気が付かないはずがない件について(仮)
「今日は、ありがとうございました」
正子がかおる達に向けて頭を下げる。
「えっ? 正子どうしたんだよ!? いきなり頭なんか下げて」
「本当ですわ。今日は皆で遊んだだけで、わたくしたちに礼を述べる必要なんてないですわよ」
「そうだよ。どっちかっていうと、今日は俺の誘いに乗ってくれた皆に、俺が礼を述べたいくらいだよ」
「・・・・・・・・。」
3人が、急いで正子の礼に対しての言葉を述べる。
かおるも何か言おうと思ったが、正子の様子を見て、何かを言うべきではないと思った。なぜなら、彼女の目は、すべてを理解しているように思えたからだ。
「本当にありがとうございます」
正子は、彼らの言葉を頭を下げたまま聞いた後、再度礼を述べる。
「いや、だから、頭上げろって・・・・」
「わたし!!」
正子が篠原の言葉をさえぎり言う。
「わかっているんです。みなさんがわたしのために、この日を用意してくれたってこと・・・」
正子は顔を上げる。
その目にはうっすらと涙が溜まっているように見えた。
その言葉を聞いて、3人は黙る。
「今日、一日を通して、みなさんがわたしのことを楽しませよう、元気付けようとしてくださっていることを、ものすごく感じました。みなさんは、祖母のことから落ち込んでいるように見えたわたしを、励まそうとしてくださったんでしょう?」
「いつから、気が付いていたんだい?」
良太郎が問う。
「はっきりと、そうだろうなと思ったのはお昼を食べてからです。そこで、みなさんがわたしに、いろいろと楽しいことを提案してくださったので・・・、でも、最初から、もしかしたらとは思っていました。だって、良太郎さんや、かおるさんまでもそんな格好するなんておかしいじゃないですか」
正子は微笑む。
かおると良太郎は、まず自分の格好を見て、相手の格好をみて、彼らも微笑んだ。
自分達がおかしな格好をしていることを再認識したからだ。
「それに、2人も」
正子は、篠原と川瀬を見る。
「わたしが、2人の格好を見て、それが気合の入ったものか、そうでないかがわからないはずがないでしょう? 今日が気合が入っていることは最初からわかってたよ」
「正子・・・」
「まさこさん・・・」
「だから、みなさんにはお礼をいいたいんです」
正子はまた、頭を下げた。
「お嬢さんには叶わないな」
その言葉にまた、彼女が微笑む。
かおるは、やはり彼女には笑顔が似合うと思った。
少しして、正子に言葉が投げかけれる。
「・・・それでさ・・・正子、その・・・」
「どうして、中二行動をやめたの?」
篠原が、正子に何か言おうとして言いよどんでいるのを見て、かおるは意を決して、聞いた。ある意味、関係の薄い人間が聞いたほうがいいと思ったからだ。
「それは、そうですね・・・。何か深い意味があったわけではないんです。その時期が来たという表現が一番いいかもしれませんね」
「つまり、しっかりしなければいけなくなったから、やめたってこと?」
「簡単に言うと、そうかもしれません。でも、それが嫌いとはではないです。だから、2人にはわたしがそうだからと言って、やめて欲しくないし、わたしはこれからも2人と一緒にいたいです」
正子は、あまり表情を変えずにいった。
それを見て、かおるが再度意を決して、言おうとしたとき別の人物が叫んだ。
「無理していってんじゃねえよ!!」
叫んだのは篠原だ。
「今日一日見て思ったぞ。正子はやっぱりこれが好きなんだってな。だから、無理して時期が来たといってんじゃねえよ! 好きなことは好きでいいじゃねえか!!」
「ともちゃん・・・」
「そうですわ! 正子さんは、わたくし達の前では無理をしなくていいのですわよ。だってわたくし達、仲間でしょう? すべれをさらけ出していいのですわよ」
「たかこさん・・・」
その言葉に、正子が唇をかみ締めながら、目に涙をためる。
良太郎が正子の前へと踏み出す。
「そうだよ。お嬢さん。家のことを気にしているのかもしれないけど、皆、君の幸せを一番に願っているんだからね。確かに、将来的にはしっかりしないといけないのかもしれない。でもさ、まだ高校生じゃないか、だから好きにしていいんだ。もし、それでも家のためにと思ってしまって心が痛むようなら、この2人の前だけでも、本当の君でいていいんじゃないかな?」
「良太郎さん・・・」
かおるは、四人を見て、素直にいいなと思った。これが仲間というやつなんだろうなと・・・、正直にうらやましかった。
「わたし!・・・」
ついに、涙腺の崩壊だ。正子は、顔を両手で押さえながら涙を流す。
正子には、篠原と川瀬の2人が寄り添うように両肩を支えていた。
これでやっと一段落なのかもしれないなとかおるは思った。
しばらくして、正子が目を腫らしながらも泣き止んだ。
そして三度、お礼を言う。これは、先ほどまでの一歩引いたものではなく。かおる達が素直に受け取れるものだった。
「それじゃ、本当に解散ということで」
良太郎のその言葉で、本日の解散となる。
そして、最後に正子からの一言・・・
「ふん! 仕方がないな。我の中に眠りし雷竜のうずきがもう限界だからな。今日は引くとしよう。さらばだ!!」
「またね」
「また学校でー」
「いやあ、いい話だったね。俺の力だね」
「お前の格好さえなければな」
「あれがあったからなおよかったんだよ。ほら、俺のセリフとは最高だったでしょ?」
「自分で言ったらだめなやつだからそれ!」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。




