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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第26章 最終決戦近し
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悪臭でオエー

 アース騎士団長以下、ドラゴニア騎士団の重鎮、ニコラスとわたしとプチドラとアンジェラとプロトタイプ1号機、ドラゴニア騎士団の重鎮以外の騎士や青年ドラゴニア党の面々の行列は、ドラゴニアン・ハート城内を、とにかくひどい不快感・吐き気・頭痛等々にさいなまれつつ進んだ。悪臭は城内を進むにつれて増々ひどくなり、誰もが鼻をつまんだり口を押えたりして空気を可能な限り身体に取り込まないようにしているが、その程度のことでは役に立たないようだ。

 そのため、時折……

「うっ、おっ、おぇーーー!」

 これは、すなわち、騎士あるいは青年ドラゴニア党のうち、こうした劣悪な環境に弱い人から順番に嘔吐(つまり、リバース)しているということ。

「本当に、こんなにひどいなんて…… うっ、うげっ!」

 ニコラスも青い顔で口を開きかけたが、その瞬間に城内の空気を多く吸い込んだらしい。そのため、ニコラスもまた……、いや、具体的な描写はやめよう。

 ちなみに、いつもは「ウガガッ、ウガガッ」と騒動しいプロトタイプ1号機も、今日のこの場は比較的静かにしていて、耳障りにならない程度の「ウガッ、ウガッ」を伴いながら(ただし、ガシャン、ガシャンという金属音はいつもと同じ)、アンジェラの後ろをついてきている。


 そして、アース騎士団長以下、ドラゴニア騎士団の重鎮、ニコラスとわたしとプチドラとアンジェラとプロトタイプ1号機……(以下略)……の行列は、城内を更に進んだ。廊下を歩き、大きな部屋を突っ切り、階段を登って降りて……

 ところが、結構な時間(おそらく30~40分以上だろう)歩き回ったはずなのに、いつまでたっても目的地に着く気配がない。アース騎士団長は、時折首をひねりながら、近くにいたドラゴニア騎士団の重鎮を招き寄せて小声で話をしたり、(遠くを見渡すような仕草で)額に手を横に当てて周囲を見回したりしている。

 わたしのすぐ前を歩いていたニコラスも、合点がいかなさそうな顔をして、

「おかしいな。これではまるで迷路のような…… うっ、おぇっ!」

 しかし、口を開いた拍子に瘴気のような空気を多く吸い込んだのだろう、先程と同じような展開を繰り返している。とりあえず心の中で「御愁傷様」と言っておこう。

 それはそれとして……、プチドラはわたしの腕の中で顔を上げ、何かを言いたげな表情。でも、口を開いて毒気を吸い込むのはイヤなのだろう。なんとももどかしそうに、頭を前後左右に揺らしている。


 その時、不意に、前方のアース騎士団長及びその周辺で、ざわっとした雰囲気が見えた。これは、明瞭に聞き取れる会話といったものではないが、先程までとは少し様子が違うような気がする。もしかすると、もうすぐ目的地に到達するのだろうか。わたしたちが現在進んでいる廊下の先をよく見ると、意味ありげな白い光が見える。廊下の先には何かがあるのだろう。

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