秘密だって、愛おしい【番外編】(4)
次の日の朝、重たい気分をどうにか励まして出社した。
昨夜遅くに、昨日居合わせた先輩から私を気遣うメールが届いて、それには明るく返信することができたけれど、実際はそんな簡単に切り替えができるわけなかった。
先輩のメールでは、社内で今里さんと福島さんの噂を聞いて、でも先輩は私と今里さんのことを知っていたから、咄嗟にあのとき今里さんに食って掛かってしまったそうだ。
無関係の自分が口を出してしまって申し訳なかったと、丁寧に謝ってくれるメールだった。
おそらく、先輩に食って掛かられたことで、今里さんは自分が福島さんと噂になってることを知ったのだろう。
そして、自分が私に吐いた嘘、秘密が、私にばれているということにも気が付いた……
やっぱり、秘密は、痛みを伴うものなのだ。
誰かを、傷つける。
故意じゃなくても、結果として傷を与えてしまうなら、はじめから秘密なんて持たなければいいのに。
私は満員電車に揺られながら、ずっと、そんなことを考えていたのだった。
「おはようございます」
本社ビルのエントランスをくぐってから何度となく同じ挨拶を交わし、その間も、今里さんと遭遇しないか注意を張り巡らせていた。
幸いにも彼と出会うことはなく、自分のデスクに着く頃には、
「おはよう。体調どう?」
「あ、野田さん、もう大丈夫?」
私を気遣うセリフが立て続けに贈られ、それらに応対しているうちに今里さんの気配にビクビクすることも頭から消えつつあった。
「おはようございます。もう大丈夫です。ご心配おかけしました」
なるべく笑顔を作って、元気を装う。
なかには、「まだちょっと顔色良くないわよ?」なんて、私の空元気を見抜く人もいたけれど、私は「大丈夫ですよ」と笑ってみせた。
やがて始業時刻になり、淡々と、いつもの仕事風景が流れはじめた。
他部署へ赴く仕事もあったけれど、私の体調を慮った先輩方が代わりに行ってくれたので、私はずっとデスクワークに勤しんでいた。
ときどき、ふっと、今里さんのことが頭に浮かんでしまったけれど、仕事に集中しようと躍起になっていた。
それでも、強く掴まれた右腕の感覚とか、私をまっすぐに見つめた眼差しとか、焦った声とか、いちいち思い出しては、その都度私の心を騒ぎ立てるのだ。
苦しい……
何度ももがくように胸元を握ったり、なにかを追い払うように強くエンターキーを叩いたり。
とにかく、冷静さの欠如は否定できない状態だった。
周りの人は、そんな私に気付いていたのかもしれないけど、あえてそっとしておいてくれてるようだった。
そして、いつもより長いと感じた午前の仕事が終わり、昼休みに入ろうかというときに、事件は起きたのだった―――――
「あら?どうされました?何かご用ですか?」
近くの席から、まるでイレギュラーを訝しむような声が発せられたのだ。
ざわつく室内に、私も何事かと顔を向けたそのとき、
真横に人の気配を感じた。
とても大きな、気配を。
包み込まれるような無言の気配に、私は静かに見上げたけれど、
目が合うよりも早く、手を握られていた。
「……今里、さん?」
周囲のざわつきが一段と大きくなって、小さな驚き声も波紋のように広がり混ざっていく。
彼は背を屈めるようにして私のデスクに左手を置き、右手で、私の左手を握りしめていた。
その手のひらの大きさと、あたたかさに、思わずドキリとしてしまう。
だけど今里さんは、握った手を引き上げると、
「もう、秘密にするのはやめる―――」
射るような強い瞳で、私にそう告げたのだった。
そして私を立ち上がらせて、周りにも聞こえるようにはっきりと、「幸を借りていきます」と言ったのだ。
「え?え……?わ、ちょっ、今里さん?!」
