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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第26章 最終決戦近し
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城の中へ

 アース騎士団長は、2、3歩歩きかけたところで、ふと歩みを止め、

「しかし、これは……」

 と、苦笑しながら頭上を見上げた。騎士団長の視線の先には、あまり何度も言及したくないが、ドラゴニアン・ハート城を押しつぶすように乗っかっている巨大な〇〇〇の姿がある(なお、「〇〇〇」は筆者の自己規制)。ああいうアレなものを見せつけられているのだから、先に進むのを少々躊躇するのは無理からぬ話ではある。

 すると、ニコラスがアース騎士団長の横から、

「父上、何をためらっておられるのですか。ここは突撃あるのみです」

「うむ……、そうだな」

 アース騎士団長は、ようやく踏ん切りがついたのか、わたしの方を向き、

「では、ウェルシー伯、我々はこれから城内、つまり、あのアレな建物内に突入します。ただ、目的は必ずしも戦闘行為ではなく、新ドラゴニア侯との直談判ですが、これは、つまり……」

「分かったわ。わたしたちも一緒に行きましょう」

 わたしはかなりぶしつけながら、アース騎士団長の話をさえぎって言った。ここで時間を無駄にすることはないし、騎士団長にもニコラスにも、意図は通じているはず。なお、隻眼の黒龍は、すぐに体を縮めて子犬サイズのプチドラになり、わたしの腕の中に納まった。


 そして、わたしたちは、アース騎士団長を先頭に2列縦隊となって、さほど大きくない石造りのアーチ形の出入口(なお、扉は外に向けて開け放たれている)をくぐり、今や得体のしれない意味不明な構造物と化したドラゴニアン・ハート城内へと進入を始めた。ちなみに、進む順番は、アース騎士団長以下、ドラゴニア騎士団の重鎮、ニコラスとわたしとプチドラとアンジェラとプロトタイプ1号機、ドラゴニア騎士団の言わば下っ端騎士や青年ドラゴニア党の面々となっている。なお、想像ではあるが、例のヤツ(ブラックシャドウ)も、わたしたちの後を追って、不即不離の微妙な距離感でついてきているだろう。

 それにつけても……

「お姉様、ここは、なんだか……」

 アンジェラが袂で口を押さえながら言った。

「そうね。ぶっちゃけ、ひどいわね。それ以外に、言い様がない……」

 城内では、とにかくひどい……、より説明的に表現すると、廊下の壁や床に一面に「くさや」が敷き詰められているかのような悪臭がただよっている。

 プチドラも、小さな両手で大きな口を押えつつ、

「これは、間違いないね。スヴォールの住居……、いや、『巣』というべきか……」

 ちなみに、周りを見回すと、ドラゴニア騎士団や青年ドラゴニア党の面々も、顔をしかめて鼻をつまみ、「オエー」とか「なんだ」とか「ひどい」等々、口々に不満の声を上げている。のみならず、先頭を進むアース騎士団長も、

「一体、なんなんだ、この悪臭は。前よりもひどくなっているじゃないか!」

 と、この人にしては珍しく、直接的・感情的な表現をしている。

 わたしとしては、成り行きとはいえ、ついてきたのは失敗だったかと、激しく後悔……

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