する資格などありませんわ!」
アリスに孝子が言う。
そして、そのとき、かおるが全力を孝子に送り込むことを終える。
「後は頼みました・・・」
「ええ、ありがとうですわ」
かおるはその場に倒れこむ。意識はなんとか保っていた。
「確かに、竹市君も孝子もあなたに比べれば弱いでしょう。でも、人の価値はそこではないのですわ。それがわからないあなたに協力することはできませんわ!」
「人でないお前が何を偉そうに!」
孝子が詠唱を始める。
「すべての理を統べし全精霊に告げる。今我に降りかかる火の粉を払い、闇を照らす光をかざしたまえ!」
孝子が爆弾に手をかざす。
投下されている爆弾の真下に魔方陣が出現する。そして、それを包み込むようにして魔方陣が広がっていく。
「REMOVAI(除去)!!」
孝子がかざしている手を握りつぶす。それと同時に魔方陣も収縮していく。
その刹那、一瞬にして、アリスの魔法は消し去られた。
「流石、真の純潔の魔女ね」
「かおるさんから、力を頂いたわたくしは今なら、あなたにも負けませんわ!」
「今まで逃げ回っていた小娘がよく言うわね。なら、やってみなさい!」
今度はアリスが手を孝子にかざす。
孝子の周りに無数の魔方陣が出現する。その数は数え切れないほどだ。
「無駄ですわ。ERASURE(消去)」
その言葉で無数の魔方陣は発動前にすべて消される。
アリスは、今度は、創造した無数の剣で攻撃を放ってくる。それを孝子は防壁で凌ごうとするが、防壁はウリエルの炎で破壊されてしまう。
「あなたの力の根源は、その男から得た漆黒の力でしょ? なら、それによって行使されたものはウリエルの炎で焼き尽くされるわ」
「くっ! REMOVAI(除去)」
剣が孝子の直前で消え去る。
だが、それと同時に孝子はひざを着く。
「あらら、そんなにその力を使ってもいいのかしら? 魔女最強の力、言魂の力を! あなたと私じゃ、その力の優劣ははっきりしているわ。どうせ私の力は偽者、でも戦闘ではそれだけでは何も守れやしないのよ! そして、その力が魔女の地位向上には必須! さあ! この周りに転がっているお友達とやらを助けたければ、私に跪きなさい!」
孝子の息は上がっている。言霊の力は、その言葉で攻撃ができるものだ。消し去りたければ消えろといえばいい。だが、この力はかなりの力を使う。なので、本来なら連発はできるものではない。もうかおるから貰った分の半分は使ってしまっていた。
「大丈夫よ。孝子、あんたは特に何もしなくてもいいの。その力は私が上手く使ってあげるから、黙って私についてくればいいのよ」
「わたくしは・・・・」
「友達を失ってもいいのかしら? 私はあなたがこっち側に来るというなら、もうこの土地からは離れるつもりよ。決して、お友達にもう手は出さないわ」
「だめだよ・・・川瀬さん・・・」
かおるが、なんとか声を振り絞って、孝子に言う。
「かおるさん・・・」
「自分の意思がない生き方なんて、絶対にだめだ。そんなものは生きてるなんて言わない・・・」
孝子は顔を伏せる。
力の行使で、視界がもうぼやけてきていた。一時的なものかもしれないし、永久的な障害かもしれない。
おそらく、これから頑張ったとしれも、アリスには勝ち目はないだろう。
孝子は立ち上がる。
「結論は出たかしら?」
「ええ、本当にわたくしが、あなたについていけば、皆さんには手を出さないんですね?」
「当たり前よ。私が手を出すメリットがないからね。私は暴力が嫌いなのよ?」
孝子は目を強くつぶり、再度開く。
「わかりました。あなたに付いていきます・・・」
「川瀬さん!」
「かおるさん、皆さんにわたくしのことは忘れてくださいとお伝えください。楽しい時間をありがとうとも・・・、では」
その顔には涙が流れていた。
孝子は笑顔でそういい、アリスの下に飛んでいく。
2人はかおるの目の前からどんどん離れていった。
「く・・・・そ・・・・」
かおるは、なんとか立ち上がろうとするが、体が動かない。
(おい! ベルゴ! お前の力もっと出せないのか!)
《残念ながらそれは無理だな》
(くそ! また大事なところで!!)
そのとき、上空に大きな魔方陣が出現する。
「は?」
《この土地を消しにきたな。これは先ほどのものと同等の爆弾が落ちてくるぞ。おそらく、あの魔女はもとから、約束を守るつもりはなかったのだろう。しかもこの魔法は、俺の力を元にしている。おそらく、あの川瀬とかいう娘から奪ったものだ。あの娘の意思も尊重はしないということだな》
流石にこれだけの、魔法を二度も続けて発動はできない。だから、孝子の意識を奪い、アリスはその中から漆黒の力を奪った。それか、孝子を媒介して魔法を発動したということだ。
かおるにはアリスの微笑が感じられた。
「あいつは、約束を破ったってことか! あの川瀬さんの悲痛な思いを踏みにじったってことか!」
《そういうことになるな》
かおるは、全身が痛む中、立ち上がる。
「ふざけやがって・・・・・ふざけやがってええええええええええええ!!!!」
「叫ぶねえ」
「のどがらがらだわ」
「だろうね。絶対俺、こんなに叫びたくないよ」
「だって、作者が叫べって・・・」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。




