4.女子高校生の秘密
すべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
「それって、上守マヤ?」
__女子高校生は、そう、コハルに問いかけた。
「そう!!えっ!!あなた知ってるの!?って、やっぱり私のことが視えるのね!!まって!マヤとは知り合いなの!?」
まさか知っている人に出会えるとは思っていなかったため、この機を逃すわけにはいかないと矢継ぎ早に話すコハル。女子高校生はその様子に困惑しつつも応える。
「ちょ、とりあえず落ち着いて。上守マヤは、うちのばあちゃんだよ。」
「あなたは、マヤの……お孫さんってこと!?」
その女子高校生は頷いた。
「あなた神様だよね?なんで神様がばあちゃんのこと探してるの?」
「私、もう神としての力が残っていないから、最期は私からマヤに会いに行きたくて」
「ばあちゃんは、神様のこと視えないし、話せないのに?」
「えぇ、それでもいいの。私の自己満足だから。声が届かなくても、感謝の気持ちを伝えたいの」
そう、少し寂しそうな声色でコハルは言った。
「じゃあ、今ばあちゃん入院してるから、一緒にお見舞い行く?」
首元を抑えながら、女子高校生は提案する。
「行く!でも、マヤは入院してるのね」
「ばあちゃん、もう長くないらしいから」
「……そう。」
人の子の寿命は短い。頭では分かっているが、幾年もの歳月が流れても、慣れるものではない。
こうして、一人と一柱は一緒に病院へ向かうことになった。
「あなたのお名前、聞いてもいいかしら?私はコハル。よろしくね。」
「アマネ。上守アマネ(天音)。コハルさま…よろしく…お願いします。」
「アマネちゃんっていうのね!素敵な名前!敬語なんて使わなくていいから。「さま」なんて付けなくていいのよ」
「ちゃ、ちゃん付けはちょっと。アマネって呼んで。えー、えっと、じゃあコハルちゃん?」
「うん!人の子からそう呼ばれてみたかったの~!!アマネありがとう!!」
なんだか、こんなにも陽気な神様がこの街にいるとは思っていなかった、とアマネは心の中で思った。マヤが土地神さまを信仰していることは母親である「陽子」から聞いていたが、直接確認したことはなかったため、もしかしたら存在しないものとさえ感じていた。アマネは、土地神さまの社へ訪れることを頑なに避けていたため、知る由もなかったのだが。
「にしても、私のことが視える人の子なんて久しぶりねぇ。稀に幼い頃のマヤみたいに子どもが私たち神を認識できるなんてことはあったけれど、アマネ、あなたは『天啓眼』なのね」
ハッとした顔でコハルを見るアマネ。
「てんけいがん…?」
「多分、普通の霊体は視えないけど、神様は視えるでしょ?それが、天啓眼。数百年に一人見るぐらいかしら」
「これが、この眼のせいで…私は…」
震える声でそう呟くアマネは眉間にしわを寄せ、そして押し黙った。
「アマネ?大丈夫?」
「あ、うん、大丈夫。ごめん。」
アマネは神が視えることから、何かしら嫌な思いをしてきたのだろう。コハルはそう思った。過去に出会った天啓眼の人の子も、人とは違うその眼に悩まされていたから。ただその時と違うのは、私が土地神として当然に信仰されていたために、その人の子が邪険に扱われることはなかったが、今はコハルの存在、いや、コハル以外の神々への認識も、昔ほど厚いものではないという点だ。
「そういえば、コハルちゃんにお礼言ってなかったね。さっきは助けてくれてありがとう。久々に神様を視たから、つい逃げちゃってごめんね。」
申し訳なさそうに、少し恥ずかしそうにアマネは言った。
「当然のことをしたまでよぉ~!ふふっ、こちらこそ、私の声を聞いてくれて、振り向いてくれてありがとう。」
__ひょんなことから出会ったコハルたちは、マヤがいる病院へと歩いて向かっていく。
読んでいただき、ありがとうございます!
少しでも良いなと思ってくださった方、興味を持ってくださった方がおられましたら、詩村とっても嬉しいです!!
応援していただけるように、詩村のペースで楽しく頑張ります!よろしくお願いします~!




