馬鹿にはわからない件について(仮)
「とりあえず。宮内さん返してもらってもいいですか?」
「おい、待て!」
竹市が、ようやくかおるの追いつく。
「あ! 御当主、夜分に失礼いたします」
竹市が状況に不釣合いなあいさつをする。
「あなたは・・・、竹市家の子ね。これは一体どういうことですか?」
「はい! それが・・・」
「嫉妬の悪魔、茶番はよそう」
かおるが、割って入る。
「おい!、貴様、御当主になんて口を!」
「竹市君! 本当のことを知りたいんだろう? だったら、少し見ててよ」
かおるの、今までに見せたことがない雰囲気に、竹市だけではなく。良太郎も驚いた。
かおるの指示に従い、竹市は口をつぐむ。
「茶番だなんて、ひどい言い方をするのね」
「今のあんたが、本当の姿ではないことは俺にはわかるんだよ。だって、俺は怠惰の悪魔を身に宿すものだから・・・」
かおるは、背後に大きな黒炎でできた何かの獣のようなものを見せる。
それを見て、清は一瞬ビックリしたようにも見えたが、すぐに元の顔に戻った。
「なるほどね。これで、いろいろと納得ができたは、私のじゃまをできたのも、攻撃を防ぐことができたのも、上野に渡した力をなぜ制御できていたのかも、すべてね。あなたがいたからなのね。ベルフェゴール」
清は、かおるの背後の黒炎に向けて言う。
「黙ってないで、何かいいなさいよ。この土地なら、あなたも言葉を発することができるはずよ。面倒くさがらないで、久しぶりにお話ししましょうよ」
《相変わらずだな。レヴィアタン、嫉妬ばかりして、よくもあきないものだな。聖域でみないと思えば、こんなところで、長年いたとはな》
黒炎から、声が発せられる。
それには、かおるも驚いているようだった。
「あなたは、あいもかわらず怠惰にしていると思ったのだけれど、どうして、ここにきているのかしら? 今までのあなたなら、こんな面倒なことには関わりを持ちたくないと思うはずよね」
《俺だって、静かに暮らしていたいけどな。お前のせいで、こいつが俺を静かにさしてくれないんだ。だから、仕方なくだな》
「ふーん、そう。私の計画をじゃまする気なのね」
《そうなるな》
「でもね。これはもう私の勝ちなのよ。小僧、説明してあげて」
その言葉で、その場の全員が良太郎を見る。
良太郎は少し、戸惑いながらも答える。
「もう、お嬢さんの体はだめなんだ」
「だめ?」
「あいつの狙いはお嬢さんの体を乗っ取ること、でももうお嬢さんの体は、あの悪魔の力を使いすぎたことによる消耗で命が持たないんだ。だから、悪魔が中に入るしかない。そうでなければ、死んでしまう」
「なん・・・・」
なんてことだ。これでは、戦う前から、勝敗が決まっていたようなものだ。
これまでの行いの意味がすべてなくなってしまった。
かおるは、一種の放心状態となる。
「あはははははは、残念でしたあ、人間ごときがどうあがこうとも無駄なのよ」
《どうする? あいつと戦い、体の乗っ取りを阻止し娘の尊厳をとるのか、それともそれを容認して、あの娘の命をとるのか》
ベルゴがかおるに向けて問う。
非情な判断を迫っていることはベルゴにも分かっている。
しかし、あくまで、ベルゴの行動はかおるの意思があってのものだ。
最終判断はかおるが決めねばならない。
「俺は・・・・・」
レヴィアタンは正子にまた近づいていく。
また、彼女の体を乗っ取るための体制に入る気だ。
かおるはそれを見る。
判断しなければ・・・。
(どうすればいいんだ!)
「か・・・かおるさん」
そのとき、正子が目を覚ます。
「宮内さん!」
「わたしは・・・、自分の意思で生きていきたい。家のために自分の意思を押し殺すことは別にかまいません。それもわたしの意志です。でも・・・、それまで取り上げられるのは死んでも・・・いやだ!」
「大丈夫よ。あなたの意思も私は大切にしてあげる」
清が迫る。
《どうするんだ?》
「かおる!」
良太郎が叫ぶ。
「おい!」
竹市が叫ぶ。
(なんだよ。くそっ、わかってるよ。俺がやるべきことは、でも命がかかってるんだぞ。そんな簡単に決めていいのかよ。)
そのとき、かおるの脳裏にハルカとの記憶がよみがえる。
中学にあがった頃だったか。
「もしも、あんたが、何かの判断で重大なことを迫られたとしたら、こう考えなさい。悔いが残らないほうではなく。悔いが残るほうを考えるの」
「え? 逆じゃなくて?」
「だって、その場で悔いが残るかどうかなんて、わかったら、人間苦労なんかしないわよ。それなら、後々悔いが残ると思った道のほうが、その出来事を忘れずに済むでしょう? それなら、その出来事を背負うことができる。ようは誠実さが大事なの」
「なんか、よくわからんな。まあ、参考にはさせてもらうよ」
「まあ、馬鹿にはわからないか」
「ベルゴ!!」
《わかった》
かおるが、黒炎を、レヴィアタンに向かって放つ。その瞬間、右腕にしかなかった紋様が右胴体にまで広がる。
その攻撃をレヴィアタンが黒雷で防ぐ。
その顔には怒りが浮かんでいた。
「どういうつもり? この子を見捨てるってことかしら?」
低い声。
「ふん。俺は悔いが残るほうを選ばせてもらう。そして、お前にも悔いてもらう!」
「やっと、この章の最後までを、作者が書き終えたらしいよ」
「おお、それはよかった。読んでくださる読者の皆様のためにもっと精進してもらはわないとな。後他の作品も早く更新しないとな」
「頑張ります」




