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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第27章 待たせ過ぎだけどとにかく最終決戦
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隻眼の黒龍、動く

 6体の鎧武者たちは、ガシャン、ガシャンと金属音を響かせつつ、プロトタイプ1号機をぐるりと取り囲み、

「ウガガガガガガガー! ウガガガガガガガー!! ウガガガガガガガー!!!」

 と、何度も繰り返すようだが、またしても大音声。だだ、こうなると、いわゆる尺を稼ぐ以上の意味を見出しがたいような気もするが……

 これに対し、プロトタイプ1号機は、

「ウガガガガガガー、ウガガガガガガー、ウガガガガガガー」

 と、良く言えば勇敢に、おそらく客観的に言えば無謀にも、ファイティングポーズを取りながら鎧武者たちに向かっていった。


 その時、アンジェラがわたしの服の袖をそっと引き、

「お姉様、いくらなんでも、1対6では……」

「そうね、多分、勝ち目はないでしょう」

 そして、わたしは隻眼の黒龍を見上げ、

「頼むわ。火炎攻撃であの6体を一網打尽というわけにはいかないと思うけど、騎士団やニコラスたちがいなくなった分、戦いやすいでしょう」

 すると、隻眼の黒龍は、「分かった」とばかりに大きな頭でこくりとうなずくと、巨大なコウモリの翼を広げ、空中に舞い上がった。

 そして、プロトタイプ1号機と6対の鎧武者がどつき合っている(より精確に言えば、周囲を鎧武者たちに囲まれてタコ殴りにされている)ところの上空に移動し、6体の鎧武者のうち1体に狙いを定め、急降下。その1体を位置エネルギーと運動エネルギーの相乗効果により押しつぶした。

 しかし、その鎧武者もさすがと言おうか、隻眼の黒龍に押しつぶされただけでは戦闘不能になることはなく(「ウガッ、ウガガガッ」と、かなりのダメージを受けているようではあるが)、起き上がって隻眼の黒龍に挑みかかってくる。

 これを見たブラックシャドウは、前方に少し身を乗り出し、

「これは予想以上の性能だな。あの隻眼の黒龍のボディプレスを受けても、ぶっ壊れないとはね……」

 と、何やら感じ入っているような……、しかし、単にそれだけではなさそうな様子。一体、何を考えているのだろう。ほんの少し前までは、やかましいくらいに「商談」を言ってたのに、今はそうした話を切り出してくる気配はない。何か企んでいるのだろうが……、一体、なんなんだか……


 ちなみに、その間も戦闘は続き、プロトタイプ1号機の相手をしていた(より精確に言えば、取り囲んでボコボコにしていた)残る5体のうち2体が、攻撃の対象を変更したらしく、プロトタイプ1号機から離れ、またしても(もう、いい加減にしてほしいが)、

「ウガガガガガガガー! ウガガガガガガガー!! ウガガガガガガガー!!!」

 と、今度は隻眼の黒龍に向かってガシャン、ガシャンと突進してきた。

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