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最初の戦い
王都を出て半日。
森に入った瞬間、空気が変わった。
ノアが立ち止まる。
「魔力反応、三……いや四!」
茂みが弾ける。
狼型の魔物。
牙が光る。
ガルドが前に出る。
「俺が引きつける!」
盾で一体を弾く。
だが別の一体がリュカへ跳んだ。
速い。
間に合わない。
怖い。
でも。
逃げない。
リュカは剣を構える。
心臓がうるさい。
手が震える。
その瞬間。
胸の奥が、熱くなった。
“あのとき”と同じだ。
村を救ってくれた旅人の背中。
あの人も、震えていた。
でも、前に出た。
リュカは叫ぶ。
「うあああああ!」
剣を振り抜く。
光が走った。
一閃。
魔物が吹き飛ぶ。
森に静寂が戻る。
ノアが目を見開く。
「今の……ただの斬撃じゃない」
ガルドが笑う。
「名前つけとけ」
リュカは息を切らしながら言った。
「え?」
「必殺技ってやつだ」
リュカは少し考えて。
照れながら、でもはっきり言った。
「……ブレイブ・スラッシュ」
沈黙。
ノアが吹き出す。
「直球すぎる」
「いいだろ、覚えやすい」
ガルドが笑う。
リュカも、つられて笑った。
夕日が森を赤く染める。
小さな勝利。
でも確かな一歩。
勇者はまだ見つからない。
でも。
三人は歩き出した。
「勇者を探しに行こう」
その旅が、やがて世界を変える。




