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眼鏡(老眼鏡)装着

「どっぺるげんがーって何?」

「いわゆる幽霊ですね。ただしこの魔力の感じは悪魔……の感じがします」


 ドッペルゲンガーとは。

 対象人物の容姿や性格などがほぼ一緒の存在で、本物とドッペルゲンガーが出会うとよからぬ事が起こると言われています。


「ワタチは草の地管轄の傭兵です。ですが、ゴルド様のお役にも立ちたい。そう思ったワタチはマリー様に相談したのです」

「それで出た答えがその状態だと?」

「はい。この『どっぺるげんがー』状態なら、なんと本物は草の地で活動が可能。そして記憶を共有しながらゴルド様について行く事も可能なのです!」


 何さらっとすごい事を残しやがるのですかマリーは!


「ゆ、幽霊」


 シャルドネは幽霊という単語に反応しました。そういえばシャルドネって『意味不明』なものに対して過剰な拒否反応をするのですよね。


「ねえフーリエ。一つ質問して良い?」

「はい?」

「殴られると痛い?」

「……え、普通に痛いですよ」


「そう。何も問題ないわ。フーリエ、これからよろしく」


「問題大ありですよ!」


 森の地での大声記録更新ですね。あ、さっきの声で驚いてフーリエが膝から落ちました。

 似たような事が以前にもあった気がしますが、とりあえず拾って膝に乗せて撫でます。


「問題大ありですよ! 悪魔ですよ悪魔!(なでなで)」

「良いじゃない。可愛いし」

「さっきから目の調子が悪いなーって思ってたんですよ! 何かこう……近くの物が見えにくい感じです!(なでなで)」

「ふむ、ゴルド殿、その症状は心当たりがありますぞ?」

「え……まさか悪魔の魔力で」


「いや、年老いたエルフは皆揃って近くの物が見えにくくなるのです」


 あれですね! 老眼ってやつですよこれ! 腰痛や老眼とか、なんか悪魔の魔力はボクに恨みでもあるのですか!


 そしてフーリエは上を向いてボクを見ました。


「ワタチを連れてってくれませんか?」


 こ、これが……。


 これが悪魔のささやきというやつですね!


「負けましたよフーリエ。わかりました、草の地での活動に影響が出ないなら一緒に行きましょう」

「大丈夫です! むしろ前より活躍できます!」

「どういう事ですか?」

「本物とは常に記憶を共有しています。万が一の事があれば、本物の近くにいる人や姉へすぐに連絡が取れるのです!」

「それってすごく便利ね。他の精霊はできないの?」


「「「……」」」


 ボク含め精霊三人が黙りました。なんか悪魔に負けるってすごく屈辱ですね。フーリエという事もあってあまり強く言えません!


「唯一の欠点は聖術が使えません。悪魔なので。あと精霊の魔力が美味しいです。悪魔なので!」


 先程から吸い取られている感覚はやっぱりそうなんですか!


「良いじゃない、減るもんじゃないし」

「減ってるんですよ! 今現在!」


 悪魔フーリエは、本物のフーリエより少し無邪気な気がします。邪気が無いのか、それとも邪気があるのか。もうわけがわかりませんね。


「まあ、ゴルド殿。その……『ろうがん』? 以外は特別支障も出ない訳ですし、フーリエ殿は草の地管轄。万が一の事があれば本物のフーリエ殿を通じて、私たちが応援に行きますよ」


 エルフの加護を受けられるなら、仕方がありません。ここは素直に諦めます。

 ただし!


「目が少し見えにくいのは不便なので、少し待ってください」


 そう言ってボクは手に透明の硝子を生成しました。


「何か不思議な硝子ね。それも二つ? どうするの?」

「こうするのです!」


 二つの硝子に鉄の縁を付け、それを顔に装着。そうです、これは神々の世界から人間を見た時に発見した『眼鏡』たるものです。


「おお! それこそ年老いたエルフが」

「黙ってください。ボクは設定上十六なので!」

「設定上とはいえ、私と一緒なのが複雑ね」


 そしてようやく会議が始まりました。

 大丈夫です。この場で『設定上』一番年上はエルヴィンです!

 ゴルド君の悪魔にされた仕打ちは

・くすぐり

・腰痛

・口内炎

・頭痛

・老眼(new)

です。今後の悪魔の魔力のご活躍にご期待下さい。(期待?)

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