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螺旋世界のアルフィリア  作者: 神無月二夜
18/20

18、朝霧才佐のその後

 光が治まった気配を感じて目を開けてみる。

 青い空、アスファルトの道路、どこまでも続くような住宅地――さきほどまでとはあまりにもかけ離れた光景に、まるで異世界にでも迷い込んでしまったかのような錯覚を覚える。


 スマホを取り出して電源を入れて日時を確認してみると、下校時間をちょっと過ぎたあたりを指していた。今はフィリアと出会った、あの日、あの時間だということだ。


 あの時とあまりにも何も変わらない風景に、今までのことは全部夢だったんじゃないかとも思った。しかし、身体中の痛みや疲労、ボロボロになってしまった制服、そして何よりも、光を失った右手のマキリスが、現実の出来事であることを教えてくれた。


これから先、ぼくは何をやるべきなのだろう? 自分が目標とする大人の形は見えているが、不安のほうがはるかに大きい。

はたして自分がサイファーのように強く、そしてアッシュのように落ち着いた人間になれるだろうか? 今の自分からすれば、将来あんな風になれるとは到底思えない。


 周囲の景色がぼやけてきた。ほほを何かが伝う感覚がある。ぼくは泣いていたのだ。本音を言えばアッシュやサイファーと別れた時から、本当に心細くて泣きそうだった。

フィリアがぼくの前で涙を流してくれなかったら、きっとぼくのほうが泣いてしまったことだろう。


 涙を止めようとしても、一向に止まる気配がない。フィリアにはカッコつけたことを言っていたのに、ぼくだって同じなんだ。自分の弱さを突き付けられているようで、本当に情けなくなってくる。


 その時、スマホの通知音が鳴った。

 画面に目を向けると、お気に入りに登録していたアプリゲームの更新情報だった。どうやら新キャラが実装されるようだ。何の気無しにタップしてみたが、内容を見て笑ってしまった。


「2人とも結局、ゲームから名前を借りただけじゃないか……」


『大盾を持つ将軍 アッシュ』と『孤高のかぎ爪戦士 サイファー』と表示されていた。


「やれやれ、オレはいつまで経っても成長しないんだな……」


 そうつぶやいてみたが、いまいちサマになっていない気がする。

 とりあえず、次にフィリアに会った時のために、こういった言葉づかいが自然になるような男を目指してみよう――。

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