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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第一部 ハードボイルドがわからない件について(仮)
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次世代のためな件について(仮)


「どういうことなの?」


 レヴィアタンが結界に背中を預けながらやっと立つ。


「まさか、あなたが怠惰だから、本気を今まで出したことがなかったとかって話じゃないでしょうね? そもそも、この七つの大罪の悪魔がすべて同列であるというのは、神が決めたものなのよ! サタンやルシファーだって、悪魔としての位は私よりも上でも、力は同等になっているはず!」


《ふん。そんなことは知らない。怠惰のときの俺が同列なんだ。勤勉という言葉は嫌いだが、そういう俺はお前らとは数段違うんだろうさ。まあ、神の誤算だろうな》


「それにしても、本気を出すまで、時間かかり過ぎだろう。正直やばいと思ったぞ」


 かおるが肩を揺らしながら言う。

 流石に、ベルゴの本気を使うには体の負担が大きいので、今にも倒れそうだが、かおるはそれを悟られまいと、必死に踏ん張る。


「なん・・・だと・・・・、そんな馬鹿な。それじゃ、私の存在が・・・・」


《もう十分に、楽しんだだろう。それに、存在が消えてしまえば、もう聖域に行くこともないんだ。苦しむこともない。嫉妬を捨て切れなかったお前の怠惰だ》


「じゃあ、さよならだ」


 かおるが、右腕に黒炎を纏う。


「ま! 待って!」


「何だ」


 レヴィアタンは、ひざを着く。

 その表情は必死さを持っていた。


「正子の体を乗っ取るのはあきらめるは、私の力だけ中に入って、彼女の意思を尊重する。そう、今のあなた達みたいな関係ね。だから、私の存在を消すのだけはお願い。やめてくれないかしら」


 レヴィアタンが土下座をする。


「そういわれてもなあ」


 かおるは、ベルゴを一瞥する。


「無理だろう。それは」


「どうして?」


「だって、お前のことは信用できないし、それに今の状況が無理だ」


《悪魔の祭典は途中でやめることはできない》


 ベルゴが言う。

 それは、レヴィアタンにとっては非情な言葉

 しかし、今までの行動が最後にこれを招いたのも事実


「いやだ。いやだいやだいやだいやだいやだあああああああああ」


 レヴィアタンの周りに巨大な磁場の空間ができる。

 それが、乱雑に周囲に撒き散らされる。


《最後は、きれいにいかせてやりたがったが、仕方がない。かおる、最後は俺がやる》


 ベルゴにも、もしかしたら、同じ悪魔ということで何か思うところがあるのかもしれない。

 それに、もうかおるは、動くのもしんどい。


「ああ、わかった。」


 かおるの周りに今までとは明らかに違う量の黒炎が出てくる。

 それが、レヴィアタンを包まれていく。


「やめろおおおおお」


 瞬間、結界が消える。

 

 それは、この戦いの終焉を物語っていた。




 黒炎がかおるの体も戻ってくる。

 そのとき、かおるは、今までとは違う力の存在を感じていた。

 そう、それがレヴィアタンの力、黒雷である。


 かおるは、さっきまでレヴィアタンがいたところ、正確にはレヴィアタンが乗っ取っていた清の体が、横たわっているところに行く。


 そこには、それまでの彼女からは想像ができない容姿の女性がいた。

 いや、今までの彼女の容姿がおかしかったのが、歳相応に戻っただけだろう。


「あ・・り・・が・・とう」


「意識が!」

 

 かおるは、清を抱きかかえてる。


「大丈夫ですか?」


「正子のところに連れていってもらってもいいかしら?」


 かおるは、清を正子のところまで抱きかかえて連れていく。




「正子」


 清は、正子の顔にそっと手を添える。


「あの、悪魔に意識を乗っ取られてからは、ずっとこの子のことが気がかりで仕方がありませんでした。なんとかして阻止したかったけど、私にはどうすることもできなかった。改めて、ありがとう」


 清が、かおるに向かって頭を下げる。


「いや、俺は特に何も、ベルゴ・・俺の中にいる悪魔がほとんどしてくれましたから。・・・それに、宮内さんはもう・・・」


 そう、正子はもう助からない。嫉妬の悪魔を倒してしまった今となっては・・・。

 そして、それを選択したのはかおるだ。


 かおるが、唇をかみ締める。

 それは、彼だけではなく。良太郎も、竹市もだ。


「大丈夫、まだ間に合う」


「え? どういうことですか?」


 良太郎が聞く。


「まだ、正子は間に合うわ。私がいるから」


 そういうと清は、かおるを見た。


「あなたに、お手伝いをお願いしたんんだけど、いいかしら?」


「え? ええ、もちろん。何をすれば?」


「これから、私が、悪魔の代わりとなって正子に入ります。といっても、彼女みたいに、正子の中で意識を保つことはできないけど、でも、それだけじゃだめなの。漆黒の力がないと、だから、あなたの中のレヴィアタンの力を使って、私を正子に送り込んで欲しいの。そうすれば、正子は助かる」


「でも、それじゃ、あなたは?」


「私はもうだめ。すぐに命尽きる運命。だから、次世代のために自分の命を使いたい」


 その意思が、本気であることは、そこにいる誰もに伝わってきた。

 

(できるか?)


《ああ、できる》


「わかりました。手伝いましょう」


 


 


 


「おお! かおるがやっとレヴィアタンを倒したね」


「かなり激しい戦いだった」


「それにしても最後はまさかの覚醒パターンだとは、驚きだよね」


 それに作者が答える。


「まあ、お決まりでしょう!」

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