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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第四部 大戦争を起こす件について(仮)
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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)


 春、暖かい日差しをその肌に浴びながら、ハルカは高校一年生最後の日を迎えようとしていた。


 今日は三学期の終業式である。


「ハルカさん!」


 ハルカが、学校の校門に差し掛かったとき、後ろから小さな子供に抱きつかれた。


「宮内さん、今日も元気ね」


 ハルカは、相手からの笑みに、笑みで返す。

 抱きついてきた相手の後ろに、他に2人の人間がいた。


 3人とも、どうも奇抜なファッションをしている。


「おっすう、ハルカー」


「おはようございますですわ。ハルカさん」


「おはよう2人とも」


 ハルカは、宮内正子、篠原トシコ、川瀬孝子と共に、昇降口に入っていった。


 ハルカは教室に入る、椅子に座る。

 そして、窓際の座席であるため、その特権を生かして、澄んだ空に目を向ける。


 同居人が、家を空けて、早半年以上の期間が過ぎた。

 ハルカは、一人になってしまった家を見て、家がここまで静かで、さびしい空間であるということに、気が付き、相手の存在がどれほど大きかったのか、理解をしてはいたが、それをさらに実感することとなった。


 そんな彼女を気遣って、たくさんの人が、気を利かしてくれた。

 特にそうだったのが、今朝の3人だ。


 彼女達は、学校でもいつも話しかけてくれ、さらに、家にも頻繁に遊びにきてくれた。

 お泊り会を開いたのも、一度や二度ではない。


 だから、この半年間、寂しかったということはない。むしろ、たくさんの思い出ができた。


 だが、本当の意味で自分が楽しんでいないということもわかっていた。


「はあ・・・」


 ハルカはため息をつく。


 自分を助け、そのために消えた幼馴染、彼の周りは自分が知らない間に、大きな変化を遂げていたのだ。


(何やってるのよ。あの馬鹿!)


 今日も、彼のために用意したお弁当は、彼女一人によって食べられることになりそうだ。


 いつでも、帰ってきてもいいように、ハルカは手作り弁当を手放さない。

 それが、待ち人としてできる最大の思いだから。


「まったく、私に彼氏ができても知らないんだから」


 思ってもいないことを一人ごちする。


 



 終業式は何事もなく過ぎた。


 終業式では、今年度を持って離れる先生が紹介され、榎本先生が離れることが発表された。なんでも、榎本先生は別の土地に引越しをするらしい。


 そして、新任の先生として、二学期から非常勤講師として働いていた。アリス先生が常勤として就任することが発表された。


 彼女は孝子の姉で、杉村の後任として英語教師となる。


「ハルカさん、それでは行きましょうか」


「うん、お願い」


 これから、ハルカは正子たちについていき、異能力者の試合を見に行く。


 これは、ハルカが彼女達に頼んだことだった。


 異能力者の世界を見ていれば、彼のことがわかる。そんな気がしていたからだ。

 ただの、自己満足であり、意味のないことなのはわかっていたが、もし戻ってきたとしたら、何か必要になるのかもしれないとも思っていた。


 それに、今回見るものは、これからの異能力会を変える大きなものらしいので、知るべきだと思ったのもある。


 ハルカは、3人と共に、宮内家が所有する彦山へと、車に乗って向かった。


















****


















『レディース アンド ジェントルメーン! ようこそ、お集まりくださいました! なんと、これから、この地域の土地での最強の能力者を決める祭典が始まります!!』


 彦山には、半年でなんとか作られた円形のドームができていた。

 そこに、びっしりとたくさんの人が集まっている。


『今回の、ストロングヒューマン決定戦は一週間に渡って開催されます!』


 ハルカは、正子たちと共に、特等席で見ていた。

 彼女達は今回のものには出ないらしい。


『今回! 注目されているのは、もちろん! 各当主による一騎打ちです! しかし、それだけではなく、補佐として選ばれている人間も兵(つわもの)ばかり! もしかしたら下克上なんてことも十分にありえる内容となっております!』


「宮内さんは、お父さんがでるんでしょ?」


 ハルカが隣にいる正子に聞く。


「はい、私の家は、父と、上野という方とが2人でます」


「あれ? 3人じゃないの?」


「私の家には、その2人くらいしか、戦闘力的に、他の土地と対抗できる人がいませんから」


 ハルカは、苦笑いを浮かべる。


「そう・・・」


「まったく、俺達が出れるなら出てたけどな!」


「それは流石に無理ですわよ。わたくしたちじゃ力不足ですわ」


 孝子の言葉に、トシコが、頬を膨らませて拗ねる。


『ではあああ!! 最初のグループリーグの試合が始まりまああああああああーーああす!!!!』


 そのとき、正子たちや、会場に来ているある程度の実力者、また、今回の決定戦の出場者が異変に気が付き、立ち上がった。


 会場の中心で、司会を務めていた男は、空を見あげる。


「え?」


 そこには、まるで、隕石のようなものが降ってきているのが見えた。


「ええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」


 司会の男は、急いでそこから退散しようと一目散に走り出した。

 

 それにより、会場の全員が空を見あげた。


 と同時に、その隕石のようなものは、会場のど真ん中の、戦闘用リングに突撃する。


 ボガああアアアアアーーーーーアアアアーアアアアン!!!!


