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魔獣退治

 魔獣が現れたと言われた森に到着し、それぞれが戦闘態勢に入りました。

 ここまでの道のりはそれほど長く無く、弾む会話もありませんでした。

 というより、森に近づくにつれてシャルドネの表情がどんどん硬くなっているように思えました。


「シャルドネ? 大丈夫ですか?」

「ええ、ただ、この辺にはあまり良い思い出が無いのよ」


 シャルドネの母親が殺された場所なのでしょうか。それとも別な理由があるのでしょうか。

 ともあれ、今は魔獣に集中です。いくつか大きな魔力反応を感知しました。


「魔獣反応です。前方に小物が二つ。大きいのが一つ。どれも悪魔の魔力を感じます」

「……悪魔の魔力を感じ取れるフーリエが羨ましいです」

「ゴルド様はできないのですか?」

「悪魔の魔力とはちょっと相性が悪いので」


 精霊だから、とは言えません。あくまで相性が悪いとだけ言って濁します。にしてもこういう時の人間の魔術師は便利ですね。

 感心していたらフーリエが話し始めました。


「対策は必要ですよ。長時間悪魔の魔力を注視すれば、体内に流れてきます。それを防ぐためにワタチは聖術で守りながら読み取っています」

「参考にさせていただきますね」


 なるほど。聖術を使ってですか。

 ボクが使うには、まず精霊術から聖術に変換して防御しつつ精霊術から魔力感知で悪魔の魔力を読み取るので……頭がパンクしそうですね。

 最初から決められた術式を発動するのに人間は長けています。しかし効果が薄いのは弱点でもありますね。


 術について考えていると、フーリエの目の色が赤色に変化しました。何かを感じ取ったのでしょうか。


「こちらに気が付いたかもしれません。魔力に変化がありました」

「気を引き締めるぞ!」

「はい!」

「そうね!」


 魔力は迫ってきています。しかし風の音と風によって揺れる木々の音しか聞こえません。『魔力探知』はやはり偉大ですね。


「来ます!」


『ガアアアアアア』


 黒いオーラを出した四本足の獣二匹が一斉に飛びかかってきました。例えて言うならオオカミと言った所でしょう。この世界には存在しない動物でしょうけどね。


「これで小物かよ! 人間二人分の大きさがあるぜ!」

「師匠なら余裕でしょ。てえい!」

「油断しないでください! 『火球』!」


 前衛と後衛に分かれての戦術はそれぞれ仕事をこなせるかが大事です。

 基本はフーリエに魔術の攻撃、前衛はシャルドネとテツヤにお願いしています。ボクは『投石』と障害物の生成です。


 というか、楽です。


「ゴルド! 土壁お願い!」

「はい」

「ゴルド! こっちもだ!」

「はい」


 ……楽なんですけどね、なんというか。


「どうして二人はそうポンポンとボクの土壁をぶっ飛ばせるのですか!」

「って言われてもねえ」

「ああ、気を集中して一点を狙えば、(ボコッ!)ほら、簡単に吹っ飛ばせる」

「呼吸をするように飛ばさないでくださいよ! 」


 ボクの『土壁』は砲弾じゃ無いですよ! 障害物ですよ!


 そんな事を思っていたら、奥から大きめの反応が近づいてきました。


「へへ、とうとう頭の登場か」

「……大きいわね」


 例えるならクマですね。

 口からは黒い唾液を出しながら、赤い目をして二本足で立っています。

 その殺気は小物と比べ物にならないほど大きく、圧倒されます。


「さあ、気合入れるぞシャルドネ!」

「はい!」

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