手を握ったままスタスタと歩きだした今里さんに、私は引っ張られるように歩かされてしまう。
「幸?今、幸って言った?」
「え、あの二人って………そういうことなの?」
その場にいたほぼ全員の関心を集めてしまったのに、今里さんはまったく意に介さない様子で、
「オレ達、付き合ってるんです」
平然と告げたのだ。
「ええっ?」
「野田さんと?!」
「嘘、全然気付かなかった……」
「それで昨日野田さんの様子がおかしかったんだ」
ざわめきが悲鳴にも変わり、先輩達が口々に感想をもらす中、今里さんはそれらを無視するように躊躇いなく大股で歩いていくと、総務課を出てしまう。
先輩たちのざわめきは後ろに小さくなっていったけれど、廊下の先にも人目があって、それなのに今里さんは私の手を離そうとはしないで、グイグイ引っ張っていくのだ。
周りの視線が、矢よりも鋭く感じてしまう。
「あの、今里さんっ!」
たまらず、その端整な横顔に声かけたけれど、今里さんはまっすぐ前を見つめたまま、
「乱暴にしたくないんだ。頼むから黙ってついて来て」
怖いくらい真剣に、そう答えたのだった。
その強さに怯んでしまった私は、もう、なにも言えなくなってしまった。
このあと、今里さんになにを告げられるのか、少しも見当がつかないままに………
今里さんが私をつれて来たのは、総務のフロアにある、総務が管理しているはずの倉庫だった。
普段施錠しているはずのそこは、なぜだか鍵が開いていて、今里さんはそれを知っているかのように迷いなく扉を開いて私を中に押し込んだのだ。
「今里さん……?」
恐る恐る問いかけると、今里さんは扉をきっちり閉めて、カチャリと鍵をかけた。
「ごめん、どうしても二人きりになりたくて。ここが開いてると気付いたから、ここなら誰にも邪魔できずに話せると思って………夜まで待てなかったんだ」
そう言って、ようやく私の手を離してくれた今里さんに、ホッとした瞬間、
「―――っ!」
今度は、力いっぱい抱きしめられていた。
今里さんの纏うフレグランスが私を包み、私の髪の中に今里さんの指が差し込まれて、彼の吐息が、いつもより近くに感じられて………
それなのに私は、彼の上質なスーツに私のファンデーションが付いてしまわないか、そんなことが頭を過っていた。
私の考えていることを知ってか知らずか、今里さんはよりいっそう、ぎゅうっと、体を締め付けてくる。
換気が万全でないこの部屋はいつも籠った空気がちょっとだけ息苦しいけど、今は強く抱きしめられた胸の方が苦しい。
けれど、その苦しさを逃そうと、今里さんの腕の中で私が身じろぐと、さらにきつく閉じ込められてしまうのだ。
「……好きなんだ。オレが好きなのは、幸だけなんだ」
まるで全力疾走した直後のような、とても掠れた声で、哀訴するように、そう告げられた。
好きだと言われているにも関わらず、なぜか切なくなってしまうような、そんな告白だった。
そして、さりげなく『幸』と呼び捨てされて、震えるような何かが体を通り抜けた。
「頼むから、オレの気持ちだけは疑わないでほしい。幸に……」
懇願するように縋るようにそう訴える今里さん。
私は胸が熱くなって、わけの分からない焦燥みたいなものに追い立てられて、無意識のうちに、自分の腕を今里さんの背中にまわしていた。
私が背に触れたとき、その広い背がわずかにビクリと動じて、それが、彼の不安を物語っているようだった。
「幸……本当は、ずっとそう呼びたかった。いい歳した男のくせして情けないけど、あまりにも気持ちが大きくなり過ぎてどこかで自制をかけなきゃ社内でもコントロールできなくなりそうで、だから、あえて名字で呼んだりして……まるで子供みたいだよな。でも本当に、こんなのはじめてなんだ。こんな風に自制心が保てなくなりそうになるなんて、生まれてはじめてなんだよ」
