プロローグ
これは全て私の妄想の話しです
私たちは隣り合いながら、互いの存在を感じていた。
それは確かに触れられない距離でありながら、消えることのない気配として、そこに在り続けていた。
始まりは、光と闇の光からだった。
光は暖かく、闇は冷たい光。
まだ世界が形を持たない頃、それらはただ並び、均衡の中で揺れていた。
しかし時が流れるほどに、その光は強さを増していく。
強まれば強まるほど、光は互いに反発し合い、隣り合っていたはずの私たちの距離さえも引き裂いていった。
かつて隣にあった存在は、やがて遠ざかり、輪郭だけを残していく。
私は闇。
私の内から溢れる黒い光は、静かに、しかし確実に世界を染めていく。
それは侵食ではなく、ただ存在の延長として広がる色だった。
時の流れとともに、その黒はさらに深く、さらに強くなっていく。
やがて光の姿は視界から消え、向こう側にかすかな気配だけを残すようになった。
ただ強い光の残響だけが、遠くで脈打っている。
そして私はなおも強くなっていく。
闇は大地に触れ、そこに根を生やした。
存在は沈むのではなく、形を得ていく。
さらに時が重なるにつれ、その根は幹となり、枝を広げていく。
黒は成長し、やがて一本の巨大な樹へと変わっていった。
光を遠くに感じながら、それでも確かに在り続ける、闇の樹として。




