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百の通知が鳴る夜に  作者: 葛城ログ
第5章 水辺で繋がる怪
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42/54

第42話 湖底のライブ配信

俺の友人にKってやつがいるんだけど、そいつが配信者になったのはコロナの頃でさ。

外に出られないし、家でゲーム配信とか始めたのがきっかけだった。


で、2年ぐらい経ってから、アウトドア系に路線変更したんだよ。

「人があまり行かない場所を歩くのがウケる」とか言って、廃墟とか、山奥のキャンプ場とか。


あの日もそうだった。

Kが「人がほぼ来ない湖で釣り配信する」って言い出して、SNSに告知してた。


場所は山梨県の外れにある、知る人ぞ知る溜め池――

ネット上では“沈んだ集落がある”とか、“夜に立ち入り禁止の看板が出る”って噂のある場所だった。


ライブは夜の9時から始まった。

スマホ2台で、顔と釣り竿を映す画角を分けて、Kがゆるいテンションでしゃべってた。


でも、30分くらい経ったころから、チャット欄に妙なコメントが増えてきた。


「さっき水の中に顔あったよな」

「え、今の見えた?女の人?」

「これアーカイブ残せんの?」


俺は気味が悪くなって、別アングルのカメラに切り替えてみた。


そっちの映像では、水面がほとんど映ってて、たしかに“何かが浮かんでる”ような影があった。

けど、Kはまったく気づいてない。

コメントも追えてないようで、普通に缶ビール開けて笑ってた。


異変が起きたのは、その直後だった。


映像が突然、水中に切り替わった。


水に落ちたのかと思った。でも、Kの声がしない。

ザザッというノイズとともに、映ってるのは湖の底。


そこには、沈んだ家みたいなものがあって……

その前に、立ってるんだよ。何かが。

白い服の人影が、画面の真ん中で、こちらをじっと見てる。


チャット欄が荒れ始めた。


「なんだこれ、やばい」

「Kは?どこ行った?」

「録画されてるの?されてるなら切ったほうがいい」


でも配信は続いていた。


それから10分間、ただ、湖底の暗闇の中に白い人影が立っている映像だけが、延々と流れていた。


翌日、Kは行方不明になった。


釣り道具とスマホの三脚だけが湖畔に残されていた。

スマホの映像は、配信終了のログが残ったまま、ロックがかかっていて開けなかったらしい。


でも――


アーカイブだけは、なぜかYouTubeに上がっていた。


ただし、再生すると、水中の映像だけが再生される。

Kの顔や釣り、前半の音声も何も残っていない。


残っていたのは、

湖底に立ち続ける、白い何かの姿。


今もときどき、深夜になると関連動画にそれが浮上してくる。

でも気をつけろ。


**コメントをすると、湖底の“それ”が近づいてくる――**って話が、

Kの地元の噂になってるらしい。

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