演技派女優な件について(仮)
「ガキが!!」
清の体の後ろに、黒雷でできた大きな竜ができる。
その声は地響きにも似た低い声だ。
「ふん。おい! 良太郎! 宮内さんを頼んだぞ! 竹市君、これでわかったろ! 後の行動は好きにしたらいいさ。
ベルゴ! どうだ?」
《後、少しだな》
かおるは、黒炎をどんどん、清に放っていく。
それを、清は黒雷で防ぎながら、彼女も反撃を行ってくる。
どちらも同等の力なので、双方の攻撃がぶつかるごとに、双方が打ち消される。
「これで、どうやって私を倒すつもりかしら? 同等の力である対決は、体力勝負よね。でも、おそらくこっちの体が持たなくなるよりも早く、あなたの体が持たなくなると思うわよ」
かおるが、清に向かって走り出す。
彼の右腕には炎が、さらに、彼の左右に大きな炎の塊が作られていく。
しかも、地面にもぐりこませていた炎が、清の後ろから突如として出現し、正子を清の側から飛ばした
それに気を取られた清に向かって、両翼の黒炎を飛ばす。
清はその防御に意識を持っていかれる。
正子は良太郎の下へと飛ばされる。
「行け!」
その言葉に良太郎がうなずく。
「竹市君、俺の護衛頼めるかな?」
「よくわからんが、わかった。」
「逃がすか!!」
清が、屋敷の周りの結界を張る。
かおるが、その結界に向けて、攻撃を加える。
しかし、結界はびくともしない。
「無理よ。この結界は、万が一のときのために、私が毎日練りこんだ力でできたのも。いくら同等の力とはいえども、簡単には敗れない」
かおるが、視線で自らの背中から出ているベルゴに確認する。
《こいつの言う通りだ》
良太郎と竹市は、庭園で足止めを喰らう。
「ったく、厄介なことを・・・」
「それを言うのは、私のほうよ。2人の意識があるから、操られる炎の数が多いのと、動きがそれぞれ違うから、厄介この上ないわ」
かおると、ベルゴ、2人で黒炎を別々に操ることで、レヴィアタンとの戦闘を少し有利に進めていた。
「でも、それはある意味で、普段の何倍もの力を使っているってこと、なら、体の消耗も早いはず。さて・・・、どうするのかしら?」
レヴィアタンは劣勢であるが、余裕の表情をしているのに対し、かおるは、肩で大きく息をしていた。紋様も、一部が顔にまで侵食してきている。
「はあ、はあ、どうだ?」
《後、もう少しだ。辛抱しろ》
「何をこそこそと話しているのかしら? あなた達がまた、地下から攻撃をしてくることはわかっているわ」
その言葉の通り、黒炎が清の周りを囲うように地面から伸びる。
それを、清が自身の周りに黒雷をまとうことで防ぐ。
「そんなに頑張ってくれちゃって、大丈夫かしらああ!?」
清は、かおるをあざ笑う。
「ちっ!」
清がちらっと、良太郎たちを見る。彼らは、屋敷から出れないので、庭園で2人の戦闘を見ていた。
「やばい! 逃げろ!!」
「遅い!!」
清の放った雷撃が、2人を襲う。
(やばい、良太郎は見るからに憔悴しているし、竹市ではあの雷撃を防ぐことができない! 俺の炎も間に合わない!)
ドカーン!!
雷撃が2人にぶつかる。
「正子の体さえあればいい。あの2人の死体を見て、せいぜいあんたの言う悔いを残しなさい! ははっはははははははは」
レヴィアタンの醜い笑声が響く。
「竹市家の人間をなめてもらっては困るな・・・。」
「!?」
「!?」
爆風による煙が吹き上げられ、3人の姿が見える。
竹市の後ろに、正子を背負った良太郎がいる。
その姿ははっきりと確認ができ、周りに竹市による防壁ができていた。
「貴様!!」
「ふん。防御は竹市家の誇りだ! どんな攻撃であろうが、ここを守りぬいてみせる!!」
「人間ごとぎがあああああああ!!」
清が、その防壁に向かって、大きな雷撃を放つ。
「熱くなるなよ。醜いぞ」
その雷撃を、今度はかおるが、防壁と雷撃の間に立ち防ぐ。
かおるが、後ろを顔だけで振り向く。
「飛び火したものは任せてもいいか?」
「当たり前だ!」
その答えにかおるが笑みで返す。
「なっ!」
かおるが、正面を向くと、目の前に清のこぶしが見えた。
それを、なんとか手で受けとめる。
「流石に腹が立ってきたぞ! お前の体が朽ちるのを待つつもりだったが、この手で殺す!!」
「おいおい、今度は肉弾戦ってか? お前が言ったんだぞ? 漆黒の力をの戦いでは良くても引き分けだって」
清の攻撃を、なんとかかおるは、防いでいくが、かおるに武術の心得はない。序所に体に攻撃を喰らいそうになるのを、ベルゴが制御している黒炎でなんとか防いでいた。
「はああああ、天のイカヅチ!!」
かおるは、それが自分に向けたものだと思い。自分の周りのバリアを張る。
しかし、それはかおるに向けたものではなかった。
その魔術式は、別の場所、良太郎たちのところに発現している。
「残念でしたあ」
清が舌を出す。冷静さを失ったと見せて、実は冷静だったということを意味している。
「くそったれが!」
かおるが、竹市の下へ急いで走っていく。
「来るな! 後ろだ!」
(陽動か!)
その瞬間、かおるが雷竜に包まれる。
なんとか、ベルゴの黒炎で防いではいるが、ベルゴも不意を付かれた。かおるの体が吹き飛ばされそうになる。
(これは、攻撃系ではない!?)
「あなたは、どっかに吹っ飛んでなさい。じゃまだから、戻ってきたころには全部終わってるわ」
レヴィアタンはかおるを、遠くへ飛ばすべく、これまでさも、かおるを殺す気でいるような演技をして、かおるに不意打ちをかける算段を立てていた。
(やばい!!)
かおるの体が浮き、竜の口にくわえられ、どこかえ連れて行かされそうになる。
(まだか!!ベルゴ!!)
《整ったぞ》
瞬間、その場のすべての力という力が消える。
「最近、作者は昼寝のし過ぎで、逆に昼間気持ち悪いらしいよ」
「あほだな」
「いやあ、眠いんでね、やってしまいます」




