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 翌早朝、バギーに乗って聖都を出た。帰る頃には家が完成してるかな?引っ越しと言っても大した荷物は無いし、ベルも居るから大丈夫だろう。

 バギーの方は低速域はあれだが、高速域だとかなり扱い易い。コーナーでリアのトラクションを抜いてスライドさせれば結構小回りも利くし、良い感じだ。


 先ずは皇国軍の陣地でガルバデスに「オクタヴィス領を落として来る」と告げて更に進んだ。


 草原を抜け街道を進んで行くと、見知った風景なんて何処にも無かった。

 嘗て農村の在った場所には簡素な砦が、畑だった土地は荒らされ何も植わっていなかった。


 そして・・・砦の門柱の上には見せしめで殺されたであろう人の頭蓋骨が飾られていて、世界中のあちこちでここと同じかそれ以上に凄惨な事が行われていたんだろうと、その情景が頭を過った時、一瞬で頭に血が上り、我を忘れて咆哮を上げ砦へと駆け出した。


「ぁ・・・・・っぁあああぁぁああぁぁぁぁ・・・・・!!」


 気が付いた時には砦を破壊し焼き尽くし、数百人の死体に囲まれていて・・・大声を上げて涙を流し、崩れるように地面に膝を着き・・・血塗れの両の掌で顔を覆った。


 知っていたんだ・・・嘗て地球上で有った戦争の記述を読んで知ってはいたんだ。でもそれは文字や文章の上での事で、実際にそれが如何言う事かは理解していなかったんだ。


「・・・行かなきゃ・・・・・」


 バッグからバギーを取り出し領都を目指した。領都との中間の砦を潰し、捕らえられていた女性五名を救助した。彼女達がどれだけの期間ここで慰み者にされていたのかは解らない。虚ろな目で何を話し掛けても答える事も無く、唯そこに居るだけで感情の欠片すら見せる事の無い程に心を破壊されていた。


 俺は砦内を漁り、水と食料や大量の毛布と共に彼女達を幌付きの荷車に乗せてバギーで引いて先に進んだ。一度戻ってガルバデスに預けても良かったが、今は一人で居る事に耐えられそうになかった。


 今まで沢山の人を殺してきたが、師匠の時を除いて戴して心を動かされる事は無かった。だが戦争と言う凄惨な現実を直視した事で、自分の殺してきた人達に家族が居たら、今現在も世界各地で同じような事が起こっているんだと気付かされて胸が張り裂けそうになったんだ。


 翌日の昼過ぎには領都が見えてきた。彼女達には悪いが、このままもう少し近くまで行かないと魔物に襲われる可能性があるからな。


 領都の防壁上に兵士が弓を構えているのが見えた。これ以上は近寄れないなと、バギーをバッグに仕舞い彼女達が無事である事を祈りつつ荷車を置いて更に進んだ。


『最終勧告だ!!国へ逃げ帰るなら追わねぇ!!無駄死にしたい奴は掛かって来いやああああぁぁぁ!!』


 炎を纏い巨大化して門へと向かう。弓や魔法が飛んで来たが避けもせずに進んだ。


 防壁ごと門を蹴散らし領都に入った。攻撃してくる兵士達に炎弾を放ち、時折後ろを振り返り荷車の無事を確認しつつ領主館へと向かった。


「そこまでだ魔王!!それ以上進めば捕虜の命は無い物と思え!!今直ぐ巨大化を解いて投降せよ!!」


 領主館の入り口の前に三十人程の兵士達に囲まれたこの間交渉に来た連中と、その前に並べられた十人の捕虜と思しき人達が槍を向けられていた。そして、その中には見知った顔が数人いて、遠目にも解る程に傷だらけだった。


『・・・・・レスター・・・生きてたのか・・・・・』


「ぁ・・・・・炎の巨人よ・・・我等の事は良い・・・・・この者達ごと・・・焼き払って下され・・・如何か・・・・・」


「黙れ!誰が口開いて良いと言った!!」


「グハッ・・・如何か・・・如何か・・・・・」


 俺に投稿を促した指揮官らしき男が、後ろ手に縛られて正座させられていたレスターを蹴り飛ばし、更に踏みつけ剣を突き付けた。


「チッ・・・魔王!貴様も早く投降せんか!!」


『・・・・・クズ共が・・・フゥ・・・もう・・・たくさんだ・・・・・』


 俺は巨大化を解き、ゆっくりと地上に降りつつバッグを足元に置いた。


「クックックッ・・・妙な真似はするな。そのまま地面に伏せるのだ」


「あ?寝ぼけた事言ってんじゃねぇよ」


 足元に置いたバッグからアサルトライフルを取り出し、捕虜達に武器を向けている兵士達の腕を次々と打ち抜いた。


「ギャアアァァアアァァァ!!」


 銃声が響き、血飛沫と悲鳴が舞い、俺を取り囲む兵士達に動揺と緊張が走る。


「全員武器を捨ててその場に伏せろ!!今見た通り、こいつは瞬きする間に鎧ごと貴様等を打ち抜く事が出来る!!レスター!!動けるなら這ってでも良いからこっちに来るんだ!!」


「じ・・・ジン殿・・・帰られていたのですか・・・・・」


「話は後だ。今はそれ所じゃねぇ。聞け!ロードルデルフ軍よ!!貴様等が暴力と恐怖で人を支配すると言うなら、俺はそれ以上の武力で貴様等を駆逐してやる!!簡単に死ねると思うな・・・気が触れる程の絶望を味合わせてやる!!」


 次々と武器を捨て地面に伏せる兵士達。俺はバッグを拾いつつ、アサルトライフルからサブマシンガンに取り換えた。命中精度が必要だからライフルを使ったがここからはマシンガンの方が良いだろう。俺の忠告を無視して建物の陰に隠れて居る奴等が襲って来るならお見舞いしてやる。


「一時間だけ待ってやる!!それまでにこの街から出て行け!!忠告を無視した奴はこいつで手足を打ち抜いてやる!!」


 空に向けて引き金を引き威嚇して、レスター達を連れて荷車まで戻った。途中で三度襲撃されたが、俺達に攻撃が届く事は無かった。

 レスター達の治療をし、スポーツドリンクとカロリーバーを食べさせ、比較的軽症な者を二人連れて領都へ向かった。馬車が残っていれば良いのだが。

 腰だめにマシンガンを構えたまま全神経を集中して街中の気配を探った。街の北側に複数の気配が有る。街中にも幾つか有るがどれも虫の息だ。


「・・・・・ジン殿・・・助けて頂いてこの様な事を言うのはなんですが・・・彼らを楽にしては頂けないでしょうか・・・・・」


「冗談言うな。お前等も荷車の中見ただろ?こいつらは大陸中で同じ事してんだ、俺達と同じ人間だとは思えねぇ。お、流石にこれだけ減ったから馬車も残ってるな。後は毛布とか食料か」


 流石に時間が足りなかったのか、食料等の物資もそこそこ残っていたので出来るだけ荷車に積んでレスター達の所に戻った。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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