「な、なんだ?!」


「うわあああ」


「何かが落ちたぞおおお!!」





「いったい何が・・・」


 正子がつぶやく。


 ハルカも、その様子を注視していた。


 だが、何か予感はあった。

 そう、これはただの直感であり、理屈があるわけではない。


(まったく・・・)


「ハルカさん?」


 ハルカは自然と笑顔になっていた。





「いてて、ちょっと張り切りすぎたな」


「まあ、ええやろ、ド派手に登場してこそ、注目が集められるってもんやで」


 砂煙が次第に消えていく。

 せっかく設営されたリングは粉々になっていた。


『おおおおおっと、一体何が!! なんと、中から人影が2人! 登場してきました!!』


 砂煙から登場した一人が、目を細めて、眩しそうにする。

 そして、周りを見渡して一言、


「あのう、ストロングヒューマン決定戦ってここですよね?」


 その姿を見て、彼を知っている人間はみなが走り出した。

 

『えっと、はい。そうですよ』


 いきなり近づかれ、そう聞かれた審判の男は恐る恐る言う。


「えっと、参加したいんですけど、どこに行けばいいんですかね?」


『へ?』


「だから、宮内家代表として、参加したいんですけど、どこにいけば・・・?」


「かおる!!」


 そのとき、選手が入場する入り口から、ある一人の女性の声が飛ぶ。

 

 そして、その女性は、かおると呼ばれた男に向かって走り出した。


「は・・・はる・・・か・・・? どうして、お前が――――!!」


 ハルカと呼ばれた女性は、そのまま、男に直進し、彼に鉄拳を食らわした。


 それを食らった男は、軽く吹っ飛ぶ。


「いってー、いきなりだな」


 そして、さらに追撃として、男の顔に、何かがぶつけられる。


「いて! って、これは・・・」


 それは、懐かしい入れ物に入った弁当。 


 先ほどは、かなりの強烈な一撃だったことだろう。

 何せその一発には、たくさんの想いが込められていたのだから。

 だが、男は笑っていた。


 そして、女は対照的に・・・。


「バカ!! あんたなんか、一生帰ってこなきゃ良かったのよ!!」


「悪い・・・」


「そうすれば、一人で優雅に暮らせたのに!!」


「ああ・・そうだな」


「もう、あんたのために、食事なんか作らないで済んだのに!!」


「いつも、おいしかったよ」


「周りからいろいろ言われることもなかったのに!!」


「これからは気をつけるよ」


「あんたと・・・、これから毎日無駄な話をする必要なんて・・・なかったのに・・・」


「うん・・・」


「あんたとの・・・楽しい日々なんて、・・・待ってなかったのに・・・」


 かおるは、立ち上がって、ハルカに近づいた。

 そして、軽く頭に手を乗せる。


「いきなり消えちまって悪い。いやあ、いきなり漆黒の力手に入れちゃったからさ、・・・でもその・・・、心配かけて悪かった・・・」


「本当よ! 私がどれだけ・・・!!」


「うん」


 ハルカは肩を揺らす。

 それは、彼女の気持ちが爆発しそうだということだ。


「でも・・・」


 ハルカが顔を上げた。

 目には涙がたまっていて、いくらかは、頬を伝っている。


 しかし、満面の笑みで・・・


「お帰り!」


「うん、ただいま!」



 入場者入り口からは、それから、たくさんの人間が入ってきた。

 そして、みながそれぞれ、かおるに言葉をかけていく。


「それで、俺、決定戦に出たいんだけど、出れるのかな?」


「父上!」


 正子が努を見る。

 彼は彼女に微笑み返す。


「一つ枠が開いてるから、多分大丈夫だよ」


『ええっと、もうそろそろ、皆様よろしいでしょうかあ?』


 司会の男がそろそろと近づいてくる。

 そこで、みな、ここが会場で、周りに大勢の人間がいることに気が付いた。


「す、すみません! すぐに捌けます! あ、それとリングですよね?」


 そういうと、かおるはリングに手をやる。

 すると、粉々になっていたリングが元に戻った。



****



「ハルカ!」


 リングを後にして、なんとか、出場権を獲得したかおるは、第一試合に向かう数分前になり、控え室で待っていた。


「何よ?」


「その、あれだ・・・」


 かおるは口ごもる。


「何よ。はっきりいいなさい」


 かおるの机の前には、ハルカから受け取った空になったお弁当が置いてある。


「ああ!」


 かおるは勢いよく立ち上がる。


「とりあえずあれだ! さらっと優勝してくる!」


「うん、怪我しないようにね」


「おう!」


 かおるは、合図があり、控え室を出て行った。


 控え室に残ったハルカはポツリとつぶやく。


「まったく、意気地なしなんだから・・・」


 言葉とは裏腹に、その表情はやさしかった。





 かおるは宣言どおり、その決定戦でさらっと優勝してみせた。


 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。


 最後までお読みいただきありがとうございました!!

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