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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第25章 真夜中の怪しい男(ただし正体は知れている)
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ニコラスの話

 ニコラスの話によれば…… 大して内容がある話ではないが、その概要は、次のとおり。


 前のドラゴニアでの戦役が、諸侯有志連合軍先鋒軍司令官ツンドラ侯への降服という形で終結して以降、このような結末に不満を持つニコラスたち青年ドラゴニア党は、ご隠居様の城に再び立て籠もり、理想のドラゴニアを作るべく、ニコラスの言葉では「日々、精進を重ねてきた」とのこと。なお、精進といっても、具体的に何をどうしていたのかは、全く分からない(質問するのも馬鹿馬鹿しいので、聞き流しておいた)。

 ニコラスたち青年ドラゴニア党にとっては、諸侯有志連合軍の総大将であるローレンス・ダン・ランドル・グローリアスが新ドラゴニア侯となり、ドラゴニアの統治者として君臨することは、ニコラスの言葉では「絶対に受忍されることでは」ないとのことであり、そのため、ニコラスの父親であるドラゴニア騎士団長や騎士団の上層部に対し、ドラゴニア騎士団主導による新体制の確立を求めて、要求を繰り返していたという。なお、具体的にどのような要求を掲げていたのかは不明。要領を得ないニコラスの話ではサッパリ分からないし、そもそも要求自体が具体策のないスローガン的なものにとどまっていたのかもしれない(「精進」と同様、質問する気にもならない)。

 その後、新ドラゴニア侯であるグローリアス(ただし、正体はアレ……、ウキキのスヴォール)がドラゴニアに赴任し、この地で直接統治を行うようになった。ここで、仮にグローリアスが本物で、人格的に優れ、すごく立派な統治を行うということがあれば、ニコラスや青年ドラゴニア党の面々も従前の考えを改めて、ドラゴニアン・ハートの町に戻るということも、もしかしたらあったかもしれない。しかし、新ドラゴニア侯の行状がすごく「おかしい」どころか、ぶっちゃけハチャメチャということが青年ドラゴニア党にも伝わったため、青年ドラゴニア党は「それみたことか」と、一層態度を硬化させてしまった。

 こんなわけで、ニコラスの言葉では「かくなる上は、栄光ある悠久のドラゴニアに対し、この一身をかけて不滅の寄与をなす」ため、「今日という今日」は、「青年ドラゴニア党の総力でもって新ドラゴニア侯の退位を促す」べく、ご隠居様の城より「長駆、馳せ参じた」のだという。


 話がひととおり終わると、なぜかニコラスは胸を張り、

「というわけで、我々は決死の覚悟、不退転の決意でもって、やってきたのです!」

 すると、彼の仲間の青年ドラゴニア党の面々からは次々に、「そうだ」とか「そのとおり」など、合いの手が上がった。わたしは思わず「ふぅ」とため息。ニコラスを相手にしてると、ため息が多くなるような……

 でも、それはさておき、ニコラスたち青年ドラゴニア党の目標が新ドラゴニア侯(正体はスヴォール)であり、場合によって戦闘も辞さずと考えているのであれば、昨日来のアース騎士団長などドラゴニア騎士団の方針とも、結果的には方向性が一致することになる。

 であれば…… お騒がせキャラのニコラスや青年ドラゴニア党も、とりあえずは捨て駒か捨て石程度の役に立つかもしれない。

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