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 ハルとの距離を十分に取ってから堀から離れて雑木林の中の獣道へと足を踏み入れた。俺の記憶が正しければ、このまま真っ直ぐ道なりに行けばあの遺跡に着く筈だ。あそこに行ったからと言って奴と話が出来るとは思っていないが、一応行ってみようかなと。


 それとジェイの残した銃とバッグの検証もしたかった。俺のバッグのようにジェイのバッグも弾丸が元に戻るのかとか、元に戻るなら少し練習しておこうかね。

 遠距離攻撃は不本意だが、単純な攻撃力で言えば銃の方が上だし、相手に気取られる事無く倒せるなら、それも有かなと。


 ‶逃れられぬ死〟って奴が如何言う状況で来るのか解らない以上備えておくべきだろう。俺だけで済むならまだしも、バートさんやライエル達にだけは被害が及ばないようにしないとな。


 遺跡の中心で胡坐をかいて座り、目を瞑って「話があるから出てきてくれ」と言って瞑想する事十分。やっぱダメか。


 次に弾丸の検証。マガジンから弾を抜いてバッグに戻すが変わらず。空のマガジンだけでも、空のマガジンを銃に装着してバッグに戻しても変わらなかった。


 増えないとなると、余り練習する訳にも行かないかと弾数の多いアサルトライフルを出して三発程練習した。スコープの精度が良いな。200mでほぼ誤差無しで狙った場所に当たったぞ。


 ふと気になってジェイが狙撃に使った対物、アンチマテリアルライフルを出して良く見てみた・・・何だこれ?魔法が掛かってんのか?

 銃全体から魔力を感じる。魔術による弾道補正とか掛かってんのか?だとしたらやばい位のチートだろ。ガルバデスが言ってた俺の助言が無ければってのも強ち嘘じゃねぇなこりゃ。つーか、何でジェイだけこんなチート貰ってんだ?・・・・・ひょっとして、俺を護るため・・・か?


 防御力強化、身体強化、状態異常回復に治癒。そして攻撃力・・・万が一の時に俺をサポートするためのスキル構成なのか?別の国に転移させられたのはスキルを磨くためと、この世界の常識とかを経験させるため?


 奴は俺を宿主と呼んだ。だとすれば俺の死は奴にとっても死に繋がるのかもしれない。だから望みを叶え、その報酬は死なない事か。あれ?以前俺は他人の魔力を受け付けないとかで治療出来ないって神官が言ってたじゃん。晶・・・いや、地球人は別なのか?奴から貰ったスキルだからとか?ん~良く解らんが、これも要検証だな。


 もうちょっとだけ練習しとくかと、仕舞ったアサルトライフルを取り出し、残弾数の確認したら元に戻ってたよ。最大数は増えないが、使った分は元に戻るのか・・・マジでやばいな。絶対に俺以外の奴には見つからないようにしないと。


 取り敢えず300mに距離を伸ばして五発撃ってみたが、誤差5cm以内と素人には有り得ない命中率。間違い無く補正が掛かってます、はい。


 銃を仕舞って来た道を戻った。ちょっと早いが、今からハルを探せば昼位にはなるだろう。取り敢えず東門にでも向かうか(遺跡は東門から南東に有る)なんて考えながら獣道を抜けるとハルが見えたので直ぐ近くの木の裏に隠れた。あの野郎サボってやがったな。


 俺は隠れたままハルの様子を見ていたが、だらだら歩いているだけだ。あっ!スポーツドリンク飲みやがった!

 バッグからアサルトライフルを取り出しハルの左手に有る水筒を狙い撃った。弾道補正が掛かり7.62mm弾が水筒を直撃し、ハルの手から弾き飛ばされて堀に沈んで行く。ハルは唖然としていたが、直ぐに気を取り直して周囲をきょろきょろと見回していた。お前なんかに見つかるかボケ。


 その後も暫く見張っていたが、ハルが走る事は無く、東門では門番に水を貰って暫く話もしていた。こりゃ救いようがねぇな。今更こんな新人がやるような訓練なんて出来ないってか。


 木々の間を抜けて北門へと向かい、北門手前から堀沿いを南へ向かった。暫くして前から走ってくるハルと合流した。昼近くなったから走り始めたのかね。


「おう、ご苦労さん。ここに居たって事は聖都一周と半分弱か。やれば出来るじゃないか」


「あ、ああ・・・これ位はな。それで次はどうするんだ」


 この野郎しれっと嘘つきやがって。俺が移動予測も出来ないと思ってんのかね。ほんと舐め過ぎだろ。


「あれ?水筒は如何した?無くしたのか?」


「ああ、堀に落としてしまってな、それで水を貰うのに各門の所で止まってしまったのだ、すまなかった。水筒は弁償する」


 各門って東にしか寄って無いだろ。調べれば解るのに、馬鹿にされたもんだ。


「まぁ、安物だし弁償とか良いんで、もう帰って良いぞ」


「うむ。それで、午後からはどの様な事をするのだ?」


「ん?ああ、帰るってのは俺の家じゃない。言われた事を何一つ守らず、言い訳だけでなく、嘘を平気で付く奴に教える事なんて何一つないから自分の家に帰れって言ったんだよ。もう二度と来なくて良いから自分の好きなようにやれ。じゃぁな」


 青褪めて呆然と立ち竦むハルを放置して家に帰った。当然ライエルや晶達にハルの事を聞かれたので、全て話して二度と真面に相手をしなくて良いと告げた。


 直ぐに謝りに来れば良い物を、貴族のプライドとか有って来られないんだろうなと嘆息した。


 で、三日後にアンジェリカがやってきて、現状を話し始めた。


「その、大変言いにくいのですが・・・ラインハルト様が勘当されまして・・・家から追い出し副団長、騎士団からも解雇したとガルバデス様から報告が・・・・・こちらに来ているかと思ったのですが・・・・・心当たりは御座いませんか?部下だった者達にも聞いたのですが、所在を知っている者がいないのです・・・・・」


 家を追い出されて行方不明になってたよ、あの馬鹿。


「親戚筋とかは?有名人だし、街中に居れば衛士の一人位は目にしてるだろ」


「北側の国境沿いに領地を持つ家は全て親戚ですが、着の身着のままでは辿り着けるかどうか・・・・・それにガルバデス様が通達を出したそうですし、衛士達も捜索する事を禁じられているのです」


 徹底してんなぁ~・・・まぁ、以前から注意しても変わらなかったみたいだし、腹に据えかねてって事なんだろうな。


「家は分家から見込みの有る者を養子として迎えて継がせるとまで言われてしまっては皇家としてもこれ以上は口出しも出来ません。ジン様との間に何が有ったのかは存じませんが、如何かお力添え願えませんでしょうか?」


 正直このまま野垂れ死にされても寝覚めが悪いし、あいつの事は嫌いじゃないんだよな・・・・・そうか・・・俺にとって初めて出来た友人・・・なのか・・・・・一緒に飯食って笑いあって・・・楽しかったんだ、あいつと居るのが。


 確かに裏切られた感は有るが、見捨てる程怒っている訳じゃないし、助けてやるとしますかね。あ、晶は友人と言うより手のかかる妹ポジションだから。年上だけど。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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