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不運なことが続いじゃって死んじゃったら幸運に宿る神に魅入られ転生したら所持特殊スキル{LUCK}の一つだけだったので私は平和な土地でスローライフを過ごしていきたい!!  作者: 猫こんた
2章 記憶喪失の少年と勇者の運命

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89話 突破の盾

私たちは最初の勇者の紋章を求めてラックに道案内を頼んだ。


「そう言えばラック、最初の勇者の紋章が安置されてる場所ってどういう外見なの?」

「一言でいえば神殿、神でもないのにね。悪く言えば棺桶って言うところかな」

「棺桶って言うと死体がある場所だけど……もしかして勇者の死体がその場所にあるの?」

「うーん、説明不足だったか」


ラックは私たちについて行きながら紋章について教え始めた。


「まず紋章ってのはね、普通は私みたいな神が与える物なんだよ。だけど物事ってのはいつも例外が存在するんだ、それが最初の勇者の紋章みたいな固有名の入ってる紋章なんだ」

「その例外って何なの?」

「神が与える紋章をスタンダード紋章と、その他の紋章をイレギュラー紋章と呼ぶ。イレギュラー紋章とは自身の体や魂を犠牲に生み出す紋章なんだ。つまり瑞希たちが求めている物、それはこの世界に一つしかない紋章なんだ」


ラックはそう言うと私の服の中に入った。


「もしイレギュラー紋章を手に入れた後、その持ち主が死んでしまったらどうなるの?」

「基本的には元あった場所に戻ってくる、そして新たな宿り主が現れるまでその神殿で待つんだ」

「自主的に戻るのね……」

「一応儂は持ってるのか分からないのじゃ……」

「紋章の確認方法なら教えれるよ」


ラックはマーチャの肩に座り、紋章の出し方を教えた。


「手のひらを前に出して空に向けて」

「こうなのじゃ?」

「それで胸の奥の引き出しから引っ張り出す感覚で胸から腕、腕から手のひらに出したいと思えば出てくると思うよ」

「何だか難しそうなのじゃ……やってみるのじゃ」


マーチャは目をつむり、ぴたりと動かなくなった。


「……魔王、目を開けてもいいよ」


マーチャが目を開けると手のひらの上には見たことのない紋章が浮かび上がっていた。


「これは……どういう紋章なのじゃ?」

「どうやら出(・)来(・)て(・)い(・)た(・)ようだね」

「何が出来ていたのじゃ?」

「みんな覚えておくといいよ。これがイレギュラー紋章、スタンダード紋章の特徴と言えば真ん中に模様があって円で囲まれているんだけどこの紋章は真ん中の模様の周りにキラキラとした何かがあるでしょ?」

「確かにあるね、これって一体何なの?」

「魔力がどれだけ成熟したかを示す指標がこのキラキラ、キラキラはこの密度よりまだ増えるからね」


マーチャは紋章を確認するとすっとその紋章を消した。


「つまり儂はまだ成長するって言う事なのじゃ?」

「そう言えるね」

「なら私も……!」

「あー……瑞希はもうすでに私から幸運の紋章を渡しているから」


私もマーチャと同じような方法で紋章を出した、私の紋章の模様は四葉のクローバーを囲む円のデザインだった。


「これがスタンダード紋章」

「なんだか簡単に描けそうだね」

「だからスタンダード紋章って言われてる」


そしてリョウとムートも同じように出そうとしたが神に好かれていない二人は紋章が出なかった。


「何だか寂しい」

「仕方ないよ、これが現実だから」


リョウは仕方ないかと割り切っていたがムートはなんだか不服そうに私を見ていた。


(なんだろう……ムートが紋章をくれと言っているような気がする……)


ムートの目が何だかキラキラしてくると地響きが鳴り響き、地面から何かが来る音がしてきた。


「おっとと、これはなんだ?」

「地震ではないのじゃ……今すぐここから離れた方がいいかもなのじゃ」

「分かった、縦の私の後ろをしっかり掴んでて」


ムートは草原の方向に盾を構え、マーチャがムートの腰を掴んだ。


「ほら、儂の腰を掴むのじゃ」

「分かった、リョウも急いで」

「……俺は男なんだけどなぁ……ぶつかったら流石にまずいか」


リョウが私の腰を掴むとムートの足が地面を蹴った。


「ウオリャァアアア!!!突っ込めぇええ!!!」

「速いのじゃぁああ!!!」

「ひぃぃぃいいい!」

「リョウついてきてるか!?!?」


ムートは私たちを列車のように繋ぎ、盾で魔物をはねのけながら突進していったのだった。そして数十秒後、ムートの体力が切れて私たちは地面に転がった。


「3人連れてこれは無理がありすぎたか……」

「ムート、最高に速かったよ……」

「ゼェ……ゼェ……」

「体力回復魔法をかけるのじゃ……じゃがこの技はもう使わないでほしいのじゃ……」

「分かった」


後ろを見てみるとスケルトンが私たちの居た場所を徘徊していた。


「どうやらあの地響きはスケルトンが出てくる予兆だったようだ」

「スケルトンはめんどくさいのじゃ」

「そうなの?」

「倒しても倒しても復活するから面倒なのじゃ」

「そうだ、体力が回復したのなら今すぐここから離脱するぞ」


こうして私たちは紋章の種類を知り、最初の勇者の紋章と言うのは最初の勇者の体や魂を生贄にした代物だということが分かった。

そして日が落ちてきて私たちは近くの街に入り宿で休むことを目標に歩を進めていったのだった。

最後まで見てくれてありがとうございます。

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