気分屋な件について(仮)
時刻は午前3時、かおるは、宮内家が経営をしているという病院に向かって歩いていた。
先ほど、情報屋の良太郎の隠れ家にて、宮内を交えた三人で多少の情報交換をして、今にいたる。現在彼は宮内家が経営をしている病院、氏宮病院に、篠原 としこ、と、川瀬 たかこを攫いにいく道中である。攫いに行くとは物騒な言い方ではあるが、ようは向こうの病院には伝えずに彼女ら二人を隠れ家に連れて行くのだ。だから、向こう側からしたら攫われることになる。といっても、そのままにしていては問題が大きくなってしまうので、時期をみて病院には、宮内 正子から連絡がいくれはずになっている。
かおるは、自分の中にいるものに話しかける。
「なあ? お前なら漆黒の力を上野に与えた人間のことを探すことなんて簡単なんじゃないか?」
少しの間があってから、返答が返ってきた。
《確かに、向こう側と俺が接触するようなことがあれば、お互いがお互いを認識することができるだろう。おそらく、その上野とやらに力を与えたやつというのは、俺と同格だろうからな。》
「同格ってことは、向こうも本当の漆黒の力を持っているってことか?」
《そうなるな。ただ、何人もの人間を経由している可能性もあるから、本当の黒幕にたどり着くには時間がかかるだろうな。》
「それは大変なことになりそうだな。」
それに対しての、やつからの返答はなかった。まったく、気分屋なやつだ。これから、こいつと付き合っていかないといけないとはな。
かおるはため息をついた。
それにしても、隠れ家だの、土地の管理者だの、魔法だの、漆黒の力だと、この数時間でいろいろな未知の話を聞いたものだ。
おそらく、今入りこもうとしている世界は、今まで自分がいた世界を表とすると、この世界は裏の世界になっているのだろう。
今になって自分のいる状況にかおるは、驚いていた。なにせ、中二病だと思っていた同級生が本当に覇竜の力を持っているのを知ってから、適当に言った漆黒の力を本当に自分も持っていたのだから、怒涛の変化である。今なら宇宙人なんかが降りてきても驚きやしないんじゃないかと自分でも思う。
かおるは空を見上げた。そこには、漆黒の空が広がっていた。その空にちらほらと星がまたたいている。いつもなら、満開の星空になっているはずだが、今日は雲もないのに、星は少なかった。
かおるはそれを不思議に思ったが、特に気にすることはなかった。そういう日もあるのだろう。なにせ、こんなにもいろんなことがある世界だからな。
《これは、俺の力の影響だ。》
いきなり、かおるの中のやつが言う。それにかおるは少しびっくりした。
「なんだよ。寝たんじゃねいのかよ。」
《漆黒の力を持っている俺は人間とは反対だ。》
「つまり、昼間は眠っていて、夜は起きているってことか。」
かおるはまたため息をついた。これから自分ひとりで休まる時間が少なくなると思うと悲しくなってきた。
「力を使うと、それが空に現れるってことか? なんかそれだと、みんなに申し訳ない感じがするな。」
かおるは数秒待った。今回もまた返答がない。
病院は山のふもとの近くにある。市街地の良太郎の隠れ家から歩いて三十分ほどはかかる。何か乗り物で行きたい気持ちはあったが、この時間には何も動いていない。タクシーなんかを呼ぶにしても、もしものことがあればいけないので、歩いていくことにした。
なんとも不思議な世界に入りこんでしまったものだ。まさか、自分の中に得たいの知れない凶悪なものを宿すことになろうとは、かおるは、自分の力を認識するに至った経緯を思い出していた。
良太郎がかおるにいった。
「この作者の情報を教えてやろう。今、作者はテスト期間中だそうだよ。だから、今毎日更新にひーひー言っているみたいだよ。」
かおるが返事する。
「マジか。でもまあ、毎日更新しかこの小説のいいとことはないからな。毎日しないとだめだろう。」
「がんばります。」




