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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第二部 成長が必要なのかどうなのかという件について(仮)
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いきなりニヤニヤしている件について(仮)


「どうしてなんだ?」


 竹市が篠原に聞く。


「たかこは、純潔の魔女だ」


「彼女もなのか!」


「ああ、魔女は特殊な能力を持ってるだろう? たかこはその中でも世界の全精霊と対話をすることができるんだ」


 篠原は店員に再度、お冷を頼む。

 正子が、続きを言う。


「魔法使いは四元素の精霊を媒介として魔法を行使するんですが、精霊と対話できるわけではありません。あくまで媒介とするだけで、結果として魔法を使うことができるようになるんです。でもたかこさんは対話ができる。でも、これ自体が魔法の威力に直接的な影響があるわけではなんです。対話ができるからといって、精霊の力が増すわけではありませんから」


「つまり、精霊との対話ができるからといって、それが優位に働くわけではないってこと?」


「いえ、魔法自体の力を上げることはできませんが、その他は別です。例えば、相手が同じ魔法使いなら、相手が行使しようとしている魔法の種類などがわかったり、相手が隠れていても精霊が教えてくれます。戦闘ということを考えれば、これは大きな武器になります。そして、逃亡をする際にも同じです」


 逃亡とは、なんとも大それた言い方であり、しかも、冷たい言い方ではあるが、それ以外に言い方がなかったのだと、かおるは理解した。


「つまり、俺達の行動を精霊によって把握することができるってこと?」


「そういうことです」


 この説明に、竹市も納得をしたみたいで、何回も説明の途中で頷いていた。

 かおるも、大体わかった。


 しかし、それならなおさら全員で行動しても意味がない気がする。

 それは竹市も同じであったみたいで、彼がそれを尋ねる。


「そこで、なぜ全員で一緒に捜索ということになるんでしょうか?」


「全員で捜索といっても、皆で一列揃って捜索するわけではないんです。ある一拠点を目指して、捜索するんです」


「どういうこと?」 


 かおるは首をかしげる。


 それには篠原が反応した。


「つまり、ある地域を捜索するとするだろう。そのときに、皆で円状になって、ある最終地点に向かって移動するんだよ。簡単にいうと、東西南北から、中心に向かって移動する感じだな」


 その説明を聞いてもかおるは首をかしげたままだった。

 移動の仕方はわかる。

 でも、それがなぜ、川瀬捜索に役立つのかわからなかった。


 正子もそれを察したらしく、篠原の後を引き継ぐ。


「わたし達が捜索する地点の魔力分布と、固有電波を良太郎さんに確認してもらうんです。わたし達が、たかこさんに、常に通信を送り続ければ、いくら電波拒否をしていても、電波分布に異常がでます。その異常がでている箇所におそらく、たかこさんがいることになるんですが、今まではそれがわかっても、一人づつだったので逃げられてしまっていたのだと思います。それを、全員でしかも、包囲して探索することで、より発見する確率があがるというわけです」


 理屈としてはわかる・・・だが・・・


「それだと、広範囲の探索はできないですよね? 円状に全員で分かれるとしても、お互いがフォローできる距離でしか広がることができない。そうなれば、そこまでの広範囲を一回でできるとは思えません。無理に広げてしまえば、間を抜けられてしまえば、居場所がわかっても意味がない。それでは本末転倒ですから」


 そう。かおるもそれを感じていた。竹市ほどに詳細に自分の意見を理解していたわけではないが・・・。


「ええ、だから、ここからはむやみに捜索するのではなく。場所を特定して捜索します。そのほうがむやみに捜索するよりはいいかと」


「俺も正子の意見に賛成だ。ある程度限定して、捜索したほうがいいと思う」


 竹市は、悩んでいる様子だった。

 おそらく、この作戦の問題は、どこを捜索するのかというところだ。ある程度、予測ができる場所がなければ意味がない。


「そういえば、人員は俺達しかいないの? 宮内家の人達の手を借りることはできないのかな?」


 ここで、かおるはいいことを思いついたと思った。

 宮内家の人員を使えるなら、それに越したことはない。


 しかし、帰ってきた答えはいいものではなかった。


「だめだ。宮内家は今、まだ、この前の騒動の収束に人員が割かれている。何せ、土地の管理者がいなくなったわけだからな。他の土地との関係やらなんやらで、簡単に人を避ける状況ではないんだ」


 竹市は低い声で言う。


 軽率なことを言ってしまった。


「限定する箇所はもう決まっているのですか?」


 その言葉を聞いて、正子と篠原は、いじわるな笑顔になった。


「おびきよせようと思っています」


「どういうことですか?」


「簡単な話だ。あいつの中にある中二精神をくすぐるんだよ」


 かおるは、その言葉を聞いてあまりいいものではないだろうなと思った。

 

 だが、おそらく、このまま八方塞がりのまま捜索をしたとしても、彼女を見つけることはできないのだろう。何せ一週間も見つけられなかったのだから、これは、2人の意見に乗ったほうがいいのかもしれない。


 かおるは、ニヤニヤしている2人を見て思った。

「なかなかカオスな話になっちゃったね」


「ほんとだぞ、まさか来るのかな?」


「明日のお楽しみってやつだね」



 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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