ドラゴニアに係る諸問題
そして、最後に最も厄介な問題として持ち上がったのが、やはり、ドラゴニアに係る諸々の問題だった。説明の必要はないとも思われるが、その問題点を列挙していくと……
1.新ドラゴニア侯(正体はスヴォール、しかし、公には新ドラゴニア侯ローレンス・ダン・ランドル・グローリアス)が領地であるドラゴニアに赴いて以降は奇行を繰り返し、ついには行方不明になってしまったこと(つまり、新ドラゴニア侯がこのまま戻ってこなければ(そうなる公算が高いだろう、いや、わたし的にはそうなってほしいと思っている)、もう一度ドラゴニア侯を選び直さなければならなくなる)
2.ドラゴニアン・ハート城における騎士団及び青年ドラゴニア党と重武装人造人型兵器の量産型(なお、帝国政府には謎の鎧武者として報告されているようだ)との戦闘の結果、騎士団や青年ドラゴニア党に犠牲者が多数出たため、その後始末をどうつけるか(つまり、被害を受けた人への補償問題)
3.○○○(これで最後、筆者の自己規制)に押しつぶされ倒壊したドラゴニアン・ハート城の後始末をどうするか(実際問題としては、瓦礫の撤去等の最低限のことはせざるを得ないとしても、ドラゴニアン・ハート城の再建は費用的に絶対に不可能であろう)
4.新ドラゴニア侯によって登城命令が出され、ドラゴニアン・ハート城に連行された10歳以下の子供たちはまだ戻ってきていないが、その子供たちの行方はどうか(なお、わたしの想像としては、生存は絶望的かと思われる。プロトタイプ1号機の生体部品としてアメリア(の生首)が使用されていたことに鑑みれば、ドラゴニアン・ハート城において多数出現した重武装人造人型兵器の量産型の生体部品として、その子供たちが使用されていた可能性が高い。また、かなり前に帝都において頻発していた誘拐事件も、犯人はスヴォールではないか)
これら以外にも問題は多数あるが、大きなものとしては、そんなところだろう。
ともあれ、それはそれとして……
「しかし、ドラゴニアン・ハート城が倒壊する場面、実際に見てみたかったねえ」
ガイウスが残念そうに言った。クラウディアも、「同意」という意味だろう、何度かうなずく。ちなみに、この言葉は、わたしが帝都に戻ってガイウスやクラウディアに事の顛末を話して以来、深夜のお茶会で二人と顔を合わせるたびに何度も聞かされている。
「大きなお城が巨大な……、いえ、言いませんよ、あのアレ、ナニに押しつぶされるなんて、想像するだけでも楽しくなってきますよね」
クラウディアはいたずらっぽく笑った。本当に楽しそうだ。こういったダーク・エルフの嗜好は、わたしの理解の及ばないところではある。