はじめて聞く今里さんの本心はヒリリとした痛みを感じて、それが意外過ぎて、だけど嬉し過ぎて、私はただ彼の腕の中で黙って聞いているしかできなかった。
「幸はまだ一年目で仕事に集中したいだろうし、オレもエフ・レストに入ったばかりでやることも多い。だから関係を深めるのはもう少し時間が経ってからの方が……なんて悠長なことを考えてるうちに、あることないこと噂されてたなんて想像もしてなかったんだ」
そう言った今里さんは、私を包んでいた腕を、静かに解いた。
けれど、その手は私の両肩に置かれ、今度はまっすぐな目で私を捕らえて離さない。
「オレと彼女の噂があるなんて知ってたら、ちゃんと幸に説明してた。彼女との関係を。でも、幸に変に誤解されたくなかったから、一昨日の昼休みのことは……つい、隠すようなこと言ってしまったんだ。それで……結局は、幸が秘密を嫌いだって知ってたのにかかわらずオレはまた秘密を重ねるような真似をしてしまった」
懺悔のように語る今里さんは、とても小さく感じられた。
いつもは余裕ある佇まいで、聞こえてくる評判は ”いつも落ち着いてる” ”冷静沈着で大人の男の人” そんなのばかりなのに、今私の目の前にいる彼は、まるで迷子の子供のように、ひどく頼りない表情をしている。
こんな表情の今里さん、きっと、社内の誰も見たことがないだろう。
それを私にだけ見せてくれているのかと思ったけれど、次の瞬間、福島さんと楽しそうに並んで歩く今里さんの姿が脳裏に浮かんだ。
「―――やっ」
突然の小さな悲鳴が、二人きりの倉庫に響き渡る。
私は反射的に今里さんの手を叩き落としていたのだ。
「幸……?」
喫驚したように私の名前を口にした今里さんに、私は、泣きたい気持ちになった。
だって、その呼び方が、とても優しかったから。
その呼び方ひとつで、彼がどんなに私のことを大切に想ってくれているか、それが分かり過ぎるほどに分かってしまう、優しい優しい呼び方だったから。
だけど……
私は、なにも、今里さんと福島さんさんの関係を疑ったわけじゃない。
今里さんの気持ちが私にあることは、いつもひしひしと感じさせてもらっていたから。
でも、あまりにもお似合いの二人を見て、以前から燻っていた劣等感が刺激されてしまった。
”私より、あの人の方が彼に相応しいんじゃないか”
そんな、自虐的な考えが充満していた最中、今里さんがもたらした ”秘密” が、さらに私を追い詰めたのだ。
「……秘密は、やっぱり好きじゃありません」
それは、以前にも今里さんに伝えていたこと。
今里さんもそれをちゃんと覚えていてくれたのに、なのに、秘密を作った。
嘘をついた。
些細な嘘かもしれないけど、それを嘘と知ってしまった私は、知らないフリもできなくて……
今里さんは私に弾かれた手をグッと握り、悔しそうに眉根を寄せた。
「……うん、そうだね。オレはそれを知ってたのに、幸にまた秘密を作ってしまった。……オレは、幸におかしな誤解をされたくなかったから。少しでもオレの気持ちを疑われそうな可能性があるなら、わざわざ話す必要はないと思ったんだ。もともと彼女のことは近いうちに幸に話す機会があると思ってたから、それまではあえて言わなくてもいいだろうって。そんなことより、もっと幸の話を聞きたかったし、幸のことを知りたかったんだ」
「私、今里さんの気持ちを疑ったりなんて……」
