262話 空間を割く斬撃
ルナの巫女が家に向かってきているという情報を受け、私は単独でその場所に向かっていた。
(もしかしてラビィたちを連れて帰るために家に来ているのか……)
森の中を走っていくうちに周りからは無視の音やオオカミが歩く音が聞こえなくなっていった。それは明らかに人が居るという意思表示だった。
「……見つけた……ここに居たんだ」
「昼の時の……どうしてここに居るんだ」
「ラビィたちを連れて帰るためにここに来たんでしょ?」
私の問いにルナの巫女は沈黙し、歩を進めていった。
「ねぇ、あなたがラビィを連れて帰ろうと思ってるのは分かる。でもどうして今すぐにでも連れて帰らないといけないの?」
「……あの子たちを狙う奴が居るからすぐに連れて帰らないといけない」
「誰が狙うの?」
その瞬間、ルナの巫女がこっちに飛んでくると私を突き飛ばし、木に当ててきた。
「うっ!?」
「やっぱり、私に関わるとろくでもない」
地面は何かが抉ったような跡が残されていた。
「今のは……?」
私は周りを見た、だが明らかに人の姿は無かった。
(暗すぎるからか人の影が見えない……魔力を見て……まてよ……この場所に敵が居るのならマーチャに気が付かれているはずだ。ならなぜネオプラズマにしかばれていなかったんだ!?)
私は何故ネオプラズマにしか居場所が分からなかったのかと考えていた。するととある人物が木の陰から現れた。
「あれ、あの一撃で死んでなかったのか」
「……お前は誰だ?」
「失礼だな、シャロンがお世話になったグループのリーダーだ」
その時、対峙する奴の体から魔力が普通の目でも見えるほどにあふれてきた。
「っ……」
(普通の目でも見えるほどの魔力……しかしこの地域に漂うのはマーチャの魔力、この魔力の溢れ具合で異変が分かるだろう)
「見えるんだよな、この魔力」
「ああ、とんでもないな」
私はマーチャに気が付かれていないような芝居を奴にしていた。そして私はどのようにして奴を倒そうか考えた。
(恐らく遠くに居たら攻撃を受けるだろう。なら懐に入ればどうなるんだ?)
「とりあえず近寄るしかないか」
「こっちに近寄るな!!」
奴は私が近寄っていくにつれて後ろに下がっていった。これは魔法の距離関係に関係するものだと私は思いついていた。
「どうして逃げるんだ?もしかして……その斬撃を至近距離じゃ飛ばせれないのかぁ!?」
「うるさい!いい加減どこかに行け!」
私は奴の怒りを聞きながら近づいた。もちろん至近距離まで近づくとステゴロで勝負を決めにかかった。
「こういうのが売りじゃな無いんだけどやるしかない!」
「うおおお!!」
私が奴に集中しているとどこかから木をへし折る音が聞こえてきた。だがステゴロで気分が良くなっている私の耳にはその音が届かなかった。
「って何だこれ!?」
「あ?」
私は奴の後ろに見えた何かに気が付いて一気に後ろに飛んだ。だが奴は後ろから来る何かに気が付かずに跳ね飛ばされた。
「ぐあぁぁあっ!?!?」
「一体なんだ?……ってまさか!!」
私は暗い場所に見える何かを見つけた。それは私が一回殺し、ロンが一回殺した奴だった。
「おい何やってんだシャロン!!」
「仲間なのかよ!?」
(私とこいつもろとも始末しようと思ってたのか!?だとすると凄いぶっ飛んでる集団だな……)
予想外の襲撃に私は一気に不利な盤面に立たされるのだった。だが向こうは向こうで思うところがあるらしく私の予想外の行動に出るのだった。
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