88話 力を求めて力を示す
身支度を整えているとムートが声をかけてきた。
「瑞希、どこに行くんだ?」
「あの勇者(笑)の旅の手伝いだけど?」
「なるほど、盾は足りているか?」
「私とマーチャが同行するから足りてないかも」
ムートはその話を聞いて自室に入っていった。
(もしかして……?)
数分後、ムートの部屋の扉が開くとプレートアーマーに包まれた姿のムートが出てきた。
「よし行こうか」
「ムートも同行するのね……」
「盾が無ければどうやって攻撃を防ぐんだ?」
(至極当然のことを言ってる……)
こうして旅のメンバーにムートが加わることになり、身支度を整えて家の前に集まったのだった。
「ムートも行くのじゃ?」
「盾がいなければ危ないだろう?」
「まぁそうじゃが……うーむ」
「いいんじゃないの?別に」
「俺は別にいいですよ」
そして私たちはラックを呼び出した。
「ラック、どこに向かえばいいの?」
「私が案内してあげるからね~」
私たちはラックの道案内で力を手に入れる場所に向かうのだった。
「ねぇラック、あの時に出した紋章って一体何なの?」
「この紋章?」
ラックは手のひらの上にあの時と同じ形の紋章が浮かび上がった。
「そうそれ、じっくり見せてくれない?」
「いいけど……どうしてそんな気になってるの?」
私はラックが出した紋章をじっくり見ていった。
(蝙蝠の羽と角を足して二で割ったデザインだな……その中にひし形みたいな星があるしいったいこれはなんだろうか?)
「これって一体どういう意味なの?」
「簡単に言うとこの紋章が持つ特性が何かの能力を増幅させてるんだ。私が持ってるのは力の紋章だね」
「力の……幸運の紋章じゃないのね」
「幸運の紋章はあるけど私幸運の文字に宿る神ぞ?幸運な出来事を簡単に起こせちゃうから要らないの」
リョウは力の紋章をじっと見ていた。
「あっ、その子にあげたいと思ってるのは力の紋章じゃないけどね」
「そうなのか?」
「私は神だから魔王より長く生きてるんだ。あなたに授けたいと思ってるのは最初の勇者の紋章なんだ」
最初の勇者の紋章と聞いたマーチャは何か感付いたようだ。
「本で読んだ事があるから聞いたことあるのじゃ。魔王が誕生する前に勇者が誕生していたのじゃ、あまりにも平和すぎて勇者一行は自身の力を封じ込めた証を人の手に届かない場所に置いたっていう伝説を見たことがあるのじゃ」
「そう、魔王って本読むのね~」
マーチャはラックの胴体を握った。
「儂でも本は読むのじゃ……」
「ごめん、握らないで」
「分かったのじゃ、じゃが儂を能無し扱いをしないでくれなのじゃ」
そしてラックは向かうべき方角を言ってくれた。
「ここから斜め左に行けばいいよ」
「分かった、それじゃ出発!」
こうして私たちは最初の勇者の紋章を手に入れるべく歩き出したのだった。だが最初の勇者の紋章が安置されている場所、それは私たちだけだと到達できない場所、だが力を合わせれば届きそうな場所なのだ。
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