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無限問題  作者: 城宮 美玲
恋心編
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第四.五話 私と双子と親友と… side冬音

親友の春香は、普通より少しだけ可愛い。けれど本人に自覚は無く、周りの男子のアプローチにさえ気づかない鈍感だ。


そんな春香にも好きな人がいる。双子の秋と夏騎君だ。昨日の勉強会で分かった事だけど、春香は秋と夏騎君のどっちが好きなのか分からないで困惑している様子だった。


本人は、秋って悩んだ末に言ったけれど、また悩んだりするのだろう…春香の事だから。


多分、夏騎君が眼鏡を掛けて秋が眼鏡を外してただ隣に立っているだけでいたら、春香にはどっちがどっちだか分からないだろう。


けれど私は分かる。好きだからとかじゃなくて秋が嫌いすぎて眼鏡無しでもなんとなくあの嫌味オーラを感じるのだ。


私は、実を言うと恋をした事がなくて……。今そんな暴露した所で何の意味もないんだけど。


それとこれも意味のない暴露なのかもしれないが…。


私は、意図的に秋と夏騎君を季野くん(君)と呼んでいる。


まあ、秋は呼び捨てにして何の抵抗もないのだけれど…。


「松永さん、春香見なかった?」


「季野くん?春香なら季野君……秋と図書室だよ」


「また先を越されたか…ありがとう」


お礼を言って季野くんは、行こうとして足を止めた。そして振り返る。


「どうして松永さんは、僕と秋を苗字で?」


「別に理由はないけど?」


「訂正、どうして僕の事を苗字で?秋は秋なのに」


「特に理由なんてない」


「そう…」


季野くんは、図書室の方へと歩いて行った。 理由なんてない…訳ない…。


納得しやがって…と心の中で言ってみてもどうにもならない。


確かに秋は秋だ。本人の前で呼び捨ては、ムカツクからしないけどさ?だから向こうも私の事を苗字で呼んでる訳だし。


でも夏騎君の場合は、秋と理由が違う…嫌味な訳でもムカツク訳でもない。


そう言えば夏騎君、秋と春香が図書館って言ったら…また先を越されたか…と言っていた。


そうか…夏騎君は、言葉にも態度にも表さず、ましてや声にも出していないが…春香に惹かれているのか…。


双子が揃って春香に惹かれるか…さすが双子?


秋は、態度に出していて夏騎君は、態度に出さないという違いがあるにしろ…根本的な事は変わらない…




春香に気があると言う事は…。





「松永、春香見なかったか?」


「お前と一緒じゃなかったの?」


「そのお前って言うの止めろよ。さっきまで一緒で用事を別れた後に思い出して…」


「だから探してるのか…」


夏騎君が聞きに来たと思ったら次は秋か…。今日の双子は、どこまでも似ている…。


「季野くんと一緒なんじゃないの?さっき探してたし…」


「俺も季野なんだが…。それにしても夏騎も探してたんだな」


「え…?ああ…」


なんで分かったんだろう…?苗字しか言ってないのに…。


「悪かったな。じゃあまた探しに行くとするか…」


そう言って秋は、春香を探しに行った。今日の春香は、よく探されるな…。


「あのー…秋君って好きな人いたりするんですか?」


「え?うん、いると思うよ」


「そうですか…」


頭を下げて、違うクラスの女子が俯きながら行ってしまった。


双子は、結構イケメンでモテる。少し前だと古いが下駄箱にラブレターが入っていたりとか…。


あまりにも肉食系な女子だと、私が対処して…その結果被害が私に及ぶ。つまり逆に対処した私が好かれてしまう。


だから私を好きだと言う女子が増える=それだけ双子がモテると言う事になる。


だから私としては迷惑な話だ。対処しないと秋が困る…それは良いのだけれど夏騎君が困るとなったら、また別だ。


薄々勘付いていたけれど…そうか…私は…


















夏騎君が好きなのか…。













「冬音っ!ずっと探してたんだよ?」


そう言って春香は、私の手をとった。私は、苦笑しながら春香に言う。


「私、ずっとここにいたよ?」


「えっ嘘!」


「春香、ずっと探してたんだぞ」


「僕も」


春香がいる所に双子が集まる。私は、春香を見つめている夏騎君をチラッと見た。


ねえ、夏騎君……私はずっと…ここにいるよ?






                                  続く

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