「でも、昼休みに女性と二人で食事をしただなんて、知りたくはないだろう?交遊関係が賑やかで普段から男友達が近くにいるような女の子ならともかく、幸は控えめで真面目な女の子だから、もし説明しても嫌な気持ちになるかもしれないと思ったし、それが原因で誤解されたくもなかった。そう言うオレだって、仕事以外で幸がオレの知らない男と二人で食事に出かけたりしたら気になるし、それを隠されたりしたら嫌な気持ちにもなると思う。……まあ、だったら彼女以外の女性と二人で食事なんかしなければいいんだけど、一昨日はもう一人来るはずだったのにドタキャンされてね……」
「だったら、昨日は?お二人の予定ではなかったんですか?」
口が勝手に、追及していた。
まるで、今里さんを責めるような口ぶりで。
けれど今里さんは微塵も嫌な顔をせず、「二人じゃなかったよ」と答えてくれた。
「昨日も、三人で会う約束だったんだ。オレと、彼女と、彼女の恋人と」
今里さんのその説明に、私は思わず「え……?」と問い返していた。
「福島さんの恋人……?」
あまりにも私の顔が驚き一色だったのか、それとも、明らかに私の態度が軟化してきてるからか、今里さんは少しだけ、クスリと笑った。
たったそれだけで、空気が変わった気がした。
「そう。彼女はオレの従兄と付き合ってるんだ。もう何年も前からね。だから、ある意味噂は本当なんだよ。”白華堂の社長は、自分の娘をエフ・レスト社長の甥と婚約させたがってる” って」
言いながら、今里さんはまた私に手を伸ばしてくる。
けれどその手は私を拘束するためでなく、そっと、私の髪に触れてきたのだ。
慈しむような手つきで髪に指を差し込まれて、私は、ひどく戸惑ってしまう。
こんなの、さっき抱きしめられたことと比べたら全然大した触れ合いじゃないのに、どうしても、頬に熱が走るのを抑えられない。
それはまるで、はじめて会った夜、今里さんが唇に指を当てて
『秘密だよ――――――――』
そう言ったときと同じ、扇情的で………
……ちょっと待って、私、こんなときにいったい何考えてるの?
こんな、真っ昼間の社内で、今里さんにそんなことを感じるなんて……
自分で恥ずかしくなって、彼から顔を隠すように身を捩ろうとしたけれど、すんでのところで彼に止められた。
私の頤を、彼の綺麗な親指がクイ、と持ち上げたからだ。
「少し前に従兄がプロポーズして二人の間では婚約が決まったんだけど、まだ伯父にも報告する前だったから、従兄からは誰にも言うなと釘を刺されてたんだ。だから、福島さんのことは、二人の婚約が正式に決まってから幸に話そうと思った。それで、一昨日の昼のことも言わないでおいた方がいいと思ったんだ。まさか幸に見られてるとは想像もしてなかったけど」
さっきまでの焦った口調ではなく、丁寧に、語りかけるように話す今里さん。
それはいつものように大人で、落ち着いているようにも感じたけれど、ふと重なった視線は、まだどこか臆病に震えているようにも見えた。
だけど、それは今里さん自身にもわからない、私しか気付いてないことで、それがたまらなく嬉しかった。
そしてふと思った。
……この体勢って、キスするときと似てない?
だからこんなときに何考えてるんだと、慌てて頭の中をクリアにしようとしても、一度浮かんでしまった感情はそう簡単に消えてはくれなくて、
頬に走った熱が体全身に広がっていくようだった。
まるで夏の強い日射しを浴びたように、熱りすら覚える身体。
ドクドクと、心を支配する熱さを感じながらも、私は頭の中で気持ちの乱高下を整理をしようとしていた。
彼は私に嘘を吐いて、また秘密を作ったのは事実。
私はそのことで傷付いて、彼の話も聞きたくないほどに拒絶していたはずで……
なのに、今のこの感情はどうなの?
彼の言い訳が正当なものだったから?
福島さんが彼の従兄の婚約者と分かったから?
だから、それで、彼のことを許してしまったの?
そうじゃなかったら、どうして、
どうしてこんなに鼓動を弾ませてしまってるの?
傷付いていたはずの自分が、今、今里さんの指先や眼差しひとつに動揺してしまってることに、困惑してしまう。
だって、あんなに、苦しかったのに。
今里さんの言い訳さえも聞きたくないと思っていたのに、
なのに今、彼に触れられて、こんなにも熱が心地いい。
そんな私の変化を、私自身が素直に受け入れられずにいるのに、今里さんは、まるで私の気持ちが変わっていく過程を見逃すまいと追いかけていたみたいに、その変化に、すぐに感付いたようだった。
「嘘を吐いたことは、本当にごめん。でも、これで、幸の誤解はとけたかな……?」
今里さんは頤を持ち上げていた指を離し、今度は手の甲で私の頬に触れてきた。
「誤解……」
肌で今里さんのぬくもりを感じ、その距離の近さがさらに胸を落ち着かなくさせる。
けれど、
「誤解じゃなかったら、嫉妬?」
そのセリフには、即座には否定した。
「違います。嫉妬なんかじゃなくて、私は……」
嫉妬なんかじゃない。
私は、自分に自信がなくて、それで今里さんと福島さん二人の姿を見るのが苦しくて……
つまり、心情的には嫉妬にすら辿り着けていなかったのだろうから。
「じゃあ、嫉妬じゃなかったら、何?」
深く尋ねてくる今里さんは、私を探るように見据えている。
「それは………」
そして私が言葉に詰まると、今里さんは何かに思い当たったように、困ったな……という顔つきになったのだった。
「まさか、まだ立場が違うとか、家柄がどうとか、そんなこと考えてたの?」
今里さんはそう訊きながら、手のひらを反し、親指の腹で私の頬を撫でてきた。
そして困り顔のまま、ささやかに、息を吐いて笑ったのだった。
「まだそんな風に考えてたなんて……。あんなに、オレの気持ちを伝えてきたつもりなのに」
真正面から図星を突かれた私は、どうにも反論できなかった。
ただ、
「まだ、伝えて足りなかったのかな……」
静かに独り言のようにそう言った今里さんには、たまらずに言い返した。
「そんなことないです」
「そうかな?」
「今里さんは、いつも私に気持ちを伝えてくれてて……。私、本当に今里さんの気持ちを疑ったことはないんです。ただ、……自分に、自信がないだけなんです」
「それは、オレがこんなに幸を好きだと伝えても、解決できないこと?」
「それは……」
「だいたい、自信なんか、オレだってないよ」
「え?」
呟くように言い放ったあと、今里さんは私から離れてしまった。
そして体ごと横向いて、聞こえるか聞こえないくらいのか細いため息をもらした。
「幸はまだ、どこかオレに遠慮してるだろ?付き合いだしてからまだそんなに経ってないからとか、幸は真面目で恋愛経験も少なそうだからとか、あれこれ理由づけては気にしないようにしてたけど、本当は、どこかで、幸がオレとの関係に消極的なことが気になって仕方なかった。オレが強引に言い寄ったせいで、幸は無理してるんじゃないか…ってね。そう考えたら、もしかしたらいつか幸がオレから離れていくんじゃないかって、不安になることもあったよ。オレだって、自信なんかないんだよ」
こんないい大人が、笑えるだろ?
今里さんは顔だけをこちらに向かせて、自嘲した。
でも私は、そんな力なく笑みを浮かべる今里さんにも、ドキリとしてしまう。
だって、例え弱気な姿でも、今里さんの本心を見せてもらえて嬉しかったから。
自信がないなんて素振り、おくびにも出してなかったのに、内心ではそんな風に思っていただなんて……
その不安の裏に、私への想いの深さを見つけた気がして、胸が、熱くなる。
そして、私はやっと思い知るのだ。
自信がないと臆病になるのは、それだけ、真剣だからということに。
真剣に相手を想うからこそ、自信が持てないこともあるし、不安に陥ってしまうのだと。
つまり、私の心に居座っていた弱気の正体は、今里さんへの想いで、
今里さんの心の吐露は、そのまま私への告白だということを……




