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百の通知が鳴る夜に  作者: 葛城ログ
第5章 水辺で繋がる怪
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第44話 潜水カメラに映る指

俺の仕事は水中探査のバイトだ。

ダム湖や貯水池の定期点検を請け負う会社で、主にGoProを装着して潜る役。

潜水士の資格までは要らない軽作業だけど、“見てはいけないもの”を見た先輩が辞めたって噂もあった。


その日は、地方の古いダム湖に潜った。


目的は、取水口付近のゴミ除けフェンスの状態確認。

深さは6メートルほど、視界は悪かったけど、水温は安定していて作業には問題なかった。


俺はヘルメットの横にGoProを装着して、音声レポートをつぶやきながら潜った。

とくに異常はなく、15分ほどで任務完了。

水から上がって、機材を回収して昼食にした。


…そこまでは、何もおかしくなかった。


異変に気づいたのは、映像チェックのときだった。


事務所に戻って、上司と一緒に録画映像を確認する。

水中の様子、取水口周辺の破損、沈んだゴミの確認――淡々と映っていた。


ところが、再生時間が13分目を過ぎたあたりで、上司がモニターの前でフリーズした。


「……おい、これ、何だ?」


画面には、俺の背後。

ヘルメット越しに映る視界の右下――

水の中から、“白い指先”がこちらに向かって伸びている。


それも、一本じゃない。

細くて、水でふやけたような5本指が、すぐ後ろから俺の肩に向かって、ゆっくり近づいている。


俺は完全に気づかず、そのまま作業を続けていた。


再生を止め、巻き戻してもう一度見る。

……間違いなく、何かが水中にいた。


ただし、俺が体感した限り、水の流れにも水圧にも異常はなかった。

接触の感覚すらない。


映像のラスト5分間、その指はずっと俺の後ろにいた。


画面の端で揺れるように漂い、まるで掴もうとするタイミングをうかがっているかのように。


水面に戻る直前、カメラが大きく揺れた瞬間、

指は水の中へスッと引っ込んでいった。


その後、ダム湖の管理記録を調べてみた。


ちょうど5年前、同じ場所で一人の潜水士が殉職している。

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