別人な件について(仮)
「なんだ? てめえは!」
上野が、立ち上がる。その顔には今まで受けたどの傷よりも、先ほどのかおるのこぶしが、彼にダメージを与えたことを物語っていた。
「俺は・・・・。稲垣だ。」
かおるは、右手から黒炎を出している。
「その炎・・。まさか、お前も漆黒の力を持っている人間か」
「ああ、これか? 詳しいことはわからんけど、なんか本当にそうみたいだな。俺もビックリだ。でも、これで、さっき宮内に感じた申し訳ない気持ちはチャラにできそうだ。」
「あの? かおるさん。なんでここに?」
宮内が、体勢を整えて、かおるの後ろから彼に声をかける。かなり疲労している様子だ。
「宮内さん。説明は後にしよう。今はコイツをどうにかしないといけないしね。」
「・・・わかりました。ありがとうございます。」
おそらく、宮内はかおるが、もともと漆黒の力を持っている人間であったとまだ、誤解しているのだろう。いや、確かにかおるは漆黒の力を持っていた。でも、それを彼が認識したのは、つい数十分前にことである。
「まてよ!」
上野は、二人の会話を聞いて割りこんでくる。
「もし、お前が本当に漆黒に力を持っている人間だってんなら。お前はこっち側の人間になるはずだ。」
「どういうことだ?」
「だってよ。この力は、心に深い悪の思いがあるやつが覚醒する能力なんだぜ? なら、本能的にその力を持っているものは、俺のやることに賛同するはずなんだよ。」
上野が力説する。
「うーん。それは、何情報?」
かおるは、かなり冷静だ。
「これは、俺にこの力を与えてくれたやつが教えてくれたんだよ。俺のような人間こそこの力を持つのにふさわしいってな。」
《こいつはただ力を与えられただけの小物だな。》
(みたいだな。)
かおるが、自分の中にいるものと会話をする。これは、さっき自分の中にいることがわかり。この力の根源となる存在である。
この存在とはそれぞれの利害関係から、現在は強力関係にある。なので、今まで自分の意思で行使することができなかった。漆黒の力をかおるは行使できるようになった。
「そうか。でも、俺はそっちにはならないよ。ここで、俺はお前はぶっ飛ばす!」
その言葉を放たれて、上野の顔は怒りに染まる。
「けっ! せっかく、仲間にしてやろうと思ったのに、お前はせっかくの機会を失ったぜ。」
(っていっても、さっきのパンチ一つでこのざまだからな。正直、あいつの力がどの程度かわからないが、今までみたいにイージーモードとは行かないみたいだな。くそっ! こんなことになるなんて、聞いてねええ。)
上野は、そっと地面に黒炎をもぐりこませる。これは、かおるは狙ったものではなく。宮内を狙ったものだ。彼は、宮内を人質にして、この場を有利に進めようといていた。
しかし、その黒炎は、宮内の近くにいったところで、その力が上野の支配から離れる。
「残念ながら、お前の力は俺の力のまがい物みたいだ。だから、その力は俺に感知されるし、自然と俺にひれ伏すようになってる。だから、どんな攻撃も俺には届かない。」
「は!?」
上野は、その言葉の意味を理解できていない。
「何言ってんだよ!! 俺の力は、あの漆黒の力だぞ! お前みたいな喧嘩の一つもしたことがねえ、ションベンたれにひれ伏すわけがねえだろうが!!」
そういうと、かおるに対して、今まで、宮内に放ってきたものの10倍はあるかというほどの、黒炎の塊を放つ。
「・・・・・・。」
それが、かおるに到達しようかというとき、その塊がかおるの前で止まる。
「なん・・・だと・・・・。」
かおるが、右腕を上野のほうに向けると、その塊が上野のほうに向かって逆に飛んでいく。
「意味がわからねえええええええええ!!!」
上野にその塊がぶつかり、彼の元で今日最大の爆風が起こる。
「なんて、圧倒的な力・・・・。」
宮内が呟く。




