大男一人と中肉中背一人と小男一人の三人組
そのまましばらく廊下で立っていると、「はーっはっはっはっ」という声は更に大きくなり、やがて、わたしたちの進む先の廊下の角を曲がって、それぞれ甲冑を身にまとった大男一人と中肉中背一人と小男一人の三人組が、隊列を組むように一列になって現れた。
「うーむ、我慢、我慢……」
アース騎士団長は独り言を言いながら、ガントレットに包まれた右手を強く握りしめた。騎士団長の態度を見れば、大男と中肉中背と小男のトリオは、騎士団長と不倶戴天の仇敵のような関係にあるということが分かる。
「お姉様、あの人たちは、一体……」
アンジェラは、わたしの背中にしがみついた。甲冑を身につけた三人組であるという事実と、なんとも形容しがたいアース騎士団長の態度を総合すれば、その三人組の正体も、おおよそ見当がつこうというものだが……
三人組は、アース騎士団長の姿を認めると、「はーっはっはっはっ」と笑うのをやめて口を真一文字に切り結び、彼らもまた鬼のような形相になってアース騎士団長をにらみつつ、歩みをやや早めた。この光景を例えて言うならば、非常に仲の悪い国の軍艦と軍艦が狭い海峡ですれ違うようなもの。漫画的に表現すれば、血を見ずには済まないといったところだろうか。
しかし、ここは両者とも、いわゆる「大人の対応」なのだろう。ゴム風船に限界ギリギリまで空気を注入するように、緊張感を高めるだけ高めつつ、しかし、実際には、事件が起こることはなかった。三人組は無言のまま、アース騎士団長(及びプチドラ込みのわたしとアンジェラ)の横を、行進のように秩序を保ちつつ通り抜け、その間、アース騎士団長は、右手を強く握りしめたまま、その体勢を変えることなく応じた。
そして、アース騎士団長と三人組の距離がある程度離れたところで(30メートル程度だろうか)、再び、「はーっはっはっはっ」という上品とは言えない声が響いた。
アース騎士団長は、やや表情を和らげ、
「ふっ、相変わらず、がさつな連中だ」
と、独り言のように言った。
アンジェラは、へなへなとその場に崩れ落ちるように座り込み、
「今の人たちは……?」
「ああ、レディを怖がらせてしまったようだ。面目ない。深くお詫び申し上げる」
アース騎士団長は、そう言うと前かがみになり、ぎこちない笑顔を作って、アンジェラに手を差し伸べた。
わたしは「ふぅ」と小さく息を吐き出しつつ、騎士団長の背後から、
「あの~、わたしからも同じ質問ですが、今通り過ぎた下品な連中は、一体、何者……、まあ、だいたい、想像はついていますが……」
すると、アース騎士団長は、少し口元を歪め、
「その想像は当たっていると思いますよ。あまり口にしたくないのですがね。ヤツらは、アート公、ウェストゲート公、サムストック公の騎士団ですよ」




