276話 エネルギーチャージ
ロンは私たちを巻き込んで寄り道をするようで馬の進路を少しだけ変えた。
「それで寄り道をしたい場所ってどんな場所なの?」
「一言で言えば私のゆかりの土地ですね」
「ゆかりか……もしかして龍人の人たちが住んでる所?」
「住んでいません、恐らく生物が住めない場所です」
「住めない場所……なら今からその土地に行くのか!?」
「ええ、さすがに馬を死なせたら今後に響くので遠くから歩いて行きますけど」
ロンはそう言うと角と角の間に電気がビリリと見えた。そして夕方ごろ、目的地にたどり着いた私たちはとりあえずキャンプを設営した。
「本当に簡易的なキャンプだね」
「ええ、魔物が襲ってこないようにしているので一応安全です」
(安全なのかなぁ……少し心配だな)
私は周りに魔物が居ないか警戒してみた。だが実際のところ近づいてきた魔物はロンが察知してから雷を落としているようだった。
「食べ物はこのパンだけなの?」
「そうです。まぁパンと水さえあれば人間はどうとだって生きていけますからね」
「家に帰ったらしっかりした食事を食べるか……」
私たちは寂しくなりながらもパンをかじり、夕焼けを見た。
(何だかこういう状況は初めてだなぁ……)
「そういえばヒナは何処に行ったの?」
「分かりません……ですがすぐそばに居そうな気がするんです」
「すぐそば?」
その時、私の肩に何かが触れた。
「……まさか私の後ろにヒナが居るの?」
「ちぇ」
「驚かそうとして後ろに回ったんだよね」
「そう、ちぇ」
ヒナはなんだかだるそうに私にもたれかかった。
「今日は早く寝ようか、明日に備えてね」
「分かりました、それでは寝袋を準備しますね」
ロンは寝袋を用意し始め、私たちは用意し終えるまで自由に周辺を探索し始めた。
(遠くに見えるのは……あれ雷か)
「あれって雷だよね」
「そうだな」
「……明日あの場所に行くの?」
「ええ、そうですよ」
(生きて帰れるかなぁ)
私は明日、向かう場所を見つけてしまい、早々に命の危機を感じていた。その時大きな雷鳴が背後から聞こえてきた。
「なんだ!?」
「やや大きいハエがこの近くに侵入したので出来る限り最大の雷でお迎えしました」
「そうなの……?」
私は雷が落ちた場所を確認しに着弾地点を見た。そこに居たのはまさかのマーチャだった。
「マーチャ!?」
「大きい洗礼を受けたのじゃ……」
マーチャがそう言うとロンは無言で大きな雷を連続して乱射した。
「どうして儂を雷で退治しようとするのじゃ?」
「魔王は雷で潰れるのかなと耐久テストついでに追い払えるか気になってました」
「あのな~、儂は害獣じゃないのじゃ」
私は何故マーチャがここに居るのか聞いた。
「マーチャ、どうしてここに来たの?というか私たちの場所をどうやって分かったの?」
「あー……そうじゃな~……」
マーチャは口笛を吹きながら目を泳がせていた。
(とてもわざとらしい言い訳を言いそうだ。注意しないと)
「ほらあれじゃ!儂の魔力をいつの間にか吸収してたから居場所が分かったのじゃ!」
「……嘘だよね?」
「嘘じゃないのじゃ!!」
(この反応、嘘をついている感じではなさそうだな……)
「とにかく儂は瑞希と一緒に居るのじゃ~」
「……いい?」
「別にいいですよ。それよりも人手がいた方がシャロンを倒しやすくなりそうです」
こうして封宝玉を奪還する仲間にいきなり来たマーチャが加わった。だがいきなりすぎるが故に寝袋が無く、マーチャは寝袋なしで休息するのだった。




