何度目かの嫉妬の件について(仮)
「そうですか。もう、あの四人が戻ってくることじゃないですか?」
「大丈夫よ。あの光の中にあなたの隠れ家はないからね。あれは偽者、ただただ迷路が広がっているだけの偽者よ。」
清は笑みを絶やさない。
「なんで、そんなことを?」
「それはね・・・、こういうことだからかな。」
清は自身の着物、といっても、かなり着崩していて、花魁のような格好をしている、その胸から、先ほどと同じような光の玉を取り出した。
それを、清はそれポイっとほおる。すると、それが、今度は人型にと変化していった。
「・・・・・!?」
良太郎は動揺を隠すのに必死だった。
いくら、あらゆる可能性を考えていた彼といえども、その光がなった人型を目撃して、冷静でいられるはずがなかった。
「ビックリしたかしら?」
そこには、彼が自らの隠れ家に隠していたはずの、今回の騒動の中心人物であり。彼が守りたかった人物である・・・宮内 正子が存在していた。
「これは・・・、お手上げですね。」
「ふふふ、そうでしょうねえ。」
清の表情は本当にうれしそうな表情である。これが最終的にありながら、たらたらと会話をしていたわけだ。本当に、この人はいやな人だなと良太郎は思った。
「この愚かな人間に、どうやってお嬢さんを俺の隠れ家からここまで連れ出したのか、教えてくれませんか?」
良太郎は無理に微笑む。ほとんど詰みの状況であるが、正子をいつ見つけたのかが問題だ。
「そうねえ、私が特別棟で、小僧の裏切りを知ってたときに私はすぐに正子の探索をしたわ。それで見つけたのよ。」
「探索?」
「ええ、といっても簡単なことなのよ。私からするとね。この子はもう私の分身みたいなものなんだから。」
(どういうことだ?)
良太郎の顔から、彼の思考を読み取った清が微笑みなおす。
「意味がわからないって顔ね。一つあなたの知らないことを教えてあげるわ。この土地を支配している覇竜と呼ばれている竜がいるでしょう? あれ、私の本体なのよ。」
「・・ウソだろ・・・」
「だから、私の力を使っているこの子には、体の中に私が入っているようなものなのよ。だからこの子がどこにいるかなんてことはすぐにわかるわけ。無駄な労力をあなたも使ったものね。」
「それはあなたのほうでしょう。あなたはもうお嬢さんを手に入れていながら、俺を無駄に捜索させて、しかも今、自分の部下を無駄な捜索に再度送っている。」
「これはね。道楽なのよ。私のね。あなたにはこれからも働いてもらわないといけないから、すべての真実を教えてあげるわ。」
清は語りだした。
「宮内家は何年の家だか知ってる?」
「この土地に来て、約200年ですね。」
「そう、正確には198年よ。そのときこの土地に来た人間の名前は宮内 君子、初代宮内家当主よ。この人物について知っていることは?」
清は良太郎を巻き込みながら説明をするらしい。
良太郎は従うしかないと思い。そうする。
「俺が知っているのは、この土地にきて、覇竜の怒りを沈め。それまでばらばらであった。異能力の力を持つそれぞれの家をまとめたもの、っていうことですかね。」
「そう。それが伝えられている君子の話よ。その君子は漆黒の力を内に秘めていたのよ。それが、この土地に来て、覚醒した。」
七つの大罪が持っているといわれる漆黒の力、それは伝承で伝えられている力である。誰も見たことがないといわれている力。
「ここにある大きな湖はね。特別な力があるのよ。霊脈がいくとも繋がっていて、様々な力を呼び寄せていた。最初は君子のその一人に過ぎなかった。でも、湖の力で、本来は宿主に押さえつけられるか、食いつぶすしかできない悪魔との関係が変わったのよ。湖の霊脈が宿るこの土地にいるときには、私は君子と会話をすることができるようになっていた。」
悪魔と会話をする。それは、特別なこと。
「そして、私は君子に力を貸すことにしたわ。なんていうのか意気があったのね。それで、そうしているうちにこの土地に愛着がわいてきちゃってね。2人で、私を体から分離するすべを開発した。それで、私は湖の竜となった。」
レヴィアタンは竜に近い蛇として表されることがある。
「私は竜がうらやましかったのよ。あいつらは空を飛べるのに、私は飛べない蛇として描かれる。嫉妬していたわ。でも、この土地で竜となることでそれは解消された。そして、君子の望みを聞いてやったのよ。この土地を守るために、宮内家の当主となる人間に力を貸すことをね。
それから百年くらいは、ただ力を貸すだけの竜として暮らしていたわ。でも、あるとき、この子が生まれた。」
この子というのは、自分自身、清のことである。
「この子は、とても美しかった。それはもう、嫉妬するほどにね。だから、この子の体が私の力に耐えられるようになったころに、この子に体に移ったわ。そして乗っ取った。それで、私は満足だったのよ。だから、この体が限界がきたら、また、ただの湖の竜に戻るつもりだった。でも・・・。」
清は正子を見る。
「でも、この子が生まれたのよ。歳をとったこの体から見るとこの子のことを、私はまた嫉妬するようになった。すぐにでも私はこの子に移りたかったけど、今のこの子の体では、まだ私の力に耐えられない。だから、だからある計画を立てた、それは、体を私の力で鍛えさせて、力に耐えれる体にすること、計画はこの子が小さいころから行うつもりだった。でも、この子の母親が、私の正体に気が付いた。」
正子の母、良子は12年前になくなっている。
「まさか・・・。」
「そう、じゃまだからね。消えてもらったわ。でも、あの娘は正子に、最後の力を振り絞って強力な守護魔法をかけて死んでいったわ。だから、今回の計画を立てたのよ。」
「やっと、最終章らへんって感じだね。」
「ここまで長かったな」
「途中蛇足がなかったとはいえないけどね。」
「まだまだ、蛇足も書いていきますよ!」
「最低だ。」
「最低だ。」




