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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第一部 ハードボイルドがわからない件について(仮)
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自分の力によって終える件について(仮)


 「くそくそくそくそくそくそくそ!」


 上野はその言葉を高架下にて呟いては、叫び呟いては叫ぶ。


 時刻は午前2時になろうかという時間。彼がさっきまでいた高校から、この高架下までは、かなりの距離がある。

 

 上野は、さきほどその高校で、自身の攻撃を木っ端微塵にして敗れられ、屈辱的敗北を喫した。あの力を手にしてから、何事も自身の思い通りにいっていた状況から一変、彼のプライドは僅か数分でズタズタにされてしまった。


 「絶対に許さねえ。」


 自身のプライドを踏みにじった人間である。稲垣から上野はわずか一撃ですべての力を失った。その後は、その場から這い蹲るようにしてここまで逃げてきた。


 もう、力を失った上野のことは脅威には思っていないのか、稲垣は特に無理をして追ってはこなかった。そのことも上野には癪であった。


 「おい! いるんだろ? 出て来いよ! あんなやつがいるなんて聞いてないぞ! なんで、俺の攻撃がきかねえんだよ!」


 上野は、どこに向けてでもなく叫ぶ。


 すると、上野の背後に人が音もなく姿を現した。


 「そんなこといわれてもなー。」


 「お前が、いったんだろうが! この力を持っているものは誰にも負けることなく。誰の下につくこともなく自由にできるって!」


 「確かにいったよ。でも、それは君が漆黒の力に選ばれている間だけだともいったと思うよ。もう、君はその力を持っていない。あの子に根こそぎ持っていかれたからね。」


 フードをかぶったその人物は飄々として言う。その態度に上野は頭にきて、その人物の胸倉を掴む。


 「てめえ、そんな屁理屈はどうでもいいんだよ! あいつをぼこぼこにできる力を俺に寄越せ! あいつは絶対に許さねえ。」


 「あれ以上の力を手に入れようと思ったら、なんの代償もなしに手にいれることなんてできないよ? もしかしたら、自分の命が危うくなるかもしれない。それでも欲しいの?」


 「ああ、別にかまわねえ。力が手に入るってんなら、なんだってしてやるよ。」


 上野は笑みを見せる。その顔からは、生き生きとしたものが感じられた。


 「へえ、そうか。残念だなー・・・。」


 「あん? 何が残念なんだよ?」


 フードの人物が胸倉を掴んでいる手をすり抜けて、後方に移動する。


 「私はね。人が苦しむ姿なんか見たくはないんだよ。でも仕方がないよね。君がそれを望むなら!」


 「だから、何を! 俺は力を手に入れるためならどんな苦痛だろうと耐えて見せるって・・・!」


 上野の言葉をさえぎってフードの男が言う。


 「だから、残念なんだよ! 君はもう少しで、死ぬんだから!」


 「は? 何言ってんだよ? 俺が?」


 「私が渡した力っていうのはね。期間限定だったんだよ。それは、その力がその人物の生命を喰らい尽くすまでってなってる。そして、君は、まあ、途中で力が持っていかれたのは誤算だったけどね。もう生命が残っていない。もっと、その言葉を早く聴けたら、もっと強力なすぐに生命を喰らってしまう力を君に与えたのに、あ! でもどうせ無駄だったか。あれくらいの力で、一ヶ月も持たないなんてね。本当に君は残念な人間だったよ。じゃーね。」


 そういうとフードの男は、その場からゆっくりと立ち去る。上野に背を向けて。


 「おい! 待てよ。説明しろよ! 何がどうなって・・・!」


 次の瞬間、上野の体が、黒炎に包まれ始めた。


 「おいおいおいおいおいおいおい!!」


 その黒炎はすぐに上野のすべてを包み込む。


 「ああああああああああああああああああ!!!!!!!」


 フードの人物はその声に振り返らない。完全に彼に対しての感情はなくなっていた。

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