なんでもお見通しな件について(仮)
(七人も漆黒の力を持っている人間がいるのか?)
《そうだ。》
(なんで、七人なんだよ?)
《漆黒の力とは、大罪の悪魔が行使する力のことだ。大罪とは、人間の欲のことで、七つの大罪とは聞いたことがあるだろう?》
(その悪魔がお前なのか?)
《そうだ。俺は怠惰の悪魔、ベルフェゴールだ。》
かおるは、ようやくなんとなく、流れがわかってきた。
(つまり、俺はその漆黒の悪魔、お前をなぜだか宿すことになったってことか。それで、俺は漆黒の力とやらが使える。)
かおるは、近くのベンチに座った。
(なんで俺なんだ?)
《それは俺にもわからない。少し前に何か、魔方陣みたいなものを拾わなかったか?》
かおるは、また自分の記憶をたどる。魔方陣? そういえばそういうものを手にしたような気がしなくもないが、そう思い。ふとかおるは自身の右腕を見た。そこで、フラッシュバックのように思い出す。
(そういえば、拾ったぞ。なんか・・・、それで、なんか腕に意味わからない紋様ができたんだ!)
《それは、漆黒の力の紋様だ。》
かおるは、そういわれて、自身の右腕をよく見た。するとその紋様はすでに肩のほうまで伸びているのが見えた。
(おい! なんかこれ広がってるんだけど?)
《ふむ。》
かおるは、次の言葉を待つ。
しかし、返答が来ない。痺れを切らして聞く。
(いや、ふむ・・・。、じゃなくて、これは大丈夫なのかよ?)
《お前は元々普通の人間だろう?》
(そりゃ普通の人間だ。)
《だからだ。普通なら、漆黒の力は、もともと強力な魔道師か、それに伴う人間に宿るはずになっているんだ。後はわかるだろう?》
かおるは、少し考える。
(いや、わからんけど?)
《はー。》
(ため息かよ! まさか、お前めんどくさがってないか?)
《・・・・・。》
絶対にそうだ。かおるはそう思った。なにせ、こいつは、怠惰の悪魔だからな。絶対に説明するのがめんどうになっているに違いない。
《おい、聞こえているぞ。》
(そういえば、俺の心の声がそのまま聞こえるのか。俺にはお前の心の声が聞こえないのに不公平じゃないか?)
《それは、知らん。仕方がないから説明してやる。お前は普通の人間だから、そもそも漆黒に力に体が耐えれないんだ。だから、普通ならこんな力を宿した時点で体が爆発していても不思議ではない。》
それを聞いて、かおるは自身が爆発する姿を想像して唖然とした。
《それがなぜだが、爆発しなくて、体に定着した。これはなぜなのか、俺のもわからん。だが、所詮は普通の人間だ。その力が体を浸食し始めている。これが、大きな力をもともと持っている者なら抑えることができるが、お前はそうはいかない。その侵食が進んだから、今俺との意思疎通もできている。普通なら、大罪の悪魔とその持ち主が会話するなんてことはないからな。だから、まあ、無理はせずに力を使うこともやめておくんだな。力の浸食くらいは俺が抑えておいてやる。》
(なんで、そんなことしてくれるんだ? お前にはなんの利益もない話しだろう?)
《俺はめんどうなのが嫌いなんだ。お前がこのまま何もしないで、大人しくしていてくれれば、俺もゆっくりできる。》
(そうか。それならさ。めんどうついでに聞いてもいいか?)
《なんだ?》
(今のこの俺とお前が会話している状況はおかしな話なんだろう。それなら、どうやって、漆黒の力を持った人間はそれを認識して、自分の中にいる悪魔のことを知るんだ?)
《それなら、簡単な話だ。自分がその能力を持っていることすら知らずに暮らすんだ。自身の中に変な力が宿るのは能力者ならわかる。でもそれが漆黒の力だなんてわからない。その中で、自分の中にある力を抑えようとして、自身の持っている元の力を使う。それで力尽きるんだ。それで、また漆黒の力は別のところに移る。》
(マジかよ・・・。じゃあ、俺はラッキーな部類ってことか?)
《いや、そもそも俺はいつも能力者の中に入ったときは、何もしないで、そのままその持ち主が死ぬのを待っているだけだからな。他のやつと違ってな。今回はたまたま、お前が普通の人間だから、少量の力が漏れるだけで、体が浸食されたってだけだ。》
(それなら、宮内さんから聞いた漆黒の力って、なんで表に出たんだ? それなら、そんな力が存在することすら人は知ることができないんじゃないのか?)
《力を宿したものの中には、いるんだよ。その力の行使をなぜかできる人間が、それは多分他の悪魔のことを抑えられる人間か、それとも悪魔自身が気に入った人間だからなのかは俺も知らないが、それが漆黒の力を使ったことによって広まったんだろうさ。》
(そうなのか。)
かおるに生ぬるい風がそのとき吹きかかる。
良太郎が言う。
「なんでも、今回からやっと、主人公のキャラを自分で理解できてきたらしいよ。」
かおるが言う。
「まあ、でもすぐにまたキャラがぶれぶれになっていくんだろう?」
作者が言う。
「まあ、その通りですね。」




