思わぬ再会
テツヤもそれなりに身長は大きいと思いましたが、それと同じかそれ以上の身長の男が一人。
体つきはしっかりしていて、右手に持つ大きな剣は先ほどの魔獣を両断した剣でしょう。というか結構離れてますけどどうやって切ったのでしょうか。
そして特徴的な金髪とツリ目は、やはりシャルドネにそっくりです。兄でしょうか、それとも弟でしょうか。
「ガラン、どうしてアンタがここにいるのかしら?」
「父と発せぬ娘が……むしろどうしてここにいると、こっちが聞きたいのだが?」
父でした。
ダメですね。精霊視点で考えるともう赤子も老人も関係ないです。人間は人間です。
「ほほう、シャルドネの父さんか」
「む? 貴様は……?」
「俺はテツヤだ。シャルドネに武術を教えた」
テツヤも初対面みたいですね。
そういえばシャルドネの母親のお墓参りの時に父親の話題が出なかったこととか、ここへ来る途中わざと遠回りした理由など色々引っかかる点がありましたが、もしかしてこれが原因でしょうか。見る限り仲は悪そうです。
「シャムロエに似てきたな……」
「黙ってくれる? アンタに母さんの名前を呼ぶ資格は無いわよ!」
「ふん」
何やら複雑な事情があるみたいですね。ここはひとつ『心情読破』で読み取りを……む?
「おっと、そこの魔術師殿。『王』の心を読むのはやめていただきたい」
シャルドネの父の隣に立っていた男性が杖を構えてボクに向けてきました。
黒い服装に黒い帽子。やせ細っていて肌も白く、怪しげな空気を醸し出していました。
「ふむ、フーリエよ。そこの者達がここに来ることは『王』に知らせてたのですか?」
「あ、いえ、その……」
黒服の男が杖をフーリエに向けました。同時にボクはフーリエに触れました。
「ボクの知り合いに『心情読破』を使わないで欲しいですね」
「……ほう、面白い人……いや、面白い『モノ』が来ましたね。ここは一旦引きましょう『王』よ」
「そうだな」
一瞬シャルドネを見た気もしますが、その視線にシャルドネは反応しません。やはり何か事情があるみたいですね。
ただただ去っていくのを見送り、見えなくなったころにようやく気が抜けてしまいました。
「ゴルド様、『心情偽装』ありがとうございました」
「あまり他人にやれるものではありませんけどね。フーリエなら大丈夫と思いましたが、体に異変はありませんか?」
神術『心情偽装』は、自分の心で思っている事を偽装することが可能な術ですが、他人に使うと場合によっては精神が崩壊する恐れもあります。
フーリエなら大丈夫だと信じていたのですが、おや、何やらフーリエの顔色が……。
「ぐっ……腰痛が……痛いです」
腰痛が痛いってなんですか!
心配して損しましたよ!
「えっと、大丈夫なんですね」
「えへへ、ありがとうございます。それよりもシャルドネ様の方が心配ですね」
テツヤが声をかけていますが、「大丈夫」「ええ」と、気の抜けた返事ばかりです。
「これは一度、村に戻ったほうが良いかもしれませんね。そもそもの依頼は完了したわけですし」
「そうですね! 一度村に帰りましょう!」
フーリエの提案に、シャルドネは無言ですが同意はしている様子です。
村に到着し、タプルの家に入りました。すると最初に目に入ったのは家主のタプルです。
「おお、帰ったか。ちょうど客人が来ていたぞ」
「客人? 誰にかしら?」
帰り道、終始無言だったシャルドネも予想外だったのか、最初に反応しました。
ちなみにボクは予想していました。この全てを見透かされているような魔力の気配に。
フーリエも気が付いているでしょう。ですがこの場合大きな魔力というよりその覚えのある魔力に怯えている感じです。
椅子には一人の少女が座っていました。紫髪が特徴の見覚えのある少女です。出会った地域が違うせいか、薄着の姿は新しく感じました。
「今一番会いたい人に会った。そう錬金術師さんは思ったんじゃないかしら?」
紫髪の少女、魔術師マリーはにやりと微笑み、ボク達に話しかけました。




