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錬金術師としての楽しいお仕事

「いやー助かったぜ錬金術師さん」

「僅かだが、これ受け取ってくれ!」

「あ、どうもです」


 岩の地で取れた鉱石の原石を報酬に、ボクは装備の修復をしていました。

 鉱石が豊富だけあって、剣や鎧は鉄の物が多いのです。ただし、職人も含めて捕まったということで、今まで修理をせずに使い続けていたとか。


「しかし、錬金術って言うからどんな物か、一度見せて欲しいもんだぜ」

「あはは、それは秘密と言うことで」

「まあいいさ。少し小さくなった気もするけど、気にするほどでは無いしな」


 渡されたボロボロの装備は、布以外の部分の鉄を一度溶かし、不純物や別の鉱石などを取り出して再度生成という作業をしていました。

 修理というよりも、再利用に近いですね。でもボクの力によって、元々の鎧より軽いのに丈夫です。通貨がこの世界にあればきっと高値で売れるでしょう。


「ずいぶんと大盛況ね。錬金術師としてのお仕事は」

「あ、シャルドネ。そちらは稽古が終わったのですか?」

「はあ、終わったというか、終わらせたというか」


 ミッドは自分を守る術しか持っていないということで、どうしてもシャルドネからは相手を攻撃する術を教えて欲しいのだとか。


「順を追って教えてあげては?」

「それでも良いんだけど、教えて良い物かどうか迷うのよね。ミッドは武器屋の息子よ。武術が使える武器屋って言うのも、なかなか変な話なのよ」


 それは確かにとも思います。剣術を使える武器屋というのも需要はありそうですが、基本素手の武術では少し変ですね。


「それに、親御さんには少し止められたのよ。守る術は良いって言われたけどね」

「ミッドの両親にですか?」

「ええ、ここの地に来たときに部屋を貸してくれた良い二人よ今回も頼りにしてたんだけどね」


 捕まってしまいアテがない中でのミッドという存在は不幸中の幸いでしょう。

 しかし、住人を捉えた者達……闇の力を持つ者というのが気にかかります。


「闇の力を持つ者……一体なんなのでしょうね」

「やはり悪魔の薬でしょうね。悪魔の血を使った薬。そんなのがこの地で流行っているなんてね」


 ボクは少し考えました。死神グリムが人間に悪魔を譲渡したという部分に違和感。

 そもそも死神グリムはこの世界でまともに生活できません。


 なのに、なんでこの世界にいるのでしょう。


「……もしかして、悪魔の薬を配っている人間が、死神グリムを召喚させたのでしょうか?」


 ボクの発言に、シャルドネが少し反応しました。


「どういう事?」

「この世界には死神グリムがまともに生活するには人間を殺すしか無いと言っていました。そしてそれは約十年前くらいから始まった出来事の様に思えます」

「……私の母さんが殺された頃から?」

「あくまで仮定ですけどね。だから、死神グリムを召喚した人こそ、シャルドネのお母さんの本当の敵なのではないのでしょうか」

「……はあ、やっと終わったと思っていたのに、まさかまだ続いていたなんてね」


 シャルドネは頭を抱えていました。

 無理もありません。あれほど辛い戦いを終えたのに、本当の敵はまだ生きているかも知れないと考えられるからです。


「まずは真実を確かめるために、色々調査しましょう。単独行動は厳禁ですよ?」

「うっ、よく分かったわね。『しんじょうどくは』? でも使ったの?」

「目を見ればわかります。数日とは言え、シャルドネの行動は直球なので」

「わかったわよ。それに、住人の装備の修理を終えて戦力を高めた方が、こっちも動きやすいしね」

「そういうことです。あと……三日くらい待って貰って良いですか?」

「……凄い量ね」


 ボクの背中には沢山の剣や鎧が山積みにあります。

 中には半分に砕けた破片などもあります。


「雪の地よりも魔力の流れが少ないので、少し時間がかかるのです。あと疲れます」

「そう。じゃあついでに私のダガーも直して貰おうかしら?」

「ええ、まさか注文が増えるとは」

「良いじゃ無い。これだけ装備があるなら、一つくらい」


 そう言ってシャルドネはいつも腰にぶら下げていたダガーを渡してきました。


「これまた凄く腐食が進んでいるダガーです」

「え、そうなの?」

「手入れ等しても、中の腐食は難しいですからね。再構成すると半分くらいに減りますが、この山の中の鉄の破片も利用して同じ長さにしますね」

「お願いするわ。にしても、やっぱりあんたは鉱石の精霊ね」

「何を言っているんですか。最初からそう言っているじゃないですか」


 そう言って、ボクはダガーの刃の部分の再構成をして、修理をしました。


 たまにはこんな平凡な一日も悪くは無いと思いました。


 まあ、後数日は修理を続けるんですけどね。

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