ノームの歓迎
土が光っているというのは初めて見ました。
光る道を辿ると、大きな建物に到着しました。
「ここがオイラ達ノームの中のノームが住んでいる住処だんな!」
「失礼の無いようにするんじぇ!」
「くれぐれも! くれぐれんも!」
やたら注意をするノーム。いや、二体は『土槍』がまだ突き刺さっている状態なので、気になって全く耳に入ってきません。
「大ノーム様! お客様を連れてきたんじぇ!」
ノームが大声で叫ぶと、扉が開きました。
そこには……。
「これは……驚きました」
「えっと、大きいわね」
「ボクもこれは……予想以上でした」
ボクの数倍、いや、十数倍の大きい丸い物体がそこにいました。
「んじぇー。よく来たんも。エルヴィンから話は聞いているんじぇ」
「ではさっそく話を」
「そう焦らず、まずはゆっくり休むと良んじぇ? そこの少女は少し疲れているんも」
そんな、シャルドネが疲れる姿ってあまり見たことが無いと思うのですが。
「その……ごめんゴルド、実は立ってるだけで辛いかも」
え、そんな。
「ゴルド様! 『魔力探知』を!」
「え、は、はい」
シャルドネに対象の魔力量を確認する『魔力探知』を使いました。すると、シャルドネの魔力量が徐々に増えてます。
「生身の人間がここに来るのは予想していなかったんじぇ。別に話を続けても良いんが、どうするんじぇ?」
「す、すみません。部屋を一つ借りても良いですか?」
「素直なのは良い事んじぇ。お前、案内するんじぇ」
「んも!」
そう言ってボクは小さいノームに、客室へ案内されました。
☆
「あー、なんか力が抜けて良いわねー、あ、今のところもう少し強くー」
「ここですか?」
「あー、そこそこ」
「シャルドネ様も結構肩こり酷いですね。今度悪魔的整体を試してみますか?」
「……やりたくはないけど、どんなのか聞いても良い?」
「以前『深海の邪神』を見せましたよね。あれを身長くらいの大きさにして」
「やめとく。なんか気持ちが悪そう」
「そうですか。では普通通りに……えい」
シャルドネの体内に大量の魔力が急に入り込んだせいで、体調を崩したそうです。
魔力以外で例えるなら、人間は大量の水を摂取してお腹を下すそうですね。そんな感じでしょう。
そこで、その過剰な魔力を放出するには魔術を使うのが一番早いのですが、シャルドネは魔術が使えません。
結論として、フーリエが吸う事になりました。
「情報伝達に魔力の吸収による治療。ゴルドには悪いけど、フーリエ大活躍ね」
返す言葉がありません。
「そんな事ありません。このワタチは聖術や治癒術が使えません。そういう場面が偶然重なっただけです」
「……フーリエ、旅が終わったら一緒に住まない?」
「ふぇ! わ、ワタチには草の地の管理が!」
何やら甘い空気を醸し出して、シャルドネが口説いてます。試しに『心情読破』を使いましたが、読めませんでした。
「……心にも無い事を言うのは、相手を傷つけますよ」
「ええ! シャルドネ様! ワタチをからかったのですか!」
「あはは、半分冗談。でもこういう妹がいたらなーとはいつも思っているわよ」
「わ、ワタチもシャルドネ様のような強いお姉さんが欲しいです!」
……まあいいです。
「それにしても、随分と酷い場所ね。魔術が使えない人間が入っていたらどうなっていたのやら。現に私は危なかったし」
「……ふと気が付いたのですが、この客室の狭さから考えて、魔術師でも対処は難しいかもしれません」
「どういう事? ノームは最初からこうなる事を知っていたということかしら?」
「そうかもしれません。そもそも相手は精霊です。エルフは特別人間に近い感情を持っていますが、あのノームを見ている限りでは、人間に関してはほぼ無関心でしょう」
客室に案内されてから、特に誰かが来るわけでもなく、実に静かなものです。
「つまり……」
ボク達は、とても、『歓迎されている』のでしょう。




