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百の通知が鳴る夜に  作者: 葛城ログ
第4章 村落で繋がる怪
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35/54

第35話 定点カメラの少年

村役場の裏手に、小さな橋がある。

コンクリート製の古びた橋で、下を流れる川は浅く、子どもの膝ほどの深さしかない。


その橋の上には、防災目的で設置された定点監視カメラがある。

設置されたのは三年前の台風被害の後で、それ以降、映像は役場の地下サーバーで自動的に記録されている。

見る人も、もういない。


今年の夏、そのサーバーの記録を一斉確認する作業があった。

原因は不明だが、ここ数ヶ月でデータ容量が異常に増加していた。


Zはその臨時作業の手伝いとして、村役場に呼ばれていた。


定点カメラの映像は、昼夜を問わず、等間隔で保存されている。

サムネイルを機械的に流し見する作業の中で、Zは奇妙なパターンに気づいた。


毎晩22時45分の映像だけに、誰かが写っている。


橋の中央、こちらに背を向けたまま、じっと立っている少年。


サムネイルでは確認できないほど小さな姿だったが、再生してみるとわかる。

背中にランドセルのようなものを背負い、黒髪が肩にかかるほど伸びている。

服装は、昭和の写真で見るような学生服に似ていた。


毎晩、同じ時間に、同じ場所に、まったく同じ姿勢で。


映像は、静止画のように微動だにしない。

ただ、背景の川や木の葉は風で揺れており、録画は正常に動いていることがわかる。


Zは念のため、過去の記録をさかのぼってみた。


三ヶ月前――

半年前――

一年前――


全部の「22時45分」に、少年が立っていた。


風の向きが変わっても、季節が変わっても、大雨で川の水位が橋まで上がり、少年が立っている場所も濁流が流れていても少年の姿だけはまったく同じだった。


役場の職員に報告したが、苦笑され返ってきたのは、あっけらかんとした一言だった。

「それ、カメラのノイズか映り込みでしょ。たまに出るんだよ、ああいうの」

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