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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第27章 待たせ過ぎだけどとにかく最終決戦
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隻眼の黒龍の新技

「うーん、もう、頭きた!」

 隻眼の黒龍が少々意味ありげに声を上げた。そして(何をするのかと思ったら)、目の前にいる鎧武者のうち1体を大きな口でガブッとくわえると、そのまま自らの頭を上方に持ち上げ、(首の筋肉のスナップを利かせて)鎧武者を空中高く放り投げ、

「くらえ! 超高温火の玉攻撃ぃ!」

 と、激しい炎を上げる灼熱の火の玉を口から数個吐き出した。火の玉の勢いは対空砲あるいは対空ミサイルのごとく、全弾が鎧武者に命中し、鎧武者は「ウガッ」を言う間もなく炎に包まれた。

「なるほど、そういう手もあるのね……」

 と、これはわたしの独り言。地上にいる敵に対して地上から水平に火炎攻撃を行えば、場合によっては周囲にいる味方や仲間(ちなみにわたしは「マスター」)を巻き添えにする危険があるが、空中に放り投げた後から攻撃すれば、そうした可能性は理論的にはさほど考慮しなくてよい。

 隻眼の黒龍の「超高温火の玉攻撃」を受けた鎧武者は、火の玉による猛烈な火力により、見る見るうちに鎧が溶け、ドロドロの固まりになって地面に落下した。

「よし、これで一丁上がり。次は……」

 と、隻眼の黒龍は次の攻撃目標を定めると、1体目と同様に、大きな口で2体目をガブッとくわえて空中高く放り投げ、火の玉攻撃の餌食にしていく。

 そして、程なくして、3体目の鎧武者も同様に、隻眼の黒龍の「超高温火の玉攻撃」により文字通り「火だるま」にされ、やがて、3体とも、なんとも名状しがたい大きな石のような固まりになって果てた。


「さすがね……」

 と、わたしは思わず感嘆の声をもらした。ただ、感嘆と同時に、少々疑問もなきにしもあらず。隻眼の黒龍がこんなすごい技を持っているなら、今まで出し惜しみせず、ドラゴニア騎士団と青年ドラゴニア党が戦闘を開始してすぐに加勢すれば、味方に犠牲者を出さずに済んだのではないか。

 ちなみに、3体の鎧武者を片付けた隻眼の黒龍は、今現在、「ふぅ~」と大きく息を吐き出し(“仕事した感”を出して)、

「マスター、とりあえず、敵方の半分はやっつけたよ」

 と、片手で軽くVサイン。

 なんだか……、スッキリしないものは残るが、とりあえずは鎧武者のうち3体を撃破したということで了としよう。


 ただ、これだけで終わらない……、いや、事態がかなりヤバイ方向に傾いているのがもう一方のプロトタイプ1号機で、こちらは今や、「ウッ」とか「ガッ」の声も上がらなくなり一方的どつかれ放題、装甲板などは文字通りボコボコになっている